スピッツの曲

スピッツの「トビウオ」の感想を語る。その歌詞の意味も独自考察

トビウオに感じる海と荒波のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「トビウオ」は、スピッツの12thアルバム「さざなみCD」収録の、真夏の海と太陽を感じる、疾走感ある爽やかなロック曲。

この記事では、そんな「トビウオ」の魅力を語りつつ、歌詞の意味も考察。今回は、この曲を自己開放の歌として捉え、物語を考えました!

「トビウオ」とは

「トビウオ」は、スピッツが2007年に発売した12thアルバム「さざなみCD」の収録曲です。前曲の「魔法のコトバ」は、心に幸せとウキウキが広がる傑作曲でしたが、この「トビウオ」は、爽やかな疾走感が心を潤す、爽快ロックナンバーです!

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1トビウオ爽快ロック
トビウオの世界に感じる海と太陽

1. 演奏への印象

しみじみした感覚、幸せな感覚、美しい感覚。そんな雰囲気を感じる曲が多かった「さざなみCD」ですが、この「トビウオ」は「ロックバンドスピッツここにあり」と言わんばかり。演奏の力強さと疾走感が、ロック曲特有の高揚感を運んでくれます。

始めから終わりまで、一直線に駆け抜けるようなテンポが特に印象に残ります。曲が持つ真っすぐさや勢いには、トビウオという魚に通ずるものも感じています。四の五の言わず、勢いのままに体中で音楽を浴びたくなるような真っすぐな一曲ですね。

勢いある演奏に乗って輝く、草野さんのボーカルも素晴らしいの一言。真夏の海と晴れ渡った空、そしてキラキラと輝く水面を跳ねるように泳いでいくトビウオ。爽やかで伸びやかなボーカルが、爽やかな「トビウオ」の世界観の中心にあるのです!

曲に感じる輝く海のイメージ

2. 個人的な想い

私は「トビウオ」という曲に、強い勢いを感じています。関西弁風の歌詞も登場するように、口語的な言葉が散見される歌詞には、粗削りな力の迸り、若者らしい勢いやギラつきを感じています。スピッツのパンク的な雰囲気も漂っていますね。

余談ですが、私は北海道に住んでいた時期があり、歌詞に登場する稚内にも行ったことがあるので、その意味でも印象に残っている曲です。「日本最北端の地」という石碑の傍から樺太を眺めつつ、「トビウオ」を頭の中で流したのも覚えています。

一方、同じく歌詞に登場する波照間にはまだ行ったことがないので、ぜひタイミングを見つけて旅行したいですね。歌詞とは逆の、稚内から波照間への南下の旅になりますが、波照間に到達したとき、私は「トビウオ」マスターになれるでしょう(笑)

波照間がある沖縄の海のイメージ

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「トビウオ」の歌詞を追いながら、その歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の歌詞考察テーマは、「トビウオの如く」としました。また、その考察テーマを補足するために以下の通り、4つのトピックを準備してみました!

曲解釈は私の想像であり、他人に押し付ける物ではありません。ただ、出来る限り想像の根拠が提示できるように、歌詞とリンクさせながら進めていきます。私の想像を楽しんでいただけると、嬉しく思います!

トビウオが旅する海のイメージ

1. 考察の前提

トビウオはその名の通り、空を飛ぶ唯一の魚類として有名です。その遊泳速度は時速60キロ程度でやや優秀程度ですが、一たび宙に舞い上がれば数百メートルを滑空することが出来るそう。一芸で魚類の限界を突破したのが、トビウオなのですね。

そんなトビウオをタイトルに冠するこの曲は、エネルギーが迸る楽曲。歌詞の中心に感じるメッセージは、トビウオが魚類の限界を力強く突破したように、私たち人間もそれぞれの持てる力を全力で磨き、挑戦し、力強く人生を切り拓けといったものです。

私は「トビウオ」をそんな自己実現を歌う曲として見ているので、曲中の「君」も恋人としての君ではなく、本来の自分自身の象徴として捉えています。以降では、長い幻惑の日々を経て、本当の自分で生きる大切さに気づいていく青年の物語を考えます!

