すぐにミックスボイスが出来るようになる。そんな言葉を見かけたことがありますか?その表現は、嘘でもあり本当でもあります。
何を持ってミックス習得とするかは、人によってバラバラです。つまり、貴方が何を目指しているかが、非常に大切になると言えます。
高みを目指すからこそ、安易に完成など言わない。そういう姿勢で一緒に練習に取り組んでいきませんか?
結論
声区融合は、古典ベル・カントにおける神髄ともいわれる技術です。そのような技術を出来合わせの練習で習得できるはずもありません。
ですから、長い時間をかけて声と向き合うべきです。人が賞賛するレベルに達しても、まだまだと思う人こそが更なる高みへ進むのです。
ミックスの実像
私たちは、ミックスボイスの実像を見つめることから始めるべきです。昨今、ミックスボイスという言葉が広まり、私たちもその知識を得ることが出来るようになりました。
しかし、このことはミックスボイスの習得難易度が劇的に下がったことを意味するわけではありません。私たちは、ここをはき違えてはいけません。
情報は玉石混交ですし、最終的には肉体で技術を会得せねばならないという原則は、イタリア・オペラの時代から何一つ変わっていません。
真のミックスボイス
ミックスボイスは、今も変わらずオペラ歌唱の神髄であり続けています。その前提のもと、ミックスという技術を習得するために必要な期間を考えていきます。
完全習得までの期間
コーネリウス・リード氏の著書内にも、熟達したオペラ歌手を評したこんなコメントがありました。その歌手のブレイク付近での処理についてのコメントです。
ベル・カント唱法 その原理と実践 P82より引用
賞賛すべき声と言えども、疑いなくどこか不完全なところがある。・・(中略)・・細心の注意を込めて、滑るように、この嘆かわしい小橋を渡っていることは、きわめて明白である
劇場で活躍したオペラ歌手ですらこういう状況です。私たちが望んでいるかもしれないミックスの爆速マスターは、果たして適切なことだと言えますか?
この意味で、私は、ミックスを完全習得することは無いと思っています。しかし、それが悪いことだとは全く考えていません。
一定のレベルまで
とは言え、先が全く見通せない暗いトンネルを歩き続けるのは困難です。私たちは、どれほど歩き続ければ、一定の成果という松明を得ることが出来るのでしょうか?
私の経験から言えば、オーディション合格圏内であれば、3~5年あれば到達できるでしょう。カラオケで賞賛されるレベルなら、もっと早く射程圏内となるでしょう。
とは言え、私たちは歌の技術選手権に参加しているわけではありません。誤解を恐れずに言えば、完璧である必要がないのです。
高みを目指すために
ミックスボイスは、日々のたゆまぬ努力を経て、ようやくその片鱗が見え始める物です。安直な決意や練習からは、真なる解放は決して生まれないのです。
それでは、私たちはどのように努力を重ねるのが良いのでしょうか?その問いへの答えとして、私が様々な記事を投稿しています。ぜひ、ご覧ください。
「ミックスボイスの作り方」、もぜひご覧ください!
貴方の夢を実現するお手伝いさせてください。貴方の大志をサポートするために、このブログがあるのですから。
さいごに
ミックスボイスの習得は、声の再生であり、復興であり、そして自由の探求でもあります。結果を求めすぎず、音楽を楽しむ気持ちで日々練習しましょう。
山を登っている間は気づかない物ですが、ふと振り返れば。貴方の後ろには登ってきた長い道のりが見えるはず。これこそが、理想です。