スピッツの曲

スピッツの「春夏ロケット」の感想。「青きこころ」を軸に、歌詞の意味も考察

「春夏ロケットのイメージ」
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「春夏ロケットは、スピッツの21stシングル「ホタル」のカップリング曲の一つで、ストレートで爽快なロック曲ですね。

以降では、そんな「春夏ロケット」の魅力を語りつつ、歌詞も考察。若く青いエナジーを発散させて生きて来た青年の物語を考えました!

「春夏ロケット」とは

「春夏ロケット」は、シングルのカップリングペアである「ムーンライト」が持つ奥深い雰囲気とは対照的な、猪突猛進的な雰囲気を感じる明るいロック曲。なお本曲は、2004年に発売されたスペシャル・アルバム「色々衣」にも収録されていますね!

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1春夏ロケット爽快ロック
「春夏ロケット」のイメージ

1. 演奏への印象

「春夏ロケット」の演奏は、少しパンキーというか、あえて作り込まずにシンプルなエナジーを打ち出したいという意図を感じています。「ホタル」も「ムーンライト」も独特の雰囲気を持つ曲ですから、ここらでロック魂を見せておくか、的な感じですね。

そんなロック魂を感じる楽曲ですから、楽しそうに収録を進めるメンバーの姿も浮かんできます。また、輝くボーカル、重厚なギター、ソロもあるベース、曲の推進力を生むドラムとそれぞれに見せ場があり、バンドの全てを楽しむことが出来ますね。

特にお気に入りなのは、ロックなイントロギターと間奏のギターソロです。また、イントロからブイブイ言わせるベースの重低音もカッコいいですね。そんな「春夏ロケット」は難しいことは考えず、曲が放つエナジーを全身で浴びたくなる曲です!

爽やかで明るい曲のイメージ

2. 個人的な想い

「春夏ロケット」は、エナジー溢れる一曲。セルフプロデュースの楽曲と言うこともあってか、シンプルさが際立ちストレートなロック魂を強く感じています。悪い意味ではなく、学園祭で演奏する学生のテンションというか、その手のノリを感じます。

勢いあるロック曲と言う点では、後年の「こんにちは」、「1987→」、「悪役」などに近しい部分がある気がします。全体的には爽やかな印象ですが、かと言って風で飛ばされるようなペラペラ感はなく、重厚なロック演奏を楽しむことが出来ますね。

また、アウトロで引き延ばされたギターがフェードアウトではなく、少し音を強めた後にスパっと切られるのが面白いです。ロケットが交信可能範囲外に飛び出したのでしょうか。また、アルバムで言うと、「孫悟空」のイントロとの繋がりもグッドです!

飛んでいくロケットのイメージ

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「春夏ロケット」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「若くて青いこころ」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!

解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスまとめています

青いイメージ

1. 考察の前提

曲のエナジー迸る演奏を考えると、その歌詞の中心には若者らしい勢いと青さがあるべきだと感じます。そこで今回は、恋に釣られて西へ東へ、春は酸っぱい失恋をしても夏は違う誰かと遊びまわる、アバンチュール・ライフを送る青年の物語を考えます。

そんな彼にとっての恋は、瞬間的に燃え上がる遊びでした。ただ、アイツとの恋はなかなか終わりません。それはアイツが愛を口にしたり、涙で彼を引き留めるからです。彼は、「全ては演技」と平然を装いながらも、実はペースを乱され困惑しています

それは彼が、愛を一蹴できない自分に気づいたから。また、酸っぱさが他人への執着から生まれる以上、彼が春に感じた酸っぱさは彼が軽薄ではない証拠とも言えます。彼は、楽に結果の出る遊びの恋に興じながらも、愛に惹かれる純情も抱えていたのです。

彼自身は、遊びの恋が自分の望みだと思っていましたが、アイツの言動に予想外の自分を感じて戸惑っています。彼は、愛など自分には必要ないと思っていましたが、アイツが口にする愛に心を乱される自分がいたのですから。以降では、二面性を持った青年の恋の物語を考えます!
二面性のイメージ

