スピッツの曲

スピッツの「月に帰る」の魅力を語る。歌詞の意味も独自解釈

an image of the song
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回ご紹介する「月に帰る」は、デビューアルバムに収録されている楽曲で、初期スピッツのどこか文学的な雰囲気を体現する一曲。

私にとっての「月に帰る」は、気品ある世界観が特徴的な良曲といったところ。この記事では、そんな月夜を感じる曲に対しての想いを、歌詞が生み出す世界観への考察を中心として語っていきます。

「月に帰る」とは

「月に帰る」は、1991年に発売されたスピッツのデビューアルバムの収録楽曲です。曲のテーマやボーカルスタイルはバラード寄りですが、ポップな雰囲気もある気がします。また何より、意味深で言葉足らずな歌詞が、とても印象的です。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1月に帰る意味深・幻想的

 

1. 演奏への印象

この曲をなんと表したらいいか迷う。それが、私がこの曲に対して持つ率直な印象です。曲のテーマやポップなボーカルからは、優しさと儚さを感じますが、ベースをはじめとする演奏からは、しっかりと根を張る力強さを感じる部分もあります。

ただ、全体としては、やはり幻想的な世界観が勝るでしょうか。初期スピッツらしい抽象的な歌詞の中で、美しく、そして妖しく光る月の明確な描写が繰り返し登場することで、月を主軸とする世界観が強く印象付けられています。

また、1分半ほどもある後奏も印象的です。個人的には、君に別れを告げた主人公が、ついに月へ帰るシーンを想像します。この後奏からは、君への温かな想いに加えて、彼が世界を去ることへの名残惜しさが感じられる気がします。

an image of imaginary scene that this song implies

2. 楽曲全体への想い

いきなりですが、私は月が好きです。「月」は、太陽の影、脇役である一方、影だからこその美しさも感じます。「月が綺麗ですね」という有名な言葉も、もし月が太陽のような主役の存在だったとしたら、その魔力を失ったことでしょう。

また、月には美しさを感じる一方で、妖しさも感じる点が魅力的です。月には、二面性があるように思うのです。この曲にも、色の異なる二種類の月が登場しますが、もちろん意味合いは異なるでしょう。それぞれの意味を想像してしまう自分がいます。

初期のスピッツ曲の多くには、抽象的または幻想的な世界観があり、短編童話を読んでいるかのように錯覚することがあります。そして、この「月に帰る」は、そんな没入感のある曲の筆頭候補。貴方も、「月に帰る」の世界に浸ってみませんか?

an image of the moon

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「月に帰る」の曲の歌詞を自分なりに解釈しつつ、その曲が描く世界観をなるべく具体的に妄想してみます。なお、今回の妄想のテーマは、「優しい別れ」とします。具体的には、以下の3つのトピックを中心に検討していきます

これはただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください

1. 登場人物の整理

この曲に登場するのは、主人公と君の二人ですね。主人公が、君との想い出を大切にすると繰り返し宣言していることから、その親愛の情は明らかです。二人は、ふとしたきっかけで意気投合したが、すぐにお別れをしなくてはならない二人に思えます。

主人公と君は、それぞれ赤と黄色の月生まれとされていますが、これが意味することについて説得力のある考察をするのは無理そうです。ただ、月生まれというフレーズから、主人公は月から来た何者かなのかもしれないとは感じました。

また、草野さんが歌詞で使う色は、特別な意味を持つことがあります。「紫の夜を越えて」では、紫を孤独の色としていました。今回の色彩表現も、何かを意味するかもしれません。少なくとも、二人の立場の違いは暗示していそうです。

ところで、月が赤く見えるのは皆既日食のときらしいです。皆既日食とは、月が空から太陽を消し去る現象。もし、太陽を表の世界の象徴だとするならば、それを覆ってしまう赤い月は何でしょう。赤い月の生まれである主人公は、何か違う世界の力をまとった存在かもしれません。
an image of him, who came from the red moon

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2. 何故、月に帰るのか

「月に帰る」のサビでは、「さよなら」という言葉が登場します。このことから、この曲は「別れの歌」と考えて問題ないでしょう。主人公は、何らかの理由で月へと帰ろうとして、君とお別れをしなくてはならないようです。

ところで、サビから感じる気持ちは、「本当はまだここにいたい」というものではないでしょうか。彼は、本当はそこにいたいのに、どうしても月に帰らなくてはいけない。私は、このサビにタイムリミットのようなものを感じます。

彼が月へ帰るのは、月が彼を呼んでいるからと考えています。では、月が彼を呼ぶとは、どういう意味でしょうか?私はこれを、赤い月が彼にかけた魔法がもうすぐ切れて、彼がその場にいることが出来なくなるという意味だと考えました。

やはり月をモチーフにした歌だと、どことなく神秘的な物語を連想してしまう自分がいます。彼は赤い月の魔法をその身に纏って地上に降り立ち、思いがけず意気投合した君との交流を楽しみます。しかし、時の流れは残酷です。彼に残された時間は、もう長くはない気がします。
an image of magic he used

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3. 永遠の別れ

サビでは、主人公が君へと抱く惜別の想いが見られます。特に印象的なのは、「君のことを忘れない」という想いでしょう。このことは、ひとたび別れたら、もう二度と会うことはできないという物語をイメージさせます。

完全な妄想ですが、例えば月の魔法は、100年に一回しか使えないとか、そういった理由かもしれません。いずれにせよ、主人公は、君との名残を惜しみつつ、君と過ごす最後の一日を、綺麗に愉快に過ごしているのではないでしょうか。

別れの時間がやってきたとき、主人公が君の寝顔を見つめながら、心の中で別れを告げている気がします。二人で野原を駆け回って疲れ果てた君は、もう寝床の中です。もちろん君は、二人の間にサヨナラが訪れるなど想像もしていません。

この曲は、月から来た兎と無垢な少女が交流する物語に思えました。しかし、彼らの魔法の時間はおしまいです。誤用気味ですが、彼らの「想い出の走馬灯」のような後奏の最後には、ギターの不自然なミュートがあります。まるで、主人公の姿が急に消えてしまったかのように。
the moon he is reaching

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さいごに

今回の曲解釈では、赤い月の魔法でその身を少年に変えた若い月兎が、君という少女と一緒に楽しく遊びまわった後で、永遠の別れを迎える物語を考えました。月マニアの私には、どうしても月と兎を結び付けたがる傾向があるようですね(笑)

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