発声の罠・注意点

ミックスボイスが出来ているか判定したい?そこにこだわると、ドツボにハマるかも

ミックス判定に惹かれすぎる風潮にストップ
こんな記事

ミックスボイスが出来ているか分からないから、判定したい。その気持ちは、声の成長に悪影響があるかもしれません。

声の成長可能性を判定してくれるなら、その判定は素晴らしい物になりますが、大半のミックス判定はその声がカッコいいか、美しいかによって声を論評するものだからです。

ミックスボイスは、「みにくいアヒルの子」。ただひたすらに育て続けたならば、白鳥のように美しく大空を舞ってくれるでしょう。

結論

ミックス習得という旅路における現在地を図る意味での判定は否定しませんが、私は通常のミックス判定は弊害の方が多いと思っています。

ミックスボイスは、「弱い声から育てる声」弱い声を即座に切り捨てるような評価に身を委ねることは、成長の扉を閉じることです。

ミックスボイスの判定

自分の発声に一定の満足感があれば、それがミックスかは問題になりません。つまり、ミックスボイスの判定に興味を示す人の多くは、ミックスが出来ていない人です。

つまり、ミックス判定をする場合は、それを行うことがミックスボイスの習得に悪影響を及ぼさないという事が何より重要です。

個人的な意見

また、ミックス判定をしたからと言ってすぐに声質が改善され、劇的な成長が望めるという訳でもありません。声の成長には、長い時間が必要です。

大切なのは、体が心地よいと感じる自然な発声を追求し、その感覚を自分の中で練り上げること。ミックス判定そのものが、声の成長に大きく関わるとは思えません。

ミックス判定は、正しい旅路を歩んでいる人の針路を捻じ曲げる可能性があります。完成された声しか認めない判定ならば、それは確実です。

針路を誤ったイメージ

判定する場合の注意点

上述したような意味で、私はミックス判定には殆ど価値を見出していませんが、ミックス判定を行う場合、以下の注意事項を参考に慎重に行ってください。

  1. 聞こえてくる音色で判定しない
  2. 出せている音の高さで判定しない
  3. 一喜一憂しない
  4. 声の成長性で判定

繰り返しになりますが、ミックス判定がミックス習得を妨げてはなりません。この原則を、忘れないでくださいね。

1. 聞こえてくる音色で判定しない

ミックスボイスは、弱い声から育てるもの。また、ミックス練習者=判定を望む人のうち、正しい道を歩んでいる人の声も弱いことが多いです。

この状態で、聴こえてくる声の質でミックス判定をしたら、一体どうなるでしょうか?彼、または彼女は、自分の正しい声を放棄してしまうかもしれません。

この意味で、表面的な音色でミックスボイスを判定してはいけません。弱い声でも、その後に繋がる声ならば全く問題ないのです。

2. 出せている音の高さで判定しない

この音が出せているからその声はミックスボイス、などと言う事はありません。そもそもの話、ミックスボイスは地声と裏声の境目、中音域を主戦場とする声です。

そもそも、ミックス習得を目指すにあたって、高音へ意識を向けすぎるのは避けるべきです。ミックスにおける一番の課題は、中音域の処理なのですから。

ミックスが活躍する音域は、地声で出せると思っている音域にも大きく重なってくるべきです。これによって、自由な発声に近づけるのです。

3. 一喜一憂しない

ミックス判定の実施は、ミックスを習得するために必須ではありません。そして、不必要なプロセスにわざわざ首を突っ込んでやる気を失うのは、もったいないです。

ミックスを習得するためには、声が弱弱しくまともに歌えないというフェーズを耐え忍び、通過していく必要があります。声の状態を評価しすぎるのは、成長に逆効果です。

判定をする際は、お出かけ前に本日の運勢を見るような軽いノリで、どんな結果が出ても笑って受け流せるくらいの余裕を持ちましょう。

4. 声の成長性で判定できればOK

無い無い尽くしで終わるのも問題ですので、判定をする際に何を基準にするべきかも軽く触れておきます。ズバリ、判定するのは声の成長性によってであるべきです。

ただ、ここで問題なのは、声の成長性を判断するのが難しいという点です。正しい知識と耳があれば判定は可能ですが、そうでない人も多いでしょう。

逆説的になりますが、これが故に、私はミックス判定に心を砕くべきではないと思います。大切なのは、シンプルな練習をコツコツと積み上げることだけです。

さいごに

ミックスボイスを習得するのは、コツや才能よりも努力がキーとなります。不安なうちは、とにかく裏声を鍛えまくればいい。それが、最も端的な私からの助言です。

ミックス判定は、練習モチベに悪影響を及ぼしかねません。自然と出来るようになった、を目指して、まずは歌を楽しむのが良いでしょう。

error: Content is protected !!