「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「海とピンク」は、スピッツのデビューアルバム収録の問題作。と、言うと大げさですが、歌詞はピンクな解釈が可能です。
時折、ライブでも演奏される人気曲で、私としても一度は生で聴きたい曲の一つです。この記事では、そんな「海とピンク」の魅力を、歌詞への考察を交えつつお伝えします!
「海とピンク」とは
「海とピンク」は、スピッツが1991年に発売したデビュー・アルバム「スピッツ」の収録曲です。このアルバムが発売されたのは、もう30年も前になるわけですが、収録された曲が古いと感じることは全くなく、むしろ躍動感に溢れています。
今回ご紹介する「海とピンク」は、そんな雰囲気の代表曲。ポップでキャッチーなメロディーがコンパクトに纏められていて、この曲を聴くたびに小躍りしてしまう自分がいます。そんな「海とピンク」の個人的なお気に入り度は、星4.5としました。
曲名 | コメント | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | 海とピンク | スピッツエッセンス満載! |
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「海とピンク」の印象
「海とピンク」は、リリースから30年ほどたった今でもライブで演奏されるなど、初期スピッツの人気曲の一つです。私自身も、かなりお気に入りの曲であり、結構な頻度で聴いたりします。以降では、そんな曲の魅力を以下の観点で語っていきます!
1. 演奏について
この曲全体から感じる、「キラキラの宝石箱感」は間違いなく、素晴らしい演奏から来ていると言えるでしょう。全体として素晴らしい演奏ですが、一番の聴きどころはアコギ。なかでも、イントロとアウトロで使われる特定のメロディーが最高です!
「テーンテテテッ・テッテッテ・テッテッテー・デン!」。このアコギが大好きです。文字にすると馬鹿みたいですが、この曲を聴けば、私が思わずこんな文字起こしをしたくなった理由が分かると思います。この部分が、本当に好きです!
CD版でも、十分にアコギサウンドが聞こえてゾクゾクしますが、ライブ版だとより一層とアコギサウンドが聴こえてくるので、そちらもおススメです。またライブ版では、軽妙な雰囲気の代わりに、力強いロックサウンドを楽しむこともできます。
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2. ボーカルについて
この曲のボーカルも、大好きです!初期の草野さんの少し少年感のある声が、この曲のボーカルにピッタリだと思っています。ただし、この曲のボーカルはただ可愛い声で歌っているだけではありません。その声には、ちょっとしたパンク感を感じるのです。
この曲の歌い手のイメージは、ちょっと浅はかな青年と言った感じでしょうか。楽そうなことや楽しそうなことに目を引かれがちな青年。この曲のボーカルの「ちょっとした投げやり感」は、そんなちょっと未熟な青年像を彷彿とさせる気がします。
一方、ライブ版からは、少し違う印象を受けます。この曲のCD版ボーカルが持っていた少年感は薄れて、さすらいの旅人感が出てきている気がします。どちらも大好きなスタイルですが、やっぱりライブ版の方がよりワクワクしますね!
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3. 歌詞について
この曲の歌詞は、スピッツファンの中では初期の名作の一つとして賞賛を集めていると感じています。スピッツ初期の曲においては、ピンクな示唆を持つ曲が多かったりしますが、この曲の歌詞の中心的な解釈は、タイトル通りのピンクなものでしょう。
おそらく、草野さんの作曲意図もそのあたりにあったのだろうとは思いますが、私個人としては、別の解釈をしたいと感じています。例えば、「ちょっと不健全な二人」とか。いずれにせよ、二人の男女をテーマにした曲であるとは感じています。
とは言え、浜辺での無邪気な貝殻拾いの歌としてもいい気もします。この解釈は、歌詞の表面に張られた煙幕に騙された解釈でしょうが、あえてそれを知った上で、曲が持つキラキラの雰囲気に全力で飛び込むのも、一興ではありませんか?
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歌詞の世界を妄想する
ここからは、「海とピンク」の歌詞を考えつつ、この曲が描くストーリーを考えてみます。今回の妄想のテーマは、「刹那的な日々」としました。その妄想を構築する上で重要となるトピックを、4つほど準備しました!
1. 妄想の前提
この曲に登場するのは、主人公と君です。私はこの二人を、ちょっとだらけた恋人以上友達未満と考えました。曲内に散見される「毒」「騙す」などのマイナスの歌詞が気になっています。曲調は明るいですが、少し捻くれた解釈が適している気がします。
二人は一緒に遊んだりして、かつ体を寄せ合ったりするような仲とされていますから、ある程度親密な仲だと考えても問題ないでしょう。恋人関係としても良い気がしますが、私はあえてそうではないものとして解釈を進めます。
ある意味では刹那的な生き方をしている主人公は、目の前の楽しいことに飛びつき続けるタイプの若者に思えます。彼は刹那的な日々から一定の満足感を得ながらも、何かもっと新しくて面白いものは無いかと常に探している気がします。
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2. 花びらの意味
ところで、浜辺と言えば砂浜をイメージしますが、浜辺に砂利がある海岸もあるようです。例えば、淡路島にある「五色浜海岸」などがその一例です。歌詞の描写とも一致するので、曲中の二人は、玉砂利の敷き詰められた海岸にいると考えてみます。
そうすると、歌詞に唐突気味に登場する「花びら」が気になります。玉砂利の上にいるのであればもう波打ち際にいそうですが、そこに花が咲いているとは考えにくいです。そこで、この「花びら」は、特別な意図を持った比喩表現であると考えました。
ところで、この「花びら」につく助詞は、「も」です。このことから、「花びら」も、毒ケーキの影響を受けたのではないかと考えました。そしてさらに、その毒によって冷えてしまった「花びら」は、本来は良い物だったと考えてみました。
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3. 彼とピンク
曲タイトルの「ピンク」が何を指すのかについては、色々な解釈があるでしょう。私は、波に揺られて浜辺に打ち上げられた、ピンク色のプラスチックの欠片だと考えました。彼が、2番で拾い上げてがっかりしたプラスチックそのものです。
ただ、そのピンクのプラスチックは、1番メロで描写されている物でもあると考えています。つまり、そのプラスチックもキラキラした美しい物です。彼も、それがプラスチックだと気づくまでは、その発見を喜んだでしょう。
彼はその正体に気づいた後も、一応は無邪気に喜んで見せたのでしょうが、内心では「またか」と感じています。これは、甘美な香りを持つ物に飛びついて生きてた彼の生き方を示しているようです。毒ケーキの日々も、その象徴でしょう。
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4. 彼は、あくびする
さていよいよ、この曲のラストの部分を考えます。この曲の解釈のキーワードは、誰が嘘つきなのかという部分ではないでしょうか。正直、歌詞からはどちらとも取れます。しかし私は、頑張って嘘をついているのは主人公自身だと考えてみました。
嘘をついて生きるのは、甘いケーキの毒を食べて生きるのは、彼なりの処世術かもしれません。ありのままの彼は純情であり、その純情さを覆い隠す煙幕が、恋人ごっこの生活だったのかもしれません。ごっこなら純情が傷つくことはありませんからね。
そんな彼は、彼女から真剣な告白をされたようです。彼女は、恋愛関係か友人関係かはともかく、毒ケーキの日々から離れて新しい関係を築こうという提案をしたかもしれません。そんな提案は、彼はどう受け止めるでしょうか。
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さいごに
この曲の主人公の基本的な印象は、どこかあっけらかんとした青年という感じです。悩んでいるというよりは、軽いノリでの「毒を食らわば皿まで」というスタンスの方が近いでしょう。君の告白によって、そんな彼は変わるのか?貴方は、どう思いますか?