「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「流れ星」は、1999年に発売されたスピッツの20thシングル曲。穏やかとも虚無ともいえそうな独特な雰囲気を持つ一曲ですね。
以降では、そんな「流れ星」の魅力を語りつつ、歌詞の意味も考察。自分を変えた後で勝手に消えた君を想う青年の物語を考えました。
「流れ星」とは
「流れ星」は、1991年のデビュー前から存在した曲でしたが、長年オリジナルアルバムには収録されず、1999年に発売されたスペシャルアルバム「花鳥風月」に収録された楽曲です。なお、同年に20thシングルとしても発売されていますね。
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | 流れ星 | 無限と虚無 |
---|
1. 演奏への印象
「流れ星」の演奏には、無限と虚無とでもいうべき、二面性を感じています。穏やかな宇宙を漂うかのような雰囲気と共に、儚さや脆さなども感じるのです。また、曲中に2回転調がある点も独特で、徐々に最期へと近づく「流れ星」を連想してしまいます。
演奏の中で一番印象的なのは、イントロを始め曲で繰り返されるギター。膨らみを持った穏やかで何処か切ないサウンドは、曲が持つ雰囲気を象徴しています。イントロもアウトロもこのギターで締められるため、輪廻転生的な雰囲気も感じますね。
ただ、その輪廻転生は生命という大きな軸で全体を捕らえた時の話であり、個々の流れ星はそれぞれに旅し、直ぐに消えゆく定め。とは言え、曲での転調は、それぞれの流れ星の旅が積み重なることで変わり続けていく生命をも示唆している気もします。
2. 個人的な想い
「流れ星」はデビュー前から存在した楽曲ということで、どこか詞的で奥深い印象を受けるとともに、生命というテーマを強く感じる自分がいます。それは固定観念かもしれませんし、事実かもしれません。いずれにせよ、独特な雰囲気を持つ曲ですね。
ところでこの「流れ星」にはPVも制作されています。そのPVは、草野さんが音楽を奏でながら宇宙を流れていくシーンが中心ですから、曲中の「流れ星」とは、宇宙で輝きやがて消えゆく生命、ひいては人間を表していると考えるのが自然と感じます。
ところで、その宇宙遊泳は能動的ではなく受動的に見え、まさに流されていく感じ。その演出には、大いなる力を前にしたちっぽけな人間が感じられます。とは言え、その流される様にはどこか超然としていて、生命のしなやかさも感じる自分がいますね。
歌詞の世界を考える
ここからは、「流れ星」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「突然現れ消えた君」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!
解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスをまとめています!
1. 考察の前提
流れ星とは、美しく輝くものの一瞬で消えてしまうもの。そんな流れ星は曲中では、全ての生命を包含するとともに、個別具体には君のことを指していると考えています。彼にとっての君は、既に彼の前から姿を消した、記憶の中にしかいない存在です。
なお、君が消えた理由はここでは深堀りしません。いずれにせよ、現時点で彼は君と気軽に会うことは出来ないため、君を脳裏で描くのです。ただサビにあるように、彼が心の中に君の姿を思い浮かべても、その幻影は直ぐに霧散してしまうようです。
ところで、彼には思い描く理想がありますが、それを口に出すことはありません。彼が少しだけ前向きになって理想を抱いたのは、君との交流が切欠でした。以降では、君が残していった言葉の意味とともに、大切な君を想う青年の物語を考えます。
(一覧に戻る)
2. 変わりゆき
かつては未来に興味を持たず、投げやりに生きていた彼。しかし今の彼には、未来への憧れがありました。それは大っぴらにしたことがない、彼だけの秘密。君との出会いを切欠として初めて未来に微かな希望を感じた彼が描いた、秘密の未来図でした。
熱中と言うより、埋没と言ったほうが適当な物思い。彼は今日もまた、そんな物思いにふけって一日を過ごしたのでした。ふと我に返った時、世界を照らしていた太陽は、既にその姿を消していました。空気が冷え込んだせいか、霧も出始めていました。
小高い丘から見下ろした先には、常にその姿を作り替えていく巨大な街が広がり、赤、青、黄色とキリがないほど多くの光が、夜霧の中で踊っていました。そしてその街は、彼の心を癒す場所ではありません。彼を癒すのは、巨大な街ではなく君でした。
(一覧に戻る)
3. 答え知らず
無為に日々を過ごし、世界を呪うばかりだったかつての自分。今なら、本当に問題だったのは臆病な自分だったと分かります。そして、それを教えてくれたのは君。彼の横っ面をひっぱたくような辛辣さを見せた君は、これを望んでいたのでしょうか。
しかし、本当にそうだったのか、もう確かめる術はありません。何せ君は、様々な言葉を彼に投げつけて惑わせた挙句、自分勝手に消えてしまったのですから。唐突に彼の空に現れ、眩い輝きと共にあっという間に消え去った君は、まるで流れ星でした。
ハッキリとした真意は分からないにせよ、彼にとって君が残した言葉は全て大切なものでした。考え続ければ、いつかは答えに至る日も来るかもしれません。かつては恨み言だらけだった心も、それに取って代わった光に照らされているのですから。
(一覧に戻る)
4. 流れ星
街の喧騒を離れた静寂の中ならば、君を思い出すことは出来ます。ただ、その姿は流れ星のように一瞬で消えてしまうのでした。この静寂の魔法の力も、徐々に弱まっているのでしょう。それに、認めたくなくとも彼の記憶も徐々に薄れているのでしょう。
どれほど深く刻んでも、記憶は少しずつ色褪せて剥がれていくもの。ただし、君への想いそのものは色褪せるどころか、長い別離を経て強まっていました。彼にとって君に変わる存在などなく、たとえ神様だって君の居場所を奪うことは出来ません。
また会えるかどうかは分かりませんが、今日のような静かな夜に星空に願いを懸け続けたなら、いつかはそれも叶うかもしれません。彼はこれからも、彼の人生を唐突に横切った流れ星を想い続けます。彼にとって神様より大切で、大好きな君を。
(一覧に戻る)
さいごに
この「流れ星」は、その作曲時期もあって、スピッツ初期に頻出の生命に纏わる物語であったり、ファンタジックな物語としての性格を強く感じる自分がいます。歌詞はあまり考えず、曲の演奏そのものを心で受け止めるのもいいかなとも思いますね。
流れ星はスピッツの全曲中でもっとも好きかもしれません。
この曲を深掘りされているのを読んで感心しきりです。なかなかこの曲をあげる人はいませんが、草野氏の内面がとても表れていて共感出来る、特に歌い出しのフレーズがたまらないです、これからもスピッツを応援しましょうね。私にとって彼らは唯一無二の特別です。
ご返信が遅くなり、すみません!
コメント、ありがとうございます…!
そうですね、スピッツには多種多様な曲があれど、
「流れ星」は特別な雰囲気を持った曲ですねぇ。
歌詞解釈は色々な考え方があるでしょうし、
別に正解などないものなのでしょうが、
だからこそ音楽は楽しいと言える気もします!
これからもスピッツ応援、間違いないですね^^
色々な音楽を聴く私ですが、
結局はスピッツに戻って来ちゃいます(笑)