ミックス感覚論

ミックスボイスを強くする方法。声を手放さないために下方向に意識を向けよう

仮想の橋である声帯の橋のイメージ
こんな記事

ミックスボイスで強い声を出すためには、声に圧力をかける必要があります。力を受け止める点のない声は、強くなりようがありません。そして、圧力のかけ方には、コツがあります

それは、上から下方向に向けて圧力をかけるということです。この方法によって、喉の上ずりによって生じる浅く、細い声を防止し、強い声を生み出していくことができます。

この記事では、私が声に強さと厚みを加えるために実践する「声帯の橋をイメージする」という感覚について、お伝えしていきます。

声に力を加えるコツ

声という風船を手放して空に飛ばしてしまっては、強い声は実現できません。声に力を加えるためには、発声する際に、地面方向に向けた圧力をかけることが必要です。私は、これを実現するために、以下のことを意識しています。

声帯の橋を、斜め下方向に架ける

このイメージが適切に閉鎖された声帯に加わるとき、発声に厚みが加わり、声に強さが生まれやすくなります。なお、適切な閉鎖については、別記事:ミックスボイスを作る声帯のフォームでご確認ください!
声という風船は、手放さない!

声帯の橋をイメージしよう

実際の声帯のありようとは違いますが、この感覚を増幅させるために少し誇張したイメージをします。私がイメージしている声帯は、以下のような状態です。

  1. 後頭部喉仏の2点を意識する
  2. それぞれの点に声帯の両端がある
  3. 声帯は「きし麺」のような長方形型
  4. 喉仏を下げると、橋が斜め下へ伸びる

後頭部と喉仏を結ぶ、声帯という橋があるイメージです。この橋は、普段は後頭部と喉仏の間で縮んだ状態になっていますが、喉仏を引き下げて両者の距離が広がると、それに伴って橋の縮んだ部分が引き延ばされ、通行可能な橋になります。

大切にしてほしいのは、この橋を架けることで、「声帯が伸び、適度な緊張状態にある」という感覚を得ることです。声帯に健康的なハリを感じることが、滑らかな発声に非常に重要です。伸ばしたゴムのようなイメージでもいいですね。

この感覚は、主に中音域で使用します。高音域になるにつれて、だんだんと橋の傾きを地面と水平に戻っていくイメージです。いずれにせよ、声帯という小さな器官を喉の中にイメージできていることが必要ですから、発声時に常に声帯のイメージを持てるようにしましょうね!
importance for imagining things in your brain

声帯の橋を架けてみよう

先にも述べたように、ミックスボイスを習得するためには、声帯のイメージ力を養う必要があります。実際に声帯のイメージの橋をかけ、それを斜め下方向に伸ばしていく練習をしてみましょう。練習は、以下のステップで行うと良いでしょう。

このトレーニングは大変地味に思われますが、私にとって声帯の橋をイメージすることは、声に強さを与える非常に重要な練習でした。声を出さなくても練習の大部分はできますから、通勤電車の中やちょっとした待ち時間も有効活用できます!
完成した素晴らしい橋のイメージ

アンカーa

1. 声帯の橋をイメージ

声帯の橋をイメージしましょう。その両端は後頭部と喉仏に繋がっています。ただし、平常のリラックスした状態では橋は縮んでいる状態です。空気の抜けた浮き輪のような状態をイメージしても良いでしょう。

後頭部から喉仏にかけて、急斜面があるイメージですね

2. あくびで喉を下げる

次に、軽いあくびの真似してみましょう。このとき軽く喉に触れて、喉仏が下がっていることを確認します。喉仏を極限まで下げればよいという訳ではなく、歌唱時に違和感を感じない程度のやや低めの喉仏の位置を探しましょう。

喉仏を下げるとき、顎の下が緊張しないように気をつけましょう

3. 固定点で橋が完成

違和感を感じない程度の喉仏の位置を確認したら、そこを喉仏側(体の全面側)橋を架ける固定点として記憶します。あとは、リラックスした状態からその位置まで喉仏を下げて橋を架け、またリラックスして橋を戻し・・・という動作を繰り返しましょう。

アコーディオンのように橋が伸び縮みするイメージを持ちましょう

4. 橋の上を歩いてみよう

環境が許すなら、実際に架かった橋の上を歩いてみましょう。「Mn」でハミングしてみるのがおススメです。喉仏が下がっているか、橋が心地よく振動しているかをチェックしましょう。音程は、中音域付近の出しやすい高さでいいですよ。


橋の上を歩くイメージのサンプル音源をご用意しました!

さいごに

声帯をイメージする力を養うことは、発声を向上させていくうえで非常に重要です。イメージ力を養うためには、声帯そのものに対する学術的な知識をある程度勉強したうえで、その知識と自分の感覚とを結びつける努力が必要になります。

感覚については、自分の体が喜ぶ発声方法を探っていくことになりますが、発声の学術的な知識については、専門家の研究結果を学ぶのが最良です。「別記事:ボイトレのために私がおススメする書籍」も、ぜひご覧ください!

error: Content is protected !!