カラオケで歌うことでミックスボイスの練習を続けている筆者が、練習に良いと感じた楽曲を個人的な難易度評価付きでご紹介。
今回ご紹介する曲は、スピッツの「えにし」。私がスピッツを知った当時、一番衝撃を受けた曲で、今でもおそらく一番好きな曲です。私は、この曲を完璧に歌い切るためにボイトレを続けていると言っても過言ではありません。
hiBのロングトーンや伸びのある発声が求められるこの曲で、ミックスボイスとの「えにし」を見つけましょう!
「えにし」について
難易度判定
まずは、「えにし」の難易度判定をしてみましょう。個人的難易度は、「S」としました。最高音はhiBで、かつサビではhiBロングトーンも登場します。
サビは高音域が連発されるため、ミックス必須。また、原曲の雰囲気を大事にするならば、どこまでも突き抜けるような高音のノビが必要です。
1. 速度 | 2. 音程処理 | 3. ロングトーン | 4. 難易度(C~S) | |||
テンポ | 早口度 | 音域 | 最高音 | 回数 | ||
「えにし」 | 普通 | 広い | 高い | 多い | S |
リリース情報
「えにし」は、2010年に発売のスピッツの13thオリジナルアルバム「とげまる」に収録されている曲です。当時、ランチパックのCMでも使われていました。
この曲では、大好きな「君」に対しての溢れんばかりの愛をポップでありながらどこかアンニュイな曲に乗せて歌った、正統派ラブソングです。
「スピッツの超名曲・えにしを語る」もぜひご覧ください!
燃えるような赤に変わる前のオレンジっぽい夕日と、それを眺めながら風に吹かれる野原に立つ主人公の姿が脳裏に浮かびます。

カラオケ情報
「えにし」は、DAMでもJOYでも選曲可能です。どちらでも、楽しんで歌えます!
練習ポイント
「えにし」は、以下の様な特徴がある練習曲です。
- Aメロは、中低音域の練習に良い
- Bメロは、中高音域の練習に良い
- サビは、ミックス高音の練習に良い
- 曲の雰囲気(叫びあげNG)
このように、「えにし」は、難易度を高める要素をいくつも持っています。なかでも、hiBのロングトーンが登場するという事実が、この曲の難易度をSとしている大きな理由です。
中低音を使うAメロ
まずは、曲の出だし部分からです。出だしのワンフレーズはmid2Bですので地声からスタートしても問題ありませんが、直ぐにミックス音域が登場します。
【ここでのメロ(著作権の関係で、歌詞の記載なし)】
陽だまりの部分から、歩いている様子の部分まで
陽だまりの部分からは、mid2Eが連発、一瞬mid2F#を使う部分もあります。この部分は間違いなくミックスボックスに切り替える必要があります。
mid2Eの部分は、声を響かせる場所を口の少し上へとスライドさせて、鼻の下あたりにイメージすると歌いやすいと感じます。
中高音を使うBメロ
サビに繋がるブリッジ部分ですが、このBメロもミックスボイスを必要とする音域が連発されます。音域はやや上がり、mid2Gのロングトーンが3回登場します。
【ここでのメロ(著作権の関係で、歌詞の記載なし)】
説明書の話から、サビの直前まで
原曲の雰囲気を大切にしたいなら、この部分での張り上げはNGです。勿論、技術的な面から言っても、ここを張り上げてしまうならば、サビは決して歌えないでしょう。
しかも、1番のサビでは、3回登場するmid2Gロングトーンのすべての母音が「い」であるため、喉を上ずらせないように気をつけましょう。
hiBロングトーン連発のサビ
この曲を象徴するサビは、全体としてミックス音域です。サビの音程は、地声音域から始まり、階段状にだんだんと音程が上がっていき、hiBの部分で頂点に達します。
このサビは、前半と後半に分けてポイントを解説しましょう。
サビ前半部分
ここでの「サビ前半部分」は、以下の部分を指します。
【ここでのメロ(著作権の関係で、歌詞の記載なし)】
サビの始まり~忘れてしまったよという部分
前半部分の目玉は、何と言っても「あ」の母音でのhiBロングトーン。サビのhiBロングトーンで気持ちが爆発するような感覚で声を開放できるととても気持ち良いですね。
「あ」のロングトーンでは母音を広げないように注意しましょう。ちょうど、hiBの直前の音が「お」ですから、その口の形と発声感覚を保ったまま滑らかにhiBへ移行しましょう。
サビ後半部分
ここでの「サビ後半部分」は、以下の部分を指します。
【ここでのメロ(著作権の関係で、歌詞の記載なし)】
前半部分終了 ~ サビの最後まで
基本的なメロディーは、前半部分と同じですが、hiBロングトーンの母音が「あ」から「う」に変化します。そのため、この部分は少し難易度が落ちると言えます。
「う」のロングトーンでは、喉を落としたフォームをしっかりと意識しましょう。喉仏を下げて、口の中に声を浮かせるイメージで発声すると、無駄な力みを防ぐことが出来ます。
サビの後半部分で地味に難しいのが、mid2Fとmid2Eでのサビ締め部分。直前の高音に引きずられて無駄な力みがあると、「声帯フォーム」が破綻します。
しかし本来、この音域は、ミックスでの単音処理ならば簡単な音域です。変に意識しすぎず、軽やかに何事もなく処理するようなマインドセットでサビを閉めましょう。
さいごに
私が大好きな曲、「えにし」をご紹介しました。私にとって、この曲がボイトレのモチベーションの根幹部分を占めていると言っても過言ではありません。
ミックス練習曲としてハードな曲ですが、この曲をラクラクと歌えるようになったらどんなに素晴らしいか。私は、今日も「えにし」を歌うことでしょう。