「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回ご紹介する「スターゲイザー」は、一世を風靡した恋愛番組「あいのり」の主題歌として起用されたスピッツの28作目のシングルです。その後、「色々衣」というアルバムにも収録されました。
「スターゲイザー」は、壮大な演奏と世界観が素晴らしく、色々と妄想を引き立てる楽曲です。この記事では、そんなこの「スターゲイザー」の魅力をお伝えします。
「スターゲイザー」とは
「スターゲイザー」は、スピッツの人気曲の一つ。恋愛バラエティ「あいのり」の主題歌に起用されたということもあり、スピッツのファン以外にも知名度がある曲だと言えます。そんな「スターゲイザー」の魅力をご紹介します。
1. お気に入り度
個人的評価は、星4と半分。最高評価には一歩及びませんが、素晴らしい楽曲だと思っています。最高評価に至らない理由は、ライブバージョンの演奏と比べて、CD収録音源が少し物足りないように感じるから。ライブが良すぎるのも、考え物です(笑)
曲名 | コメント | お気に入り度 | |
1 | スターゲイザー | 気品あるロック |
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2. 曲の特徴
スピッツというロックバンドが奏でる良質な音楽。草野さんのどこまでも伸びるような高音が美しい、スピッツを楽しめる一曲だと思います。メロもキャッチーですから、スピッツの人気曲を聴きたい方も、きっと満足するでしょう。
「スターゲイザー」の魅力
「スターゲイザー」は、「あいのり」というテレビ番組向けに作られた曲です。そのためか、個人的にはスピッツの曲としてはやや異色作のイメージがあります。そんな「スターゲイザー」の魅力を、以下の3点で考えていきます。
1. 演奏の素晴らしさ
「あいのり」の主題歌として起用されることは、「スピッツ」というバンドの展示会にもなったはずです。草野さんにそういう気持ちがあったかは分かりませんが、この曲のサウンドは、「スピッツここにあり」と言ったロックサウンドになっています。
この曲は、曲の流れを通しての強弱のつけ方が見事だと感じています。静かな出だし小サビ、重厚なイントロ、静かなメロ。曲の展開につれて演奏が力強くなり、最後の大サビで盛り上がりが頂点に達し、最後はアコギ一本で静かに閉められる。
大サビの盛り上がりはお見事の一言ですが、特に草野さんの高音ボーカルを支えながらも自らも躍動するかのようなベースラインがお気に入りです。田村さんが楽しそうに動き回りながら演奏しているシーンが脳裏に浮かんできます。
また、草野さんのアコギもお気に入りです。他の楽器が参加しないイントロのカッティングギターと、メロ部分での静かなアルペジオが素敵です。ロックサウンドにエレクトリックな力は欠かせませんが、アコースティックな響きも素晴らしいですね。
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2. ボーカルの素晴らしさ
先述しているように、この曲は「告白の返事を待つ夜」の心境が込められた、美しさと力強さを両立した歌です。主人公の、おそらく男性でしょう、男性は意を決して想いを告げ、その返事を待っているのです。当然、その心境は穏やかなものではありません。
この曲のボーカルからは、特別な歌唱テクニックは感じられません。あえて言うなら強弱による抑揚暗いでしょうが、それも全く大げさなものではなく、殆ど気づかない程度のものです。この曲のボーカルは、いつもの草野さんのスタイルです。
そんな添加物なしのボーカルからは、彼が抱く純情な気持ちが感じられるようです。意を決して想いを告げ、その返事を待つ不安な夜に押しつぶされそうになりながらも、彼女の返事を一途に待つ、そんな彼の姿勢が脳裏に浮かんできます。
この曲の一番の盛り上がりは、最後の大サビ。平均使用音域が少し上がることもあり、ただでさえ輝いている草野さんの声に、より強い輝きが宿ります。彼方まで届きそうな願いの声は、彼が彼女に伝えた想いを象徴しているのかもしれません。
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3. 世界観の概要とその魅力
草野さんのコメントを前提に歌詞を眺めてみましょう。すると、告白を終えた主人公が、星空を見上げている情景が頭に浮かんできます。彼は、遠くの光と彼女の存在を重ね合わせ、その星が自分の下に降りてくることを願っているのでしょう。
また、彼女が隣にいてくれないとしたら、それは困るとも歌っています。この困るという姿勢が興味深いです。「残念だ」とか「悲しい」ではなく「困る」なのです。彼女の存在が、彼にとってどれほど大きいかを示していると言えるのではないでしょうか。
2番のサビでは、二人が共に過ごしてきた日々を経て、主人公が告白に踏み切った瞬間が描かれています。告白は、一度きりです。「あいのり」の仕組み上もそうなるのですが、ここではそれは忘れて、一度の告白に全てを込めたという意味だと捉えます。
その言葉は、これまで泣いたり笑ったりしてきた二人の関係を決定的に変えてしまう一言。それは、まるで魔法の様です。彼が彼女の心に向かって全身全霊を持って投げ込んだボールを、彼女はどう受け止めるのでしょうか。
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歌詞の世界を妄想する
さて、この曲の作詞の意図は既に明らかになってはいるものの、私としては少し別の解釈をしてこの曲を捉えていました。それは、スターゲイザー=夢追い人という解釈でした。その解釈で、ストーリーを少し妄想してみます。
1. この曲のテーマは?
