「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「夢追い虫」は、2001年に発売された24thシングル曲。力強い演奏に溢れた、王道パワーロックとでもいうべき大作ですね。
この記事では、そんな「夢追い虫」の魅力を語りつつ、歌詞の意味も考察。小さな身で大きな夢を追い続ける青年の物語を考えました!
「夢追い虫」とは
「夢追い虫」は、スピッツの骨太ロックを感じる一曲で、映画の主題歌としても起用されています。発売時期だけを見れば「三日月ロック」に収録されてもおかしくなかったのでしょうが、結果的にはスペシャルアルバム「色々衣」に収録されていますね。
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | 夢追い虫 | スピッツロック |
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1. 演奏への印象
「夢追い虫」には、ストレートなロック魂を感じています。曲のPVはライブ演奏の映像らしいですが、まさにロック。少し赤みがかったステージライティングには微かなトゲを感じますし、歌う際の草野さんの表情も少しだけ険し目に見えますね。
演奏は、イントロに象徴されるような重厚ロックをその土台としつつ、曲中で様々なメリハリがあるのがいいですね。少し抑えめのメロ、大盛り上がりの大サビ、そしてラストを盛り上げるサビパートの連発。ストーリー性の強い演奏構成だと感じます。
また、「夢追い虫」は草野さんのボーカルも素晴らしいですね。いつも通り伸びやかな高音ですが、大サビでの高音連発はスピッツ曲でも最上位クラス。大サビ以降もサビパートの連発で高音を使用しますし、歌いこなすのはなかなか難しいですね。
2. 個人的な想い
「夢追い虫」は、その完成度から見れば、どのオリジナルアルバムの主役を張ってもおかしくない一曲。ロックな楽曲ですし、タイトルだけ見ても「三日月ロック」とも相性が良さそうですが、「夢追い虫」は「三日月ロック」では選外でした。
主役級の楽曲である「夢追い虫」をアルバムに入れるなら、最初か最後の山が適しているのではないかと感じます。しかし、「三日月ロック」の先頭と最後の山には、それぞれ「夜を駆ける」と「けもの道」という絶対に外せない名曲が君臨しています。
また、夢を追うという歌詞テーマも、「けもの道」とやや被る部分も感じます。この意味でも、「夢追い虫」には「三日月ロック」には居場所がなさそう。「夢追い虫」は、高い完成度と存在感を持つが故に、ある種の不遇を招いたのかもしれません。
歌詞の世界を考える
ここからは、「夢追い虫」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「ちっぽけな生命を輝かせ」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!
解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスをまとめています!
1. 考察の前提
私にとっての「夢追い虫」は、無理だと諭されても前向きに夢を追って生きる主人公の物語。虫がモチーフなのは、大サビでズバリ描かれるように、彼の小ささを表すためでしょう。彼は偉大でも立派でもない、平凡な小さな生き物なのですね。
そして、そんな虫の彼には心寄せる「君」がいます。人生はただでさえ山あり谷ありですが、小さな虫に過ぎない彼も笑顔と涙を繰り返していますが、君と一緒の彼は大丈夫。喜びの波も悲しみの波も人生と捉え、その波に揺られて踊り続けるのです。
ところで、彼が抱く夢はちっぽけな虫には不相応に大きなもののようで、彼は多くの人からその奇妙な夢について否定的な助言を受けているようです。ただ彼は、身の程を教える助言を聞き流し、あくまで夢を実現するため小さな一歩を刻み続けるのです。
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2. 君が好き
人生は、山あり谷あり。笑うこともあれば、泣くこともある。そんな人生を送ってた彼ですが、そんな彼のことを特別幸せとか特別不幸と考える人はいないでしょう。彼が送っている人生はありきたりな人生に過ぎず、特別なものではないからです。
しかし、そんな平凡なはずの人生を送る彼は、特別な幸せを感じていました。そしてそれは、大切な君が傍にいてくれるから。君と一緒にいるからトータルで見ればハッピーですし、彼の身の程知らずの夢も熱を持ち続けることが出来るのでした。
君は誰から見ても素敵というわけではなく、君が時折見せるおちゃらけた振舞いには眉を顰める人もいるはずですが、彼にとっては君が最高。きっと彼は、君の全てを知っているとは言えないでしょうが、それでも君以上など無いと確信していました。
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3. ちっぽけ
公平を期すために自分を客観視するならば、彼自身もご立派な存在とは言えません。人生の荒波にもまれ涙することもあれば、君のシルエットに燃え上がって、本能に支配されそうになることもあります。この姿はとても、理知的とは言えないでしょう。
君が不完全なら、彼はもっと不完全。彼は、とてもご立派な存在にはなれそうもありませんし、大股で世界を駆けることも出来ません。ちっぽけな彼には、小さな足を必死に動かすことが精一杯で、どんなに頑張っても大きく進むことは出来ないのです。
そして、そんな彼が追う夢は、ちっぽけな彼には遠すぎる夢。実際、周りの誰しもが、身の程を知って自分の身の丈に合ったことをしろと彼を諭そうとするのです。ただ彼は、君と一緒なら夢も叶う気もして、そんな助言は聞き流し続けていました。
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4. 夢追い虫
夢と失望は背中合わせですが、今の彼はその失望を越える術を学び取っていました。彼が得たのは、結果に捕らわれず、ただ全力の前進に誇りを持つ姿勢。簡単なことではありませんが、彼の心を照らす君が傍にいてくれるなら、何のこともありません。
そもそも彼に与えられた生は、儚いもの。現状維持に恋々とすることが最大の使命であるはずがありません。所詮ちっぽけな生き物なのですから、失敗して元々。彼は、それが無理難題でも、心が躍る夢に一生を捧げる方がずっと素敵だと感じるのでした。
苦難にぶつかり全力の自分が削られる中でこそ、ちっぽけな生命が輝くのです。そう、何処を目指すか心に問いかければ、答えはいつも一つ。だから彼は今日も、君と一緒に歩くのです。「夢追い虫」の小さな足をセカセカ動かし、遥か彼方のあの場所へ!
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さいごに
君に対する謎の上から目線の辛口評価は、彼の照れ隠しの愛情表現だろうと感じます。実際、彼は君にぞっこんで、君への本能を燃え上がらせたりもしていますからね。彼もご立派ではない小さな虫に過ぎませんが、だからこそ一生懸命生きるのです!