スピッツの曲

スピッツの「猫ちぐら」の感想。「信じた先に」を軸に、歌詞の意味も解釈

穏やかに眠る猫のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「猫ちぐらは、2020年に発売されたスピッツの43rdシングルで、ステイホーム期間中に完全リモートで制作されたバラード曲。

この記事では、そんな「猫ちぐら」の魅力を語り、歌詞も考察します。前向きな力で困難を乗り越えようとする青年の物語を考えました!

「猫ちぐら」とは

「大好物」は、2020年に発売されたスピッツの43rdシングル。ステイホーム期間中に完全リモートで制作された「猫ちぐら」は、発売当時の厳しい社会情勢に翻弄されながらも、懸命に立ち向おうとする私たちに寄り添うような温かな一曲ですね。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1猫ちぐら優しく穏やか
「猫ちぐら」のイメージ

1. 演奏への印象

「猫ちぐら」の演奏に感じるのは、微睡みと温もり。温かな日溜まりの中でうつらうつらと微睡む猫のような、くつろいだ雰囲気を感じます。ゆったりとしたテンポは微睡んだ雰囲気を、そして膨らみを持った優しいギターの音色には温もりを感じますね。

最近のスピッツ曲には割と多いですが、「猫ちぐら」はメロとサビの明確な区分を感じません。曲中に登場する魅力的な二種類のメロに明確な主従関係が無いことで、見方によっては淡々と、見方によっては穏やかに曲が進行していくと言えるでしょう。

また、「猫ちぐら」が持つ素朴な温もりは、草野さんの飾らないボーカルあってこそだと言えるでしょう。添加物ゼロの優しく温かなハスキーボイスは、曲の温もりを自然なものにしています。天然の素材を使って丁寧に手作りされた、猫ちぐらのような

穏やかに眠る猫のイメージ

2. 個人的な想い

「猫ちぐら」は、「励まし三銃士」の一員。本曲、「紫の夜を越えて」、「大好物」の三曲には、思いもよらぬ社会情勢の中で奮闘する私たちへの励ましを感じるのです。個人としても、混沌のさなか、この曲で心を温めた過去もまだ記憶に新しいですね。

ところで、猫ちぐらとは、稲わらで手編みされた猫の小さな寝床のことを指すようです。そしてそんな猫ちぐらは、猫にとって安心してくつろげる快適な寝床。そんなタイトルを冠した本曲は、ささやかながら穏やかな幸せを描く曲だと感じています。

ところで、歌詞中にはやや粗い言葉遣いがあるかと思えば、やけに優しい響きを持つ表現も登場。微かな粗雑さを持つ主人公を描きつつも同時に優しさを滲ませるのは、草野さんが人間の本質を温かいものと考えているからなのだろうと感じますね。

温かい場所のイメージ

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「猫ちぐら」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「信じれば、きっとまた届く」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!

解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスまとめています

信じた先に希望を見出すイメージ

1. 考察の前提

「猫ちぐら」の根底には、優しい励ましの温もりを感じています。混沌に包まれた世界情勢の中でも、明るい日々を目指して歩こう。予想外の困難にぶつかっても前向きであろうとする主人公の姿を通じ、そんな励ましが描かれていると感じるのです。

そんな歌詞の中心には、「行動の重要性」を感じています。冒頭では世界の流れに身を委ねていた彼も、最終的にはそこに明るい未来を付け加えようとするのですから。その行動への意思が願望として描かれるのは、強いとは言えない彼を感じさせますね。

そんな彼が望む明るい未来とは、「猫ちぐら」のような部屋で君と暮らすこと。つまり、君とのささやかながら幸せな生活を送ること。その夢は、想定外の驚きに見舞われて遠のきましたが、それでも彼は明るい未来を信じ、一歩ずつ歩きたいのです。

彼は感情表現が不器用ではあるものの、その本質はまっさらなシャツのような純情。混沌とした世界は彼の純情を汚しかねませんが、未だに彼はアリの群れにも優しさを分ける純情を守っているものとします。以降では、純情を胸に抱く青年が明るい未来を目指す物語を考えます!
白いシャツを着る主人公のイメージ

