「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「旅人」は、スピッツが1996年に発売した14thシングル「渚」のカップリング曲。明るくお気楽な雰囲気を持つ一曲ですね。
以降では、そんな「旅人」の魅力を語りつつ、歌詞の意味も考察。今を変革の時とし、自分を変えようとする青年の物語を考えました!
「旅人」とは
「旅人」は、1996年に発売されたスピッツの傑作曲「渚」のカップリング曲。「旅人」は、「渚」が収録されたオリジナルアルバム「インディゴ地平線」には収録されませんでしたが、1999年発売のスペシャルアルバム「花鳥風月」に収録されました。
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | 旅人 | 軽やか・伸びやか |
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1. 演奏への印象
「旅人」の演奏は、とにかく明るい雰囲気を強く感じるものです。「渚」の気品ある雰囲気に対し、この「旅人」はあえてそれを混ぜっ返すような軽妙なノリを持った曲だと感じています。「渚」と「旅人」で、上手くバランスがとられている感じですね。
特別連打されるわけでもありませんが、曲の中心にはドラムのリズムを強く感じます。イントロの太めのドラム音もいい味を出していますし、その後のリズムもシンプルながら強い存在感があります。曲の明るい雰囲気を支える演奏だと言えるでしょう。
また、「旅人」は全体的に高音使用率が高く、そのボーカルは少年感の強いものになっていて、歌詞に感じる若者的な青さとマッチしています。今の草野さんの声質なら、この感じにはならないでしょう。もちろん、今バージョンも聴いてみたいですが!
2. 個人的な想い
「旅人」には若くて青い勢いを感じるため、スピッツ初期のパンク的な雰囲気と重なる雰囲気を感じています。表面的にな明るく爽やかですが、その裏には投げやりな感情がある感じ。若者言葉的な歌詞表現も、パンキーな感覚に繋がる要因の一つですね。
ところで、私はこの「旅人」をしばしばカラオケで歌うのですが、DAMで選曲したときに流れる映像が印象に残っています。かなり癖のある物語が展開され、歌詞との直接的なリンクはないのですが、お気楽な雰囲気には共通点を感じていますね。
また、「旅人」は高音域を多用する曲ですから、ミックスボイスの練習曲としてもよい課題曲になるでしょう。サビで「い」のロングトーンがあること、低音から高音とその逆の距離の長いジャンプがあることなど、その歌唱難度は結構高めだと感じます。
歌詞の世界を考える
ここからは、「旅人」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「今こそが決断のとき」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!
解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスをまとめています!
1. 考察の前提
旅人とは、周りの環境を捨てて新たな場所へ向かう存在で、変化の象徴だと言えるでしょう。即ち旅人になることは、変わろうとすること。つまり、サビで描かれる旅への逡巡には、現状を変えたいという主人公の意思が滲んでいると言えるでしょう。
メロを見ると、彼の人生が上手くいっていないと分かります。1番メロでは「なで斬り」された彼が描かれていますが、これは彼が挫折を味わったことを示しているでしょう。今回の解釈では、彼が味わった挫折は君への失恋だとして考えていきます。
彼は君を忘れるため、恋で真っ赤に染まった心を無理くり別の色で上書きしようとしています。また、彼の恋が雷光に準えられていますが、雷光とは激しく輝くものの、直ぐに消えてしまうもの。彼の恋もまた、激しく燃えてあっさり消えたのでしょう。
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2. またこれか
もう考えても仕方がない。人なら彼にそんな助言を贈るでしょうが、彼はなかなか君が忘れられずにいました。君への想いは、既に彼の心に根を張ってしまったのです。寝ても覚めても、彼を虜にしたあの魅力的な瞳が彼の脳裏をよぎるのでした。
関係が破綻したのは、彼が色々と急ぎ過ぎたからなのでしょう。君の心を掴んだと思い浮かれ過ぎた彼は、痺れる刺激を追うがあまり、盛りの動物のように振舞ってしまったのです。そんな余裕のない彼の姿は、君のお気に召さなかったに違いありません。
そうして彼の恋は、あっという間に終わりを告げたのでした。それまでの甘い日々が嘘のように、彼はあっさり振られてしまったのです。大体いつもツイていない自分にもようやく幸せな日々が巡ってきたと思ったというのに、結局はこのザマでした。
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3. からっぽ
君が感じた彼の熱量は、彼の恋心の極一部。彼はまだまだ、はち切れんばかりの君への恋心を次々と送り出し、君を喜ばすことが出来たはずでした。ただ、二人に訪れたのは熱い日々ではなく、お寒い別れ。全くもって、受け入れがたいことでした。
君は意地悪なドッキリをしているだけで、すぐにひょっこり戻ってくる。そして、全てが冗談と分かって大団円を迎える。彼は、こんな空想が真実だと信じようとして生きて来ました。しかし音沙汰なしが続くにつれ、その空想も弱まっていったのでした。
臆病な彼には荷が重くとも、いい加減、真実と向き合うべきなのでしょう。君との全てをスッパリ諦めるのです。一人で新たな道を進むのはとても勇気のいることですが、空想の中で生き続けたなら、結局何一つ手に出来ないままで果てる気がしました。
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4. 旅人
自分を変えるなら、今しかない。今この時は、空虚な自分に背を向けて運命に不貞腐れ続けるか、自分の過ちを認めて新たな自分になれるかの瀬戸際。そして、空想に逃げ続ける自分に苛立つ心が、この無為の人生をひっくり返すとっておきの力です。
自分を変えたいという荘厳なる想いが今、彼の中にフツフツと湧き上がっていました。ただし、そのご立派な決意がいつまで持つかは分かりません。彼の本質は、臆病で目の前の餌に釣られる、青いカンガルーなのですから。ただそれでも、今ならば。
胸の内に苛立ちが生んだ決意があるうちは、一歩踏み出すことができます。君に障害を捧げるという密やかな誓いも、もう捨ててしまいましょう。君がいない以上、考えても仕方がないことです。寒々しい旅立ちを前にした彼を、夕日が照らしていました。
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さいごに
「旅人」は、君への愛の告白を中心に据えた解釈も出来そうですね。その場合は、1番メロ前半の内容は彼の夢の出来事、後半は人生全般への不満になるでしょうか。草野さん的には告白曲として作った気もしますが、私の感想は私の感想と言うことで!
失恋こじらせて自殺の決意をしたよ。って曲だと思います。
コメントありがとうございます。スピッツの音楽は面白いですね~♪