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2. ロケットの生

彼は、ロケット。とっておきの燃料を燃やし、目標地まで凄い速度で飛んでいくロケットです。そんな彼のお気に入りの燃料は、メイド・フロム・アバンチュール。割り切った付き合いで互いに楽しむという青い燃料は、彼を速く、高く飛ばすのでした。

考えてみれば、この地球も無限大の銀河と比すれば星屑も同然。そして、そこで生まれた彼は、地球という屑星で手に入るちゃちな材料で作られた存在です。そんな安っぽいロケットの彼は、当然超然とした魂と無縁で、過ちも許容されるべきでしょう。

そう、ロケットたるもの、その視界に入る果実に燃え上がって、勢いよくまっしぐらに進むべき。じっくり腰を据えて何かに向き合うなど性に合いません。それに、安物のロケットである彼ですから、正道からはみ出ても仕方がないではありませんか。

最近で言えば、春にも夏にも別々のお楽しみがありました。春は一刀両断されて酸っぱい経験をしましたが、夏には見事に挽回。別の相手と一緒に海でのアバンチュールを楽しむことが出来ました。何かが残ったわけではなくとも、その時は楽しかったのですからそれでいいはずです。
ロケットのイメージ

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3. 驚きの展開

ところが、これはどうしたことか。これまで割り切った遊びを楽しんで来た彼ですが、近頃の彼は調子の狂う遊びの渦中にいました。今の彼の遊び相手はアイツ。いつも通りの軽いノリ遊び始めたのですが、アイツは今までの遊び相手とは違うようでした。

今までなら、遊び飽きたときはお互いに暗黙の了解が成立したものでした。彼も相手も別に何を言うでもなく、スッキリと離れることが出来たのです。しかし今回、彼が新たな場所へ飛び立つ素振りを見せた時、アイツは予想外の行動に出たのでした。

アイツは目に浮かべ、悲しそうな表情をしたのです。好きとかなんとか、そんなセリフまで飛び出す始末。今までの契約満了時には、こんなことはありませんでした。涙は嘘泣きで、愛は戯れに違いありませんが、彼は心に微かな騒めきを感じていました。

経験したことのない事態に、彼は困惑していました。アイツはただの遊び相手ですし、全てを放り出して新たな場所へ飛び立っても問題ないはず。しかし彼は、何故だかいつものように割り切れないのです。そんな彼はアイツの言動の意味を訝しんで、自問自答を繰り返すのでした。
彼が抱く疑問のイメージ

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4. 春夏ロケット

今まで彼は、自分は風来坊だと思っていましたが、きっとそれは間違いだったのでしょう。今までの遊び相手とは違う相手に相対したことで、彼は己の過ちを悟ったのでした。彼の軽薄な振舞いは、純粋な心を持つアイツを傷つけたに違いありません。

去ろうとした彼に涙し、愛という彼に不釣り合いな言葉まで口にしたアイツ。全ては演技だと叫びたい自分もいますが、それは都合のいい欺瞞に過ぎないのでしょう。微かだった騒めきは既に罪悪感に変わり、彼の体を震わすようになったのですから。

見れば、燃料も残り僅か。楽しんでいたつもりでも、彼はすり減っていたのでしょうか。ただ、あと一回だけならば飛べそうです。正気ではないかもしれませんが、彼は最後のアバンチュールに出るつもりです。お手軽な蜜もまた、彼の好物なのですから。

私にとっての「春夏ロケット」は、甘い香りに誘われてやや考えなしに行動してきた主人公がアイツとの遊びを通じ、予想外の自分に気づいていく物語。彼は、若さ故の青さに振り回されがちな青年。彼が本当にアバンチュールを卒業するかは、半々と言ったところでしょうかね!
旅だった彼のイメージ

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さいごに

今回は「青さ」に注目して解釈してみましたが、他にも「小さな生き物」的な見方も出来ると感じています。ちっぽけな星で生まれたちっぽけな人間、そして限られた命という名のニトロ。それでも、それを燃やせば人生という小旅行が出来るのです!

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