スピッツの曲

スピッツの「名前をつけてやる」。ピンクな解釈にあえて反旗を翻す

スピッツ、「名前をつけてやる」のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回ご紹介する「名前を付けてやる」は、スピッツの2作目のアルバム「名前をつけてやる」に収録された、ロックサウンドを楽しめる曲。また、少しピンク方面を匂わせる歌詞も面白いですね。

この記事では、そんな「名前を付けてやる」という曲への感想を述べたうえで、この曲の歌詞の解釈にも挑戦していきます。君と出会った主人公は、いったい、何に名前を付けたのでしょうか?

「名前をつけてやる」とは

「名前を付けてやる」は、1991年発売のスピッツの2ndアルバムである「名前をつけてやる」のタイトル曲。前作のアルバムから僅か8か月後のリリースという急ピッチアルバムで、草野さん曰くあまりレコーディングが印象に残っていないとのこと。

この曲が、このアルバムのリード曲であるというイメージはありません。このアルバム自体、コンセプトアルバムというより、良曲が集められたアルバムという印象なのです。だからと言って、アルバムの価値が下がるという訳ではありませんがね!

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1名前を付けてやるとんがりロック
名前を付けてやるイメージ

1. 演奏とボーカル

私としては、ロックな演奏だなと思っています。ギターとベースのサウンドがお気に入りです。特に、メロでの煽りを入れるようなギターと、それに被さるようなベースの共演が作り出すサウンドには、ロック魂がくすぐられます。

サビに入ると、少し雰囲気が変わるのも面白いです。やや早口気味だった歌詞が、普通に戻るからかもしれません。サビや間奏はまったり気味ですが、曲の最後のスキャットは、まったりを通り越して少し寂しい感じすらします。

ところで、メロの部分に入っているオクターブ下のボーカルは、草野さんのものでしょうか?何となく、三輪さんっぽいなと思ったのですが、どうでしょう。少なくとも、草野さんがこんなに低い声で歌っているのは聴いたことがなかったです。

an image of being lonely

2. 個人的な想い

もちろん、この曲はピンクな曲として有名です。歌詞を読めば、その解釈が当てはまる気がしますし、異論などありません。ただ今回は、その解釈を離れたいです。分かりやすいピンクさは、草野さんが張った煙幕ではないかとも感じるからです。

この曲の解釈で重要かもしれない点は、主人公が何に名前を付けたのかということと、何故少し上から目線なのかということかもしれません。ここをどう解釈するかによって、この曲が持つピンク度が変わってくると感じています。

もし、ストレートなピンクさが草野さんの煙幕だとした場合、この曲のテーマはどんなものになるでしょうか。もし、この曲のテーマは、煙幕の奥に隠された「純情さ」であるとしたら、それは、奇抜で挑戦的すぎるでしょうか?

an image of the song that might be pure

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「名前をつけてやる」の歌詞を考えながら、この曲が描く世界を考えてみますす!今回のテーマは、「似合わないこころ」としました。そんなこの曲のテーマを構築するトピックとして、以下の4つをご用意しました!

曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です

1. 出会った二人

この曲に登場する二人は、メロの出だしで、誰も知らないような街の片隅で偶然に出会い、意気投合したとされています。特に妨げる要素も無いので、二人は若い男女と考えることにします。また、そんな二人は、良く似ているとも描写されています。

ところで二人は、冗談を言って笑い合い、ひと時の安らぎを得ていますが、その夢から覚めたときは、寒さを感じているようです。この描写から、私は、二人の共通点とは、物足りなさを虚勢で埋めようとする性格ではないか、と考えました。

ただ、二人が寂しさに支配されて暗い人生を送っているかと言うと、そうでもないと思います。二人はあくまで、何となくモヤモヤしているだけ。そして、そのモヤモヤを埋める方法として、お互いの存在が上手くハマったのではないでしょうか。