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2. まさかの事態

なかなか、思い通りにはいかないもの。彼が温めていた君との日々への憧れは、思いもよらない事態で消え去りました。ただ、この世には抗えない流れもあります。そして彼は、世界の流れに無理に抗おうとはせず、その流れに身を委ねて生きてきました。

届きそうだった憧れを急に失った失望感は、もちろん彼の心にも暗い影を落としました。しかし、嘆き悲しむことで事態が改善するわけでもありません。彼は、困難の時だからこそ、自分らしく前向きにいることが大事だという考えに至っていました。

照れ隠しの憎まれ口で隠した、本当はピュアな心。彼は、そんな二つの自分を大切に生きていました。捻くれた所はそのままでいいから、心を照らす笑顔を意図的に増やして。彼は、困難の時だからこそ前向きな心を持とうと努力していたのでした。

それでも、虚無感が彼を包むことはあり、いつも無傷でいられるわけではありません。日中は前向きな自分を貫いて、夜には溜まった悲しみを涙で洗い流して前向きな自分に戻る。彼は、ある意味では強く、ある意味では弱い青年として、明るい日々を求めて懸命に生きていました。
雨が降る世界と君への想いのイメージ

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3. 前向きならば

彼の心にあるまっさらな純情も、下手を打てば悲しみの泥に汚されてしまうでしょう。しかし、悲しみは涙で洗い流しながら、全てに優しい気持ちを向ける意識を持ち、そして何より自分と周りを照らす笑顔を忘れないならば、きっと大丈夫です。

そんな彼は、そんな自分であることだけを意識して日々に身を委ねていました。彼の憧れを奪った世界の激流に敵対し、正面から戦いを挑めば砕かれるでしょう。それならば、まずは無理せず、自分が出来ることを積み上げることから始めるべきです。

このやり方では、世界に劇的な変化を呼ぶことは出来ないでしょう。しかし、昨日と今日ではともかく、少しの時間を置けば明確な違いが現れるはず。彼には、前向きに出来ることを積み上げた先に、温かな日々が待っているような気もするのでした。

当初の憧れは吹き飛んでしまいましたが、前向きに生きようとする限り、彼はきっと望んだ幸せを新しい形で描くことが出来るはずです。決して強いとは言い切れない彼ですから、その試みは順風満帆とはいかないでしょうが、君との日々へ抱く憧れは彼を支えてくれるはずです。
積み上げるイメージ、ステップバイステップ

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4. 猫ちぐら

予想外の事態が全てを包んだのは残念だが、心持次第でやり直すことが出来る。そんな前向きさを持って生きてきた彼は、最近、微かな世界の変化を感じていました。この世界に降り続いた陰鬱な雨が、いつの間にか少しその勢いを弱めたようなのです。

まだ希望の光が見えたとまでは言えずとも、彼には歩むべき大体の方角は分かるようになっていました。困難の日々でも自分らしさを保った彼の姿勢が、実を結びつつあるのかもしれません。そんな彼は、新しい行動を起こす頃合いを感じていました。

自分の望む未来に向けて、具体的な行動を起こすべきときが近づいているのです。殆ど変化のなかった日々の中に、自分の意思で書き足すささやかで明らかな違い。そう、明日にはきっと、かつての憧れを今の形で描き直すことが出来るでしょう。

私にとっての「猫ちぐら」は、優しい励ましが詰まった曲。少し捻くれた部分を持ちながらも純情を抱く彼は、予想外の事態で望みが遠のいた現実を受け入れたうえで、彼らしく歩むことで、優しい未来を描き直すつもりです。彼の幸せはレジリエントで、砕かれることはないのです。
彼が描き始める優しい景色のイメージ

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さいごに

人間はちっぽけで無力な存在かもしれませんが、とっておきの武器もあります。それこそが、前向きであろうとする心、希望を信じる心。そうやって前向きでいられる限り、吹き付ける風に倒れ伏したとしても、再び立ち上がることが出来るのです!

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