「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「まもるさん」は、スピッツの34thシングル「若葉」のカップリング曲。お気楽な軽快ロックで、ポジティブな雰囲気を感じます。
この記事では、そんな「まもるさん」の魅力を語り、歌詞の意味も考察。脇役にも大切な役割があると信じる青年の物語を考えました!
「まもるさん」とは
「まもるさん」は、2008年発売の34thシングル「若葉」のカップリング曲で、2012年に発売された「おるたな」にも収録された楽曲。「若葉」の壮大で真面目な雰囲気とは対照的に、「まもるさん」は明るい雰囲気を強く感じる軽快ロックですね。
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | まもるさん | 軽快ロック |
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1. 演奏への印象
「まもるさん」は、ミドルテンポの軽快ロックと言った印象ですね。シングルペアの「若葉」がスピッツ史上でも上位に来る超真面目路線でしたから、「まもるさん」の軽快な演奏には、その美しすぎた雰囲気を中和する意図もあったことでしょう。
イントロでの明るいギターの音色が、曲の雰囲気を象徴していますね。メロに入ってからもボーカルの裏で聴こえるリズミカルなギターは、曲に明るさと軽快なノリを与えています。また、サビでのちょっとチープなシンセの音も、明るくてイイですね。
また、草野さんの高音ボーカルも伸びやかで美しく輝き、曲の明るさを強調しています。メロでも裏声を使った高音が登場しますし、全体として使用音域が高い曲だと感じます。草野さんの声の輝きを存分に楽しむことが出来る一曲だと言えるでしょう。
2. 個人的な想い
「まもるさん」は、スピッツらしい遊び心を感じる一曲。そのタイトルからして脱力系ですし、歌詞に見られる「ですます調」にも柔らかさを演出する意図を感じています。脱力感ある「まもるさん」は、構えることなく体に沁み込んでいきますね。
歌詞で描かれるポジティブなメッセージも、私がこの曲を好む大きな要因です。歌詞全体では恋愛がテーマと捉えられますが、私はサビに登場する「出来る」に注目して、「できるさん」的に、やや俯瞰して自己実現の歌として聴いていますね。
そんな「まもるさん」には、多彩なスピッツの魅力のうち、明るくポジティブな顔を強く感じることが出来ますし、熱さや力感ゼロのお気楽な視点での人生応援歌という捉え方も出来るでしょう。主役でも脇役でも、誰しもにそれぞれの輝きがあるのです!
歌詞の世界を考える
ここからは、「まもるさん」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「こんな自分だからこそ」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!
解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスをまとめています!
1. 考察の前提
私にとっての「まもるさん」は人生応援歌。曲の主人公は、困難に立ち向かう勇敢さも無く、正道に沿うことに違和感を感じる捻くれ者で、冴えない運命を背負っていると感じていますが、そんな彼でも、いやだからこそ独自の力を持つと歌われるのです。
曲中の主人公は、特別の力を持たない普通以下の存在の象徴として、私たちに提示されているのだと感じています。特に、私などは自分が凡人で、かつやや奇抜な人生観を持っていると自覚があるので、この主人公像には自分を投影しやすいと感じます。
大きな目標を目指すとき、自分の至らなさに苛立ち、他人を羨むことはよくあること。ただ、曲中の「まもるさん」は悩みの日々を経て、ありのままを受け入れるのです。以降では、日影の存在のままで望みを叶えようとする青年の物語を考えます!
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2. かつての悩み
あるべき姿と比べて、彼の在り様の何と臆病なことか。彼は、不確かな噂話にも一喜一憂し、少しでも危険を感じれば、何かと理由を付けてトンズラ。事の真偽を確かめることもしなければ、困難に立ち向かって克服しようとすることもありません。
とにかく、安全第一が彼のポリシーなのです。だからこそ、本心に煙幕を張るのも上手になりました。いや、彼が得意なのはそれだけと言ってもいいでしょう。その卓越した演技のおかげで、彼の臆病な本質は誰にも見抜かれていないのですから。
ただ、そんな演技を続ける彼の生活はイマイチぱっとせず、憧れの君との距離が縮まることもありませんでした。一人前ではない青年にはこの程度がお似合い。何か大きな存在から、そんな限界を突き付けられたようで、彼は面白くありませんでした。
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3. 気づいたこと
何となく湿った日々を抜け出すために、正道に答えを見出そうとした彼。しかし結局、世界が言うような「あるべき姿」を目指したところで、彼の日々が好転しそうな気配はありませんでした。結局、新しい演技を身に着けるに過ぎないではありませんか。
正しくあろうとする試み自体は失敗に終わりました。ただ、その試みは彼に正しさの意味を考えさせ、彼を自分なりの答えに導いたのでした。彼にとって、正しさとはあるべき姿に近づくことではなく、ありのままの自分らしさを認めることだ、という。
臆病な自分は、否定されるべき存在。そう思い込んでいましたが、本当にそうでしょうか。スポットライトから外れた冴えない日々は、唾棄すべき日々。そう思い込んでいましたが、本当にそうでしょうか。今の彼には、そうでもないと思えるのでした。
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4. まもるさん
そう、影を知る自分だからこそ出来ることもあるはずです。世界が言う正しさに惑わされて影を捨てようとするのではなく、あえて影を抱くことが彼の自分らしさ。君との関係にしても、そんな彼だからこそできることが、きっと沢山あることでしょう。
君の横に居座る主役だけが全てではなく、君を遠くから見守る脇役にも価値がある。主役を羨むのではなく、与えられた役割に全力を尽くすべき。脇役である彼には、正道を歩む、ご立派な主役様には真似できない、光と影を織り交ぜた演出も出来ます。
塩が甘さを引き立てるなら、軽い面倒ごとを起こすのもアリ。これは勿論、清く正しい主役様には出来ないこと。報われない辛さを感じたとしても、君の幸せが最優先。彼はこれから、影から君を見守る「まもるさん」として生きてみるつもりです!
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さいごに
常に強く勇ましくありたいと願うのは、人間の性なのかもしれません。しかし、現実はそんなに甘くはなく、臆病で弱い自分も存在するもの。そんなとき、自らの至らなさを嘆くのではなく、自分のいい所に目を向けられたら人生は楽しいでしょうね!