「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
「紫の夜を越えて」は、TBS系の報道番組「NEWS23」のエンディングテーマとして採用されている楽曲(2021年7月時点)。暗めの雰囲気と前向きな雰囲気同居した、興味深い楽曲です。
「猫ちぐら」に続き、ツアーが行えない中でリリースされた本曲は、特殊な社会情勢に置かれた私たちを励ましてくれる楽曲になっています。そんな本曲の魅力を、妄想全開で語っていきます!
「紫の夜を越えて」とは
「紫の夜を越えて」は、スピッツが2021年3月にリリースした楽曲です。ちなみにリリース日の3月25日はスピッツのデビュー日でもあったそうで、この日を持ってスピッツは、デビュー30周年を迎えています。スピッツと私はほぼ、同い年です!
1. お気に入り度
個人的評価は、星5つ。この曲は、彼らが発売したアルバム「見っけ」のツアーが中断を余儀なくされる中でのリリースとなったため、彼らの音楽に飢えたファンから、いつも以上に注目度が非常に高い中でリリースされました。
なお、この曲の一部分は、発売前からTBS系の「NEW23」のエンディングで使われていましたので、ラスサビ付近のメロディーは分かっていました。その時点名曲であることは明らかでしたが、私はフル版を聴いて、演奏全体の美しさに心を奪われました。
曲名 | コメント | お気に入り度 | |
1 | 紫の夜を越えて | とげまる |
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私がスピッツにハマるきっかけとなったアルバム「とげまる」になぞらえ、最高のスピッツが聴ける楽曲を「とげまる」と評価しています!
2. 曲の特徴
予想外の出来事の連続で、様々な苦労を余儀なくされている私たち。そんな私たちに向けられたスピッツからの応援ソングが、この「紫の夜を越えて」だと言えるでしょう。この曲は、紫の夜を越えるための応援ソングなのです。
「紫の夜を越えて」の魅力
「紫の夜を越えて」は、ライブツアーの延期によってスピッツの音楽に飢えていた私たちファンの心にスッと染み入り、心を温める栄養剤のような曲でした。そんな「紫の夜を越えて」の魅力を、以下の3点を中心に語っていきましょう。
1. 演奏の素晴らしさ
この曲を一言で形容するなら、それは「スピッツからの応援歌」となるでしょう。曲への愛着がそうさせるのかもしれませんが、この曲にはメンバー全員の真心が詰まっているように感じるのです。本当に優しく、力強く、心に染み入る演奏です。
この曲では、私たちの苦境と、その先にあるはずの世界が、演奏の強弱という形で表現されているように感じます。序盤の静かな演奏は、私たちが迷い込んでしまった世界、この曲でいうところの紫色の世界を表現していると言えるでしょう。
イントロでは、スピッツ名物のギターアルペジオが優しく響き、草野さんのボーカルを引き立てます。序盤のドラムとベースは控えめですが、演奏がサビへと近づくにつれ、ベースの存在感は増していきます。低いベースの音が、非常に心地よいです。
サビに入ると、曲調が大きく変化します。それまで控えめだったドラムが、サビの歌詞とタイミングを重ねるように力強く叩かれ、演奏に活力が生まれるのです。まるで、視界を覆っていた紫色の霧が吹き飛び、視界が一気に開けるような感覚を覚えます。
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2. ボーカルの素晴らしさ
この曲のボーカルには、草野さんの優しさが詰まっています。美しく、優しいハスキーボイスが紫色の世界を越えて、私たちに届くのです。カッコつけたところが一切ない草野さんのボーカルは、いつ聴いても体に染み入るような感覚を覚えます。
年齢を重ねてきてボーカルのスタイルも少しずつ変化している草野さんですが、この曲が持つ独特の温かみは、プロの歌手としての経験はもちろん、人間としても様々な経験をしてきた草野さんだからこそ出せるものだと確信しています。
だからこそ、この曲はどんなに技量の優れた歌手であっても、満足にカバーすることはできないと感じています。きっと、この温かいボーカルも含めて、スピッツというバンドのメンバー全員の心を感じる曲だから、そう感じるのでしょう。
ボーカルの一番の見せ所は、美しく力強いCメロのパートでしょうか。草野さんの温かいハスキーボイスは、Cメロにおいてとてつもない伸びを見せます。この伸びやかな声はきっと、紫色の世界の先にある、あの惑星にも届くことでしょう。
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3. 世界観の概要とその魅力
私たちが陥っている苦境の深刻さを考えるとき、逆境をバネにしてという言葉は適切ではないかもしれません。私たちが思いがけず陥った苦境は、人類史上に残るような大きな困難を伴うものだからでえす。
しかしそれでも、私たちはこの現実を何とか消化しながら、前に進んでいくべきなのだと思います。そして、泰然とした気持ちで「紫色の夜を越えて」を聴いたときに感じる感情こそが、この曲における中心的なメッセージではないかと感じます。
そして、私が受け止めたメッセージとは、押しつけがましくない種類の「一緒に頑張ろう」というものでした。この曲は、私たちが「紫色」の世界を越えて、新しい世界へと歩みを進めるために、そっと背中を押してくれる曲だと感じています。
スピッツは、私たちの苦悩を理解し、簡単に「それでも前進するべき」などと言えないことは理解しながら、それでも自分たちに出来ることとして、優しい音楽を奏でている。自分たちの音楽が、誰かの紫の夜に夜明けをもたらすことを願いつつ。
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歌詞の世界を妄想する
ここからは、実際の歌詞に沿う形で、曲のストーリーを考えてみます。ここでは、私たちがいる特別な社会情勢と曲のメッセージ性をいったん忘れ、もう少し一般的な形でストーリーを解釈します。その際のポイントは、以下の3点としてみます。
1. 登場人物はどんな人?
