スピッツの曲

スピッツの「美しい鰭」の考察。私なりの曲感想や歌詞解釈を語る!

an image of the song
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「美しい鰭は、スピッツが2023年に発売した楽曲で、なんと「名探偵コナン」の主題歌。とは言え、コナンと同じく幅広い層から支持されるスピッツですから、びっくりだけど納得かも?

以降では、そんな「美しい鰭の魅力を語りつつ、歌詞も考察。スピッツお得意の自己開放、自分らしさ追求曲として考察してみます!

「美しい鰭」とは

2023年にスピッツが発表した「美しい鰭」は、「劇場版名探偵コナン・黒鉄の魚影」の主題歌として書き下ろされた楽曲。新作アルバム「ひみつスタジオ」にも収録されるようですね。ちなみに、美しい鰭の読み方は「うつくしいひれ」とのことです!

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1美しい鰭オシャレ・爽やか
image of the song, which is refreshing

1. 演奏への印象

「美しい鰭」の演奏を聞いて真っ先に降りて来たのは「何かオシャレだな」と言う感覚。涼やかなそよ風に吹かれる快適なクルージング、って感じでしょうか。また、トランペットなのか、賑やかな楽器のバック演奏は「Crispy!」っぽいかもですね。

あと、曲調自体は結構違うとは思うのですが、ヨルシカの「雨とカプチーノ」を連想する自分もいました。オシャレで軽やかな演奏全体から感じる印象は、どちらかと言うとスピッツ伝統のスタイルというより現代風かな、というイメージです。

ただ、そんな中で中盤のギターソロの音は厚いと言うか、激しさはないものの音色自体はロックっぽい感じでしょうか。きしめんサウンドというと感覚的すぎるでしょうが、広がりを感じつつも芯もある感じでなかなか気に入っています。

image of the song

2. 個人的な想い

この曲のボーカルを聞いて一番耳に残ったのは、サビでの高音ファルセットでした。個人的にはスピッツはあまりファルセットのイメージがないのですが、「見っけ」でも使っていましたし、最近は結構耳にする機会が増えた印象があります。

とは言え、「ファルセットの印象が薄い」というのはあくまで歌好きスピッツファンとしての印象ですが。例えばスピッツの代表曲「ロビンソン」であったり、「ドルフィン・ラブ」であったり、ファルセットを使用する曲は普通にありますよね。

ただ、ファルセット音域を地声っぽく出す技術「ミックスボイス」に憧れる歌好きとしては、やっぱり草野さんは高音でも地声っぽさを維持できるという印象の方が強いのです。ミックスとファルセットを使い分けられるのも流石だなぁ、と思います。

two things

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「美しい鰭」の歌詞を追いながら、その歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「自分らしく行こう」としました。また、そのテーマを補足するため、以下の4つのトピックを準備しました!

解釈は私の直感に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスまとめています

1. 考察の前提

「美しい鰭」は、スピッツファン以外の多くの人も見るであろう「劇場版名探偵コナン」の主題歌と言うこともあり、草野さん節炸裂というよりはストレートな表現が多用されている印象があります。歌詞にある通り、「自分らしさ」がテーマですね。

歌詞には主人公と君が登場。軽く聞きかじった映画情報で考えれば、灰原さんとコナン君という捉え方をするべきでしょうか。ただ、タイアップ曲でも対象作品と切り離して捉えるのが私のスタイル。そういうわけで、今回解釈も一般化してみます。

私的には、ここでの「君」は「自分の内面に存在するもう一人の自分」、みたいな捉え方がしっくりきますね。そうなると、君を解き放つ歌は自己開放の歌とも言えるはず。特に性別が解釈に影響することはないですが、ここでは主人公は男性として考えます。

主人公は世渡り下手でありながらそれを隠し、何とかコツを見つけて生きてきた人物。一方の君、つまりもう一人の主人公は、自分らしさを貫ききる度胸はないものの、自由な在り方に憧れる人と言った感じ。最後まで揺るがぬ強さはないものの、予想外の牙を持とうとする意思は感じますね。
an image of two personalities

