「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「宇宙虫」は、スピッツの9thアルバム「ハヤブサ」に収録された、スピッツには珍しいインスト曲です。「宇宙虫」というタイトル通り、宇宙空間を思わせる静謐な雰囲気を漂わせた楽曲です。
この記事では、そんな「宇宙虫」の魅力を語ります。不思議な雰囲気を漂わせるインスト曲が、アルバムにもたらす効果とは一体?
「宇宙虫」とは
「宇宙虫」は、スピッツが2000年に発売した9thアルバム「ハヤブサ」の収録曲。前曲の「8823」は、最高のロック曲であり、大きな興奮を残した楽曲でした。この「宇宙虫」は、その熱くなったアルバムの雰囲気をクールダウンする一曲だと感じます。
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | 宇宙虫 | 静謐なインスト |
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1. 演奏への印象
正直なところ、「宇宙虫」という楽曲には、強い聴き所があるわけではないでしょう。ただ、それが逆にこの曲の持ち味なのでしょう。私は「宇宙虫」を「8823」が残した興奮の余韻を、静かに楽しむ休憩点という感覚で聴いています。
そんな「宇宙虫」の演奏には、美しさとともに、漂うような雰囲気を感じています。全体的にエコーが強めだからかもしれません。曲の出だしは少し寂し気な印象で耳に残りますが、その余韻もいつの間にか消え、優しいループに入っていきます。
宇宙に行ったこともないのに宇宙を漂うような感覚というのも変な話ですが、まさに宇宙空間を漂うような感覚があります。全てを宇宙に委ねて、宇宙空間を流れ往く感じでしょうか。眠気を誘うようなループが、脱力感を誘発するのでしょうね。
2. 個人的な想い
公式には3曲しかないと思われるスピッツのインスト曲の中で、最も控え目な印象を持つ曲がこの「宇宙虫」だと感じています。「リコシェ号」はかなりイケイケな雰囲気ですし、「SCAT」はインスト曲かも微妙な、尖ったオンボーカル曲ですからね。
「宇宙虫」とは私達人間自身であり、私たちが泳ぐこの世界こそが宇宙なのでしょう。あえて人間を虫と表現するのは、人間と言う存在が、彼ら自身の思い上がりを別にすれば、虫と何も変わらないちっぽけな存在だからではないでしょうか。
ただ、虫は虫なりに一生懸命生きているもので、軽蔑の対象などではありません。この「宇宙虫」が持つ優しい雰囲気には、私たち宇宙虫がその生に全力を傾けることの美しさや、生命の終焉が温かなゴールであるという示唆を感じています。
さいごに
個人的に、宇宙には色々な印象を重ねていますが、その中の一つが優しき母。曲内で優しくどこか悲し気な音色は、母なる宇宙に零れ落ちて波紋を広げ、やがて消え往く宇宙虫を表すのかもしれません。どことなく、諸行無常を感じる楽曲ですね。