スピッツの曲

スピッツの「悪役」の感想。「空想」を軸に、歌詞の意味も考察

「悪役」のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「悪役は、スピッツの42ndシングル「優しいあの子」のカップリング曲。強いロックエナジーを感じる、勢いある一曲ですね。

この記事では、そんな「悪役」の魅力を語り、歌詞の意味も考察。成熟した複雑さより、幼稚な空想に憧れる青年の物語を考えました!

「悪役」とは

「悪役」は、2019年発売の42ndシングル「優しいあの子」のカップリング曲です。「優しいあの子」は純なる雰囲気を感じる温かく優しい一曲でしたが、この「悪役」はロックバンドスピッツを強く感じさせる、エネルギッシュな一曲ですね。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1悪役エナジーロック
「悪役」のイメージ

1. 演奏への印象

「悪役」の演奏は、迸るエネルギーを感じるものですね。ラジオ番組での草野さんの談によれば、「悪役」はバンドとしても思い入れの深い曲とのこと。「悪役」は、ロックバンドとしての原点を感じさせるような曲ですから、それも頷けますね。

イントロのドラムの連打具合と言い、動き回るギターと言い、スピッツ曲の中でもテンポが速めの曲として分類できそうですね。最後まで一気に駆け抜けるその勢いには高揚感を覚えますが、この勢いを疾走感と呼ぶのは爽やかに寄りすぎる気もします。

私にとって、「疾走感」は正義の主役にお似合いに響くため、「悪役」と銘打たれた曲での勢いは、例えば「突撃」や「迸り」と表現した方がしっくりくる気もします。足をもつれさせそうにながら坂道を駆けおりるような、止まれない感を感じますね。

曲に感じる勢いのイメージ

2. 個人的な想い

スピッツの曲には、特別な力がないことへの劣等感を吹き飛ばし、凡人なりに道を切り開く勇気をくれる曲が多いと感じています。もちろん、スピッツがファンを凡人に見立てているわけではなく、私が歌詞中の葛藤をそう解釈しているということですが。

そして、この「悪役」も、自分らしく輝くための応援歌だと感じています。この曲で言う所の「悪役」とは、スピッツの曲によくある常識の掟との対立構造を示していると感じます。常識と馴染めない主人公は、世間一般から見て「悪役」になるのです。

普段のスピッツ節だと、掟に歯向かう者は誇りある愚か者として描かれることが多い印象ですが、この曲では少し角度を変えて「悪役」になるのですね。ただ、歌詞の本質は変わらず、私はこの「悪役」からも、自分らしく生きる勇気を貰っています!

「悪役」が付ける仮面のイメージ

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「悪役」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「チラ裏の空想って、イイよね」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!

解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスまとめています

空想が炸裂するイメージ

1. 考察の前提

「悪役」には、常識の掟との対立を抱えた主人公を感じます。世界では、常識に反する者は社会悪であり、「悪役」。そして、多くの人は常識を身に着けることでその悪名を回避しようとしますが、彼はあえて常識に背を向け、「悪役」を受け入れるのです。

また、常識の掟と彼の対立は、「複雑」と「単純」の対立だとも感じます。掟から見れば、彼が大切にする「チラシの裏」は価値のない落書きの象徴であり、そこに描かれるものは全て、成熟さの欠片もない取るに足らない絵空事、空想に過ぎないのです。

また、曲中に登場する「英雄」と彼の対比も、世界での彼の立ち位置を示していますね。「英雄」は清く正しく美しくを地で行く、まさに掟の権化。そしてその世界の中では、掟を軽んじる彼は、英雄の足蹴という正義の鉄槌で成敗されるべき存在です。

強いとは言えない彼は、悪者扱いされたいわけではありません。ただ、描いた空想を実現するためなら、その汚名を受け入れる覚悟です。そんな彼が憧れるのは、単純で自由で、ややもすれば幼稚な世界。以降では、そんな世界に君と一緒に旅立つことを願う青年の物語を考えます!
複雑な世界のイメージ