一覧に戻る

2. あの日を想う

彼は今、大海原を見渡す場所に立ち、物思いにふけっていました。思えば、まともに見えることに心を砕いては多くの演技をし、数えきれないほどの失敗を重ねてきたものです。しかし、今振り返ってみればあの日を起点に、彼は徐々に変わってきたのでした。

あの日とは、突然に全ての矮小さが胸をよぎった日。自分たちが暮らしている奇跡の惑星すら、主観を離れて大宇宙から見れば見れば塵のようなもの。絶対に守らなくてはいけないと思っていた「普通の掟」も、それと比べれば存在していないも同然です。

あの日、あの時は、こんな考え方はただの現実逃避に過ぎないとも思いました。しかし、彼はだんだんと気づいてきたのです。あの時思い至った大局観こそが、正解であったと。いや、より正確に言えば、少なくとも彼にとっての正解であったと。

掟の期待に応えようとしたものの、結局彼は掟の型に嵌ることは出来ませんでした。その事実に打ちひしがれ、自分の至らなさを嘆いた夜もありました。ただ、掟への執着を止め自分を眺めてみれば、失敗が作り上げた風変わりな自分の姿が…。もしかすると、これはこれでイケてるのでは?
an image of universe

一覧に戻る

3. 息を潜めた心

もともと強くはなかった自分。だからこそ、掟に従うこと、悪目立ちする出る杭とならぬことに腐心して生きて来たのでしょう。とても想定しきれなかった大波に攫われ、必死に作り上げた平静の仮面が粉々に崩れてしまった夜もありました。

とは言え、それでも自分にムチ打ち、なんとか踏みとどまって生きて来ました。無理をしていることは分かっていましたが、かろうじて落ちこぼれないための術は理解していました。馴染めないなりにも、彼は世渡りのコツは分かっていたのです。

そんな日々の中、眠らせてきた本心。しかし彼は今、その本心が自分に語り掛ける声を聴いていました。「なんだって?もう一回言ってくれ」。いや、聞こえていたはず。しかし、確認したかったのでしょう。もう、出てきてもいいのだと

「君が出てくると、困る」。彼は昔、確かにそう言いましたと。だからこそ、「君」は彼の中で息を潜めていたのです。しかし、もうその必要はありません。あの日を契機に変わった彼はもう、君を隠し続けなければならないとは考えていません。「悪かったね。これからは一緒に行こう。」
an image of the end of the cold days

一覧に戻る

4. 美しい鰭

彼は別に、突然に強くなったわけではありません。今後、君と一緒に進んでいくのなら、きっとこれまでとは違う意味での心労を背負うことになるでしょう。だって、彼は元々心配性ですし、彼が泳ぐことになる世間は出る杭に厳しい場所なのですから。

世間の荒波に逆行して生きていくことは、きっとできないでしょう。しかし、大いなる力に流されたとしても、その中で出来ることはあるはずです。自分自身に戻って無様で一生懸命に生きて行こう。弱いなりの誇りとトゲを持って、予想外の牙も持って

いつまでも、新たな抵抗が続けられるかは分かりません。いや、続けられないような気がします。それでも、果てる時が来るのならそれはそれでいい。掟が笑うユニークな、しかし美しい鰭で泳いでみよう。自分らしい柔らかい心で世界を見つめながら。

私にとっての「美しい鰭」は、掟に従順であるために封印していた自分らしさを胸に抱き、掟から見たら愚かな、しかし柔らかく温かい心を抱いて生きていこうとする青年の物語。彼は、これからも流され続けるでしょう。しかし、諦念は捨て、美しい鰭で水を切って泳ごうとするのです!
an image of the title of the song

一覧に戻る

 

さいごに

歌詞中の「小惑星」は、私の価値観ベースでの解釈でした。その価値観は「ラッセル幸福論」から頂いたもの。宇宙の大きさと、自らとそこに起きる出来事を対比して、穏やかな心を持とうというものですね。突然すぎて、戸惑いましたか?(笑)

こちらの記事もいかがですか?

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


error: Content is protected !!