この曲に登場するメインキャラクターは、主人公と君。いつも通り、主人公が男性で、君は女性であるという考え方をしてみました。二人の関係は、友情関係と捉えることも可能ですが、ここでは愛情と信頼で結ばれたものだと考えます。
さて、主人公がどんな人かを考えるために歌詞を分析してみると、主人公の天邪鬼な姿が浮かび上がってきます。普段は構わないでと言いながら、誰も自分に構ってくれないと分かると一転して寂しがったり。この天邪鬼感、実にスピッツ的です。
彼は、何かに傷ついたほろ苦い過去も背負っています。ただし、今の彼は後ろ向きではなく、傷を受け入れながら前へと進んでいくつもりのようです。ただし、そのための大切な前提があります。それは、君が傍にいてくれること、です。
そんな「君」の人物像は、曲の出だしの歌詞によってある程度予測することが出来ます。彼女は、「紫の世界」には一般的ではない絵空事を嬉しそうに語る人物のようです。絵空事とは例えば、愛情や信頼、絆の重要性などかもしれません。
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2. 「紫の夜」とは?
「紫」という色自体が、草野さんにとって喜びのイメージ色ではないことは、既に述べた通りです。つまり、「紫の夜」とは、草野さんがあまり好意的に捉えていない世界の姿を象徴するものだと言えるのではないでしょうか?
では、ここでの「紫の夜」とは、具体的に何を指しているのでしょうか?私は、そのヒントが1番のサビ直前の歌詞にあると考えています。そこでは、快楽と正義について、決してポジティブとは言えない描写がなされているように思います。
この事から、「紫の夜」は、商業主義が行き過ぎた世界や、機械的で無機質な色に染まった社会のルールや合理性の掟を表していると考えました。そしてこの曲において、主人公たちは紫の夜の真っただ中にいるとされています。
このことは、人間たちが賢く正しく生きていく中で、何か大切なものを失っていることを示唆しているように思えます。そして、そんな紫色の世界の中で、主人公は何か考え続けているようです。その何かとは、「紫の夜」を越えた世界のことです。
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3.「紫の夜」の先の世界とは?
「紫の夜」を越えた世界とは、「紫の夜」に起こっていることとは違うこと、おそらくは逆のことが起こっている世界だと考えています。つまり、合理性や商業主義だけが正義を振りかざす世界ではなく、愛情や絆の重要性にも光が当たる世界です。
その世界とは、「紫の夜」の世界では愚かとされる想いを大切にできる世界です。損得や効率を考える前に、人間として当然の感情に沿って、お互いに助け合って生きる世界のことです。実態のある、匂いのある世界のことです。
主人公は、そんな世界を目指して行動を起こすことを決意するのです。そうすることは彼にとって、この世に再び生を受けることと同義なのです。逆を言えば、もしそうしなかったのなら、彼はこの世を生きているとは言えないのでしょう。
主人公も君も、ちっぽけな存在です。しかし、小さな一つずつが心を一つに何かに取り組んだのなら、何かが変わるような気がしているのです。だから今、諦めの言葉を呟くのを辞めて、代わりに目を開くのです。美しい世界を眺めるために。
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さいごに
以上が、私が持つ「紫の夜を越えて」の印象でした。正直なところ、この曲の解釈をすると言いながら、自分の価値観を曲の中に投影しているだけかもしれません。しかし、草野さんは、どんな解釈も笑って認めてくれるでしょう!