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2. 空想

この世界では、空想は否定されるもの。年を重ねて成長したならば、現実をしっかりと捉えたうえで、論理的な思考で根拠を積み上げ、成熟した理想を描くべきなのです。世界の秩序と発展に貢献する崇高な理想を抱くことが、人間の使命なのですから。

しかし彼は、崇高でもなければ根拠もない空想が大好き。掟通りに年相応に成長していれば、今頃ご立派な手帳を開き事細かな予定を書き入れるところ。ただ彼は、未だにチラシの裏に嬉々として妄想をばら撒く、子供じみた振舞いを続けていました。

成熟しているべき世界の中、根拠のない子供じみた妄想は、価値がないどころか有害。世界の常識のそんなスタンスは、彼にも分かっています。世界は真面目で複雑であるべきで、その正しさを乱そうとする者は、掟にとっては目障りな悪者なのだと。

彼がチラシの裏にバラまく妄想は、掟知らずの自由な日々。それは、成熟した大人としての夢ではなく、ウキウキだけを目的とした単純で幼稚な夢。そして、いい大人が根拠もなければ崇高でもない夢を持つなど、掟への反逆そのもの。そんな彼は、間違いなく爪弾き者と言えました。
彼が描く単純で子供じみた世界

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3. 高壁

世界の掟に反する愚かな彼。そんな彼には、この世界はあまりにも複雑な場所、何もかもを難しく考えすぎる場所に思えるのでした。人の幸せも、理想も、そしてこの世界の在り方も。全て、そんなに高尚で複雑でなくてもよいはずではありませんか。

人間を賢い存在として捉える掟。その行動を統制し、美しい秩序を作り上げる掟。この世界の至る所に編み込まれた無数の掟は、彼には周囲を取り囲む壁のように感じられます。そして彼は、その壁の中で難しい顔をして生きたいとは思えないのです。

掟の壁は高く、誰もその壁を越えることは出来ないと思う人もいるでしょう。ただ掟は、所詮後付けの論理で、人間の本質を閉じ込めることは出来ません。彼からすれば、心を開いて本心に従うだけで、掟を越えていくことが出来るのは明白でした。

こう言えば、掟を越えるのは簡単なことにも思えますが、そうではありません。何故なら、掟の教えは当然のものとして人々の間に沁み込んでいるから。本来は後付けの論理だった掟は、巧妙に擬態して人々の心に深く浸透し、今や本心すら上書きする力を持ち始めているのですから。
掟の壁とその外の世界のイメージ

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4. 悪役

全てが理知的に積み上がった人工的な世界ではなく、自然であるがままの世界。多種多様な欲望の匂いに満ちた複雑な世界ではなく、新緑の香りが広がる単純な世界。彼の本心が描く空想の世界はそんな場所で、彼は君と一緒にそこを目指したいのです。

その望みを叶えるためなら、世界に悪者とみなされて糾弾の雨を受けても構いませんし、掟の執行者たる英雄に足蹴にされても大丈夫。掟に従う人々は、そんな彼の無様な姿を見て喝采の声を挙げるでしょうが、全ての経験は彼を強くするでしょう。

決して強くはない彼と、掟破りの空想。君の心配ももっともですが、それでも彼は掟で作られた緻密な世界を越え、本心が描く単純な世界を目指すつもりです。憧れた世界で君と一緒に過ごすためならば、彼は喜んで悪役の名を受け入れるでしょう!

私にとっての「悪役」は、掟の正義と対立する心を抱いた青年の物語。掟の正義は、幾重にも折り重り複雑で高尚な世界を作っていますが、彼が望むのはそんな複雑な掟とは無縁の、本心が中心の世界。彼が空想する掟破りの世界は、派手さはなくとも自然の香りが漂う場所でしょう!
「悪役」のイメージ

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さいごに

個人的に、主人公が条件付きで「悪役」のレッテルを受け入れる姿勢に親近感を覚えています。彼は、完全無欠のダークヒーローではなく、糾弾の雨で傷を負う普通の青年。それでも、己の理想のためなら、悪評を受け入れる勇気があるのですね!

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