スピッツの曲

スピッツの「夏が終わる」の魅力を語る。歌詞も独自目線で考察

夕焼けの夏空、「夏が終わる」のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「夏が終わる」は、スピッツの第4作目のアルバム「Crispy!」の収録曲で、微妙に寂しげなおしゃれソングという感じでしょうか。スピッツの曲の中でも、唯一無二の存在感があります。

この記事では、そんな「夏が終わる」の魅力を語りつつ、その歌詞の意味も考えます。「夏が終わる」の世界を一緒に探検しましょう!

「夏が終わる」とは

「夏が終わる」は、1993年にスピッツが発売した4thアルバム「Crispy!」に収録された楽曲です。草野さんがライブのMCで語った話によれば、「暑い夏を見越して作ったら、その年の夏は異例の寒さだった」というエピソード付の曲とのことです。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1夏が終わる美しく、少し寂しい秋の空
うろこ雲のイメージ

 

1. 演奏への印象

「夏が終わる」では、「魔女、旅に出る」のようなオーケストラアレンジが採用され、特別な雰囲気を生み出しています。これらの普段は顔を出さない楽器たちが、この曲なりの方法で曲中を舞い、優雅な雰囲気を生み出しているのです。

そんな「夏が終わる」は、スピッツの中での類似曲が探しにくい唯一無二な曲だと感じています。雰囲気を言語化するなら、浜辺のアイスティー。アイスティーに入れられた氷は、ぶつかり合って乾いた爽やかな音を立てている。そんなイメージです。

または、夏の季節の豪華客船旅行の旅というイメージもいいかもしれません。潮風香り立つ甲板に置かれたサマーベッドに寝そべって、サイドテーブルにカクテルを置いて、ぼんやりと流れていく景色を眺めるような感覚もあります。

an image of luxury ship this song brings up

 

2. 個人的な想い

「夏が終わる」は、うだるような暑さの夏をイメージして作ったとのことですが、歌詞が歌っているのは、まさに「夏が終わる」という曲タイトルが示唆している通り、夏の終わりに展開される少しだけ切ないストーリーです。

さらに、私が曲の優雅な雰囲気から連想しているのも、真夏の強烈な日差というよりは、夏が終わり始めた季節の、暑さの和らぎ始めた空です。これらの意味で、この曲の作曲において暑い夏がイメージされていたと知って、少し意外でした

とはいえ、暑すぎる夏をモチーフに曲を作りました、という意味ではないとも思っています。あくまで、制作に関するプチエピソード公開という位の意味合いなのかもしれませんね。少なくとも私は、曲自体にそれほどの暑さは感じませんから。

夕焼け空のイメージ

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「夏が終わる」の歌詞を追いつつ、その歌詞が意味する世界についても考えていきます。今回の考察のテーマは、「夏が終わる」。そのままやんけ、という突っ込みはさておき、今回のトピックは以下の3つとしました!

曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です!

夏の終わりのイメージ

1. 二つの季節

冒頭の歌詞で描写される「うろこ雲」。うろこ雲は通称で、気象学でいえば「巻積雲」というのが学術名としての正式名です。また、巻積雲の特徴としてここで特筆するべきなのは、この雲が秋の空で観察される雲であるということです。

このことと「夏が終わる」という曲タイトルを鑑みると、この曲が描く季節が真夏ではなく、むしろ深まりつつある秋であると考えて、問題ないでしょう。個人的なイメージとしては、赤とんぼが飛び交う、9月初旬くらいのイメージですね。

この曲では、夏真っ盛りの時期と秋が深まり始めた時期という、二つの時間が描かれていると考えています。具体的には、君が出てくる部分が夏の記憶です。歌詞を見てみると、君の存在が関与すると思われる部分は、全て過去形で描かれていますね。

私の解釈では、この曲の雰囲気に微かな寂寥感を感じるのは、君との楽しい夏の日々が、既に過ぎ去った想い出となってしまったからだと思います。主人公は、君との楽しい日々を思い返しながら、終わってしまった夏を振り返っている気がします。一抹の寂しさを胸に抱きながら。
秋の空のイメージ

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2. 夏の想い出

2番のメロからは、真夏の砂浜を、水に濡れたポニーテールを揺らして走っていく君の姿を思い浮かべました。二人で海で泳いだ後、水着の上に白いシャツを着た君と、じゃれあいながら追いかけっこでもしているようなシーンかもしれませんね。

君のTシャツの襟ぐりから覗く、鎖骨付近の焼けた素肌。彼はそこに夏の痕跡が刻まれていると感じたのでしょうか。こんがり日焼けした二人は、まさに夏の申し子です。彼は、夏に認められた二人の日々が、ずっと続くかのように錯覚したのでしょうか。

ところで、目は対象を認識する器官です。その眼差しが何かを貫くなら、その何かを認識することになるでしょうか。となると、歌詞中の君は、昔の想い出を振り返っているのかもしれません。「昔はこうだったね」などと言いながら。

彼は、二人の夏の想い出を振り返りながら、二人の関係がそのまま変わらないと信じ込んでいようです。これは、日焼けという夏の刻印が二人の体に刻み込んだ魔法の力が持続し、夏の申し子となった二人の夏の日々がずっと続くと信じていた、ということではないでしょうか。
二人の夏のイメージ

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3. 夏が終わる

彼は、君との夏がずっと続くと信じていました。いや、そう思い込もうとしていたという方が正確なのでしょう。サビでは彼が、「また」その季節が終わってしまったと振り返っています。彼は、季節が過ぎ去っていくことを理解しているのです。

しかし彼は、その理解をあえて脇へと押しやり、君との日々を満喫することだけに集中したのでしょう。彼は、君との日々にその身を深く沈めることで、世界の掟に抵抗をしてみたのかもしれません。本心では、それが実を結ぶことはないと知りながら。

私は、曲中の「彼」とは、秋風ではないかと考えています。だんだんと秋が近づいてきた空と、主人公の秋めいた軽装。そして、その襟元を、爽やかになってしまった秋風が吹き抜けていく。主人公に、夏が終わったことをはっきりと示しながら。

私にとっての「夏が終わる」とは、夏しか会えない君に対して淡い恋心を抱く、主人公の恋の歌です。例えば、田舎の学校に通う主人公と、上京して東京の大学に通う君とか。幼いころからお姉さん替わりをしてくれた君に、一夏ごとに恋をぶり返す主人公の姿を浮かべています。
夏が終わったイメージ

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さいごに

以上が、スピッツの「夏が終わる」の私なりの解釈でした。曲の雰囲気が唯一無二と言うこともあって、ときどき無性に聴きたくなる曲の一つですね。歌詞の解釈がなかなか難しい曲だとは思いますが、貴方にとっての「夏が終わる」はどんな歌ですか?

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