この曲に登場するのは、主人公と君です。「あいのり」を前提に考えるなら、二人は友人関係であり、主人公はその関係を変えるべく告白をした、ということになります。しかし私は、二人は既に信頼し合った恋人関係にあると考えてみました。
この曲のテーマを考えるということは、結局のところ「スターゲイザー」という言葉の意味を考えることになるでしょう。つまり、彼にとって何が星なのか、ということです。私は、彼にとっての星とは「君と歩く旅路」ではないかと感じています。
恋愛の力を軽視するわけではありませんが、この曲から感じる壮大な雰囲気を考えると、この曲が告白という一つの行動にフォーカスしているというよりは、もう少し大きなテーマを扱っている曲だと感じる自分がいるからです。
もしかしたら、二人で幸せな家庭を築くことがその夢の本質なのかもしれませんし、何かで身を立てるという計画が、その本質かもしれません。いずれにせよ、ここで大切なのは、その大きな夢の中には君の存在が不可欠であるということです。
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2. 主人公の人物像とは?
彼の考え方の一端が、歌詞から垣間見れます。世界を美しいとしながらも、装飾されているという言葉で形容している部分です。つまり、彼には世界は見てくれは良いけれども、それは自然の姿ではないという考え方があるのではないでしょうか。
一方で、そんな世界に敵意を持つ自分自身の姿勢を幼いとも形容していますし、現実的なバランス感覚は持っている人に思えます。だからこそ、そういった姿勢を鮮明にはせずに胸の奥にしまっているに違いありません。
このことに1番の歌詞を加味して考えると、彼は「やや抑圧された人物」に思えます。胸に秘める幼き頃の夢への想いと、大人として美しく生きる中でそれが無価値なものになりつつあるという現実。彼の中には、自己葛藤があることでしょう。
そんな葛藤を経て、彼は自分を解き放つことを決意します。一度きりの人生、思い切った行動を起こした様子が2番のサビで描かれているのかもしれません。そして、その旅路の隣には、君の存在が必要不可欠だと考えていることでしょう。
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3. この曲では、何が起こる?
主人公は、現在地から遠く離れた場所にある挑戦へと身を投じます。遥か彼方にある星は、到達不可能にも思えます。しかし、その星は離れていても強い輝きを放ち、彼を動かすのです。どうしても、そこに到達したい。彼はそう思ったことでしょう。
そして、この冒険は一人では絶対に成し遂げることが出来ないと彼には分かっています。しかし、二人でならどうでしょう。二人が一緒に力を合わせたなら、きっとたどり着ける。彼はそう信じているのではないでしょうか。
その夢を始める第一歩として、彼は飾られた世界に敵意を向けるのを辞め、もっと素直な心で世界を見るようになったのではないでしょうか。世界を変えるなら、まずは自分からです。飾られた世界だとしても、目を凝らせば星は見えるのです。
彼は、ゴミ箱が居場所だった夢を引っ張り出して、世界の姿をしっかりと見つめながら、遠くの星を目指して歩き出すのです。君と一緒に見上げた満天の星空は、息をのむほど美しく、その感動を原動力に二人は歩き続けていくのです。
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さいごに
私は自然が大好きですし、星空が大好きです。ですから、この「スターゲイザー」という曲は私のお気に入りです。この曲を聴くと、美しい星空を眺めるときの高揚感が浮かんできます。だからこそ、その解釈もちょっと大げさになるのです(笑)