スピッツの曲

スピッツの「待ち合わせ」。果たされなかった約束に重ねた想いとは

スピッツの待ち合わせのイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「待ち合わせ」は、スピッツの2ndアルバム「名前をつけてやる」に収録の、ロックサウンドが印象的なアップテンポナンバー

この記事では、「待ち合わせ」という曲への印象を述べたうえで、この曲の歌詞が意味する世界について、自分なりの感覚で考察します!

「待ち合わせ」とは

「待ち合わせ」は、スピッツの2ndアルバム「名前をつけてやる」の収録楽曲です。このアルバムを象徴するのが「名前をつけてやる」という上から目線だとすれば、そんな小生意気な雰囲気を体現しているのが、この「待ち合わせ」でしょう。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1待ち合わせパンクロック
彼女を待つイメージ

1. 演奏に感じること

前曲の「胸に咲いた黄色い花」は、ポップでキュートな曲でしたが、この「待ち合わせ」は、それとは対照的な雰囲気のロックビートを轟かせるナンバーです。スピッツの若さ溢れるロックサウンドを楽しみたい方に、おススメしたいですね。

私が演奏で気に入っているのは、イントロ部分です。ハウリングっぽいイントロの始まり方は、「メモリーズ・カスタム」っぽくもあり、ライブ版の「けもの道」っぽくもあります。いずれにせよ、ロックビートが続くことを想起させるイントロです。

重低音を響かせる、勢いあるベースプレイも印象的です。「待ち合わせ」は、そんな勢いを終始保って、約3分の演奏を駆け抜けていきます。後奏が40秒程度あることも考えると、オンボーカルのパートは、あっという間に過ぎ去っていきますね。

rock image

2. 個人的な想い

この曲の演奏は、前述した通りロックサウンドを響かせるものですが、そんな演奏と対照的なのが、若さを感じる草野さんの澄んだボーカル。曲のハードさとボーカルのピュア感の落差は、この曲が持つ若者の粋がり的な雰囲気を強調している気もします。

アルバムの中でのこの曲が持つ意味として、「俺たちの牙は、抜けてないぜ」というロック魂の宣言をしている様に感じています。ポップな曲もやるけれど、スピッツ流のロックサウンドは、常に根底に持ち続ける。そんな矜持を歌う曲でもありそうです。

ロック魂を高らかに掲げるこの曲で歌われているのは、「果たされなかった約束」のようです。スケールの大きい歌詞からは、浮世離れした印象も受けます。さまざまな解釈が可能ですが、全体としては「お別れの歌」と考えても良いでしょうか。

an image of farewell

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「待ち合わせ」の歌詞を実際に見ながら、その歌詞が意味する世界を考えていきます。今回のテーマは、「果たされなかった約束」としました。そのテーマを構築するトピックとして、以下の2つをご用意しました!

曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です

1. 待ち合わせの約束

この曲に登場するのは、主人公と君の二人。キスする描写などもありますから、二人は恋仲であると考えて良いでしょう。ただしその恋は、ドロドロとも形容されていますから、二人の恋は、どこか不健全な要素を含んでいるのでしょう。

歌詞の中で歌われるキスは、君とのお別れのときの物でしょうか。歌詞のシャボン玉と言うのは、近づいたときに感じた君の香り。頬のぬくもりを確認しているのは、恋のぬくもり、君の心がまだ自分にあるかどうかを確かめるためと考えました。

彼は君の頬に触れるとき、震えを感じているようです。このことから主人公は、君の心が既に自分に向けられていないこと、二人が交わそうとしている再会の約束が果たされないことを危惧し、それが現実になるであろうことを予期しているのでしょう。

この曲においては、二つの時間が描写されていると考えています。つまり、再会を約束したうえで君と別れた過去のシーンと、主人公が約束の地で君を待つ現実のシーンの二つです。そして、過去に主人公が予測した通り、君がその約束の場所に現れることは無いようです。
an image of waiting on her

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2. 戻らない日々

君が現れない結末を予期していた主人公ですが、その現実を受け止めるのには時間が掛かっているようです。彼にとっての君のいない日々は、永遠にも思われたようです。そのことが、君と別れたのを遥か昔とする表現から伝わってきます。

君との日々は、君の手によって打ち切られた。その恋は、決して美しくはないドロドロした物。しかし、彼には大切な日々だったのではないでしょう。彼は、その想い出の日々を、ドロドロした物として記憶しておきたくなかったのではないでしょうか。

だから彼は、自分の心が現実を受け止め、清らかな涙が落ちるのを待っていたのかもしれません。君との想い出は、混濁した感情の中にではなく、美しく清らかな涙の水の中に溶かしたい。彼はそんな想いで、流れ出る涙を見つめていたのかもしれません。

私にとっての「待ち合わせ」は、やや不健全な関係だった君との恋との終わりを歌った歌。君が約束を守らなかったのかもしれませんし、そもそも約束は主人公の妄想だったのかもしれません。いずれにせよ君は現れず、主人公は、君の想い出を清らかな水の中に流していくのです。
image of pure water

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さいごに

歌詞のスポットライトを当てる場所によっては、「夏の魔物」的な解釈も可能だと感じています。約束した「星」に現れなかった君は、誕生することの無かった命という解釈です。ただ、かなりエグイ解釈になるので、ここで言語化するのは止めました!

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