根本的な考え方

ミックスボイスの出し方。高い声をラクラクを出すための声帯閉鎖を身に着けよう!

はじめに

前回記事では、裏声の重要性に注目しました。今回の記事にある練習を進めていくためには、ある程度ヘッドボイスの感覚が分かっていることが前提です。

step by step

「声帯フォーム」を理解する

このブログでは、ミックスボイスの発声に必要な声帯の状態を「声帯フォーム」として定義します。「声帯フォーム」の構成は、以下のようになります。

声帯フォーム =(A.基本閉鎖 + B.特殊閉鎖)+ C.基本伸展

まずは、要素AとCの習得を目指します。AとCの機能が回復すれば、声帯の大部分を閉鎖することができ、裏声でも一定の声量を出せるようになります。ただし、この練習に当たっては、注意するべきことがあります。

【フレデリック・フースラー著 「うたうこと」p10より引用】

声を形成する、すなわち声を訓練することは、再生の過程である。(中略)すべての芸術的考慮から離れて、声の訓練はこのように治療以外の何物でもない。

「声帯フォーム」を構築するボイトレ過程は、リハビリです。喉を酷使して超回復を待つ方法は、望ましい手法とは言えません。筋力の増大を目指すのではなく、神経支配の回復に主眼を持つようにしましょう。

要素A. 基本閉鎖

「声帯フォーム」では、声帯をしっかり鳴らすために、声帯を閉じておく必要があります。その閉鎖機能を「基本閉鎖」と定義しました。

この閉鎖を担当するのは、声帯周りの筋肉である横筋や側筋と呼ばれる筋肉群です。これらの筋肉を正しく使う事で、息の声への変換効率を高めることが出来ます。

練習方法

ハミングをするときの感覚を意識すると、声帯閉鎖の感覚を掴みやすいです。また、口を閉じて「Mn」のような音を出す練習も、声帯の感覚を掴む補助練習になります。

ただし、アウターマッスル、つまり喉周りの筋肉で声帯を絞めつけないように注意が必要です。声帯閉鎖に、喉周りの筋肉による喉絞めが伴ってはいけません。

前回記事で練習したヘッドボイスの感覚を、より研ぎ澄ましていくイメージです。声帯を軽やかに閉鎖できるようにしましょう。

閉じるイメージ

要素C. 基本伸展

「声帯フォーム」を維持するためには、声帯をピンと伸ばす必要があります。輪ゴムを引っ張るイメージです。この声帯を伸ばした状態を「基本伸展」と定義しました。

この伸展機能を担当するのは、喉仏の下あたりに位置する輪状甲状筋と呼ばれる筋肉です。この筋肉は、裏声のトレーニングによって養われます。

練習法

声帯が、前歯の裏に存在すると考えてください。その声帯は、前歯の裏に固定されていますが、伸縮性があるため、喉の奥の方向に引っ張ることも出来ます。

貴方は前歯の裏に立っていて、綱引きのように一生懸命に声帯を喉奥の方へと引っ張ろうとします。声帯は、前歯の裏に固定されたまま、ゴムのように喉奥へと伸びます。

ファルセットの発声時には感じにくい「声帯を伸ばす感覚」を得るのが、一番大変かもしれません。ただし、この感覚を得る事さえできれば、時間はかかりますが必ずミックスボイスへとたどり着けます

声帯を伸ばすときのイメージ補助、ゴム

さいごに

このフェーズを終えると、ある程度の声量を獲得することが出来ます。ただし、声帯の中央部閉鎖しきれていない部分が存在するため、声に迫力はありません。

しかし、ここまでくればあと一歩です。次のステップでは、ミックスに地声感を付与する筋肉の覚醒に取り組みます。しかし、焦ってはいけません。

フレデリック・フースラー著 「うたうこと」P86より引用

この枠と、枠によって声帯をぴんと伸ばす操作が欠ければ、声帯内筋は、ただ鈍な働きしかできない筋肉に過ぎない

地声っぽさを与える筋肉の覚醒には、今回のフェーズの完了が必須です。焦らず、このフェーズに取り組んでいきましょう!

第3回記事は、ミックスボイスへの道③ ~交錯筋を支配する~

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