個人的に2番の歌詞に注目しています。彼が望むのは新より旧。そして、彼が抱く旧への憧れは、原始的生物であるトビウオへの憧れとして表出します。トビウオのように単純に、力強く一直線に。彼には、高等生物として賢くなるより、原始の力で命を躍動させる方が魅力的なのです!
魂を大切にするイメージ

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2. 目覚めの時

今思えば、彼は長い間、眠っていたも同然でした。その日々は、賢い人間の流儀に従い、差し出された豪華な皿を味見し続けた日々。当時はいつか心躍る何かに出会えると信じていましたが、今の彼には、それは叶わぬ願いだったとハッキリ分かるのでした。

結局、世界で持て囃されるものを食べ続けても、心から満足したことなど一度もなかったのです。長い幻惑の日々でしたが、もう卒業の時。彼は、自分を見つめ直し始めています。そんな彼は今や、「賢い人間像」に疑いの目を向けているのでした。

そもそも人間は、そんなに高尚な存在でしょうか。この世界は、素晴らしい知恵と技術で一杯です。知恵や技術は有用ですが、実体以上の存在になっている気がします。今の彼には、知恵と技術は友でこそあれ、人間の本質とは思えないのでした。

人間は、進化しすぎたのでしょうか。何もかも昔が良かったわけではありませんが、今の人々は文明の力に酔い、動物的な視点を忘れています。そして、文明のフルコースを味わっても、彼の心が弾むことはありませんでした。だからこそ彼は、原点回帰に目を向け始めたのでした。
原始的な動物になるイメージ

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3. 漲る謎の力

彼には、理想の自分像の輪郭が、朧気ながらも見え始めています。幻惑の日々の経験から、それを作るのは文明のフルコースではないと確信出来ました。だから彼は、正反対の要素、野生の力に目を付けて来ましたし、これからもそうするつもりです。

そんな彼はまだ、半人前の称号にすら僅かに指が届かない未熟者です。とは言え、野生生物は、他との比較に気を揉むでしょうか。もちろん、そんなことはありません。野生生物のすることと言えば、自分の持てる全てを振り絞り、物事に立ち向かうだけ。

半人前でも、全力を尽くして立ち向かう。そんな原始的な生き方を続けた彼は、「文明時代」には味わったことのない感情を感じていました。理知的な言葉では形容しがたい、暴れ馬のように跳ねる力。彼は心に、強い推進力を感じ始めていたのです。

原始的生物に戻ることを目指す彼にとって、抽象よりも具体が重要でした。知恵や概念と言った感覚的なものではなく、実際に手のひらに伝わる感触が大事なのです。もちろん、未熟者でもいいのです。彼には、感触ある何かを目指し、一所懸命に泳ぐだけで十分だと思えるのでした。
彼の内部に溜まっていくエネルギーのイメージ

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4. トビウオ

身体を駆け巡る、謎の力を心に湛えた彼は今、とある存在に憧れを抱いていました。目標に向かい真っすぐに進む存在。自身の限界を超えた馬鹿げた夢を実現させた、ちっぽけなはずの存在。彼が憧れるのは、文字通り大海原を舞うトビウオでした。

そう、彼もまた、自分独自の翼を羽ばたかせ、この大海原を舞うべきなのです。トビウオのように、心が求める身の程知らずのギラついた大志を胸に日々を生きるべきなのです。高い波が体を強く打とうとも、それもまた心地よいではありませんか!

楽しいことは、楽しい。嬉しいことは、嬉しい。彼は、高等生物のフリをして感情を覆い隠すのは止め、もっとシンプルに生きていくつもりです。そんな日々を続ければ、文明のフルコースの中で失いかけた、幼き日のままの彼自身も帰ってくるでしょう!

私にとっての「トビウオ」は、華美な世界の流れに染まって生きていた主人公が、徐々にその日々への違和感を強くしていき、もっと単純な生き方をしようと決意した物語。彼にとって、トビウオは師匠のような存在。トビウオの生き方を見習って、彼も自分の生命を輝かせるのです!
彼の体を打つであろう荒波のイメージ

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さいごに

「トビウオ」は、歌詞の字面もロック調ですね。少し粗雑な言葉さえも入れ込んだ歌詞には、ギラついた感じもあります。知恵ではなく、生命の熱さが重要。一本槍のトビウオの如く、限界など決めず、真っすぐ飛び出してこその生命なのでしょう!

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