この曲全体の雰囲気として、どんよりとした「曇天感」があるように感じています。雨は降らないまでも、晴れ渡る青空は見えない。とは言え、別に青空を積極的に求めている訳でもない。曲中のよく似た二人は、曇り空の世界をのらりくらりと生きているような気がします。
an image of cloudy world they live

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2. モヤモヤを埋めて

2番のメロの描写を見ると、そんな二人が街の広場で待ち合わせる様子が浮かんで来ます。時刻は8時とされていますが、曲のイメージ的には、夜8時ではないでしょうか。この曲には、朝の光のイメージが似合わない気がします。

規模の小さな街の夜8時となれば、広場と言えど人影もまばら、いや誰もいない気がしています。二人がヒソヒソ声で話しておどけているのも、夜の静寂が二人を包んでいるからかもしれません。二人は、二人だけの世界で楽しんでいるのでしょうか。

広場には、子供用の遊具なども置かれているようですが、それらも既に眠りについて、動かないようです。その様子は、二人の心情を暗示しているかもしれません。外面的にはそれなりに楽しそうでいながら、その実、心の底には熱いものがない様子を。

二人は、出会って以来、このように遊ぶことで時間を共にしてきたのでしょう。しかし、二人にとってのこの日々は、あくまで穴埋めの日々であり、特別な価値があるものではありません。だからこそ二人は、どちらともなくそろそろ止めにしようか、と考えているのかもしれません。
霧の世界のイメージ、もやもやのイメージ

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3. 誤魔化せない心

サビでの「でっぱり」とは、物理的な表現ではなく、心の中を形容したものだと捉えてみました。スピッツ語いう「トンガリ」と同じ、プラス方向の言葉としてです。ここでは、心の奥にひっそりと生まれた純粋な気持ちという意味で捉えました。

主人公は、君との別れの夜を悟り、自分の本心を打ち明けたいと思ったのではないでしょうか。二人の関係は、お互いの空虚を埋める遊びで、いつ終わっても良い物のはずでした。しかし、主人公の気持ちは変わり始めたのかもしれません。

今日が、最後の夜。何もしなければ、二人はそのまま別れていく。その当たり前だったはずの別れに対して、主人公の心は波立ち、心の中にデコがある。そんな彼は、漫然とこの別れを見送る気持ちには、なれないのではないでしょうか。

事なかれ主義で、それなりの毎日を送ってきた主人公。二人の関係も、あくまで退屈しのぎで、恋だの愛だのの青臭い話ではなかったはずです。しかし、最後の夜を過ごす主人公は、自分の中に残っていた真面目な気分に苦笑しながらも、自分の変化を感じているのかもしれません。
凸凹のイメージ

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4. 名前をつけてやる

退屈しのぎ的に始めた二人の関係に対して、主人公は特別な想いを抱き始めました。彼が抱くのは、曇天の彼には似合わない、バカみたいに純情な気持ち。彼は、その想いに対して、名前を付けようと考えたのではないでしょうか。

主人公は、本気になった自分自身に対し、苦笑しているかもしれません。こんなことに本気になるなんて、馬鹿らしい。そう思いながらも、彼は一生懸命に考えます。彼が考えているのは、立派さと愚かさを象徴する名前です。

これは、彼自身の気持ちに、その両面があるからかもしれません。君に向ける純情は、長い間忘れていた感情とは言え、価値のある物です。そして、今更そんな青臭い感情を抱き始めた自分に対して、呆れる気持ちもあるのかもしれませんね。

曲中の「誰」という言葉が係っている対象には悩みましたが、「自分の手で、誰よりも立派で愚かな名前を考えてやる」という意味で解釈しました。これならば、名前を付ける対象が「人」でなく「物」でも問題ないはずです。頭を捻ってみましたが、一応筋は通っているでしょうか?
an image of love he has

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さいごに

この曲を初めて聞いたとき、何故か「別れの気配」を感じたのを覚えています。特に気になったのは、急に大人しくなる美しい後奏。この後奏が、彼が隠し持つ純情さを示している気もしますし、彼の失恋を表している気もします。貴方は、どう思いますか?

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