「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「アケホノ」は、スピッツの46thシングル「美しい鰭」のカップリング曲の一つ。「美しい鰭」は新しい挑戦を感じる曲でしたが、「アケホノ」には従来のスピッツ色を強く感じています。
以降では、そんな「アケホノ」の魅力を語りつつ、歌詞の意味も考察。掟に世界に馴染めなかった二人の、自由への逃走を考えました。
「アケホノ」とは
「アケホノ」は、スピッツの46thシングル「美しい鰭」のカップリング曲の一つ。ペアになるカップリング曲「祈りはきっと」は少し悲し気なトーンも感じさせる曲でしたが、「アケホノ」は希望の光を感じる明るいロック曲だと思います!
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | アケホノ | 明るく前向き |
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1. 演奏への印象
「アケホノ」も、ザ・スピッツを強く感じる一曲。「美しい鰭」が新しいタイプの曲でとてもよかったですが、こういう曲があると安心感もあります。静かな演奏から始まり、徐々に演奏が盛り上がる感じは、歌詞と連なるストーリー性もあっていいですね。
サビのコーラスもなかなか素敵です。曲のテンポや雰囲気はだいぶ違いますけれど、このコーラスの感じは「ムーンライト」を思い出しました。どうでもいいですが「アケホノ」と「ムーンライト」だと、タイトルの意味的にも対極的ですね(笑)
中々良い曲なので早速カラオケで歌ってみたのですが、サビはかなりキーが高いです。超高音を使う訳ではないですが、全体的に高い音が連発。草野さんの様に柔らかく無理なく歌うのはなかなか難しそう。草野さんは流石に超一流のプロですね。
2. 個人的な想い
「アケホノ」は、初めて聴いたときから私のお気に入りでした。アルバムの締めくくりに入ってきてもおかしくない出来と思ったので、「ひみつスタジオ」には未収録と聞いて驚きました。ただ、「めぐりめぐって」もモンスター級でしたね♪
楽曲のイメージとしては、(「ヤマブキ」+「アカネ」) ÷ 2 って感じですかね。ミドルテンポの明るい応援ソングということで「ヤマブキ」を、演奏終わりの跳ねるようなギターの感じに「前向きなお別れ」を感じて、「アカネ」を連想しました。
とてもいい曲だと思うので、アルバムのツアーでも演奏されるのではないかなと思います。男性にはキーは高くて凄く大変ですけれど、環境的に許されるなら、ワンコーラス観客が歌うなんてのも楽しそう。まぁ、私は歌えないと思いますが(笑)
歌詞の世界を考える
ここからは、「アケホノ」の歌詞を追いながら、その歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「二人だからできた」としました。また、そのテーマを補足するため、以下の4つのトピックを準備しました!
解釈は私の直感に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスをまとめています!
1. 考察の前提
アケホノとは「曙」、つまり夜が白み始めた時間帯のことなのでしょう。長かった夜が明け、眩しい朝日を待つアケホノ。この「アケホノ」のテーマは、歌詞の内容も含めれば、「暗い日々の終わりと希望の日々の始まり」というものでしょう。
その希望をもたらしたのは、自由への逃走と恋人との出会い。「初恋」に関する歌詞は、「I Love You」の意味を初めて知ったという意味かなと。今までの好きの概念を越えて、全てを分け合いたいと思った相手に、彼は初めて出会ったとします。
また、彼は自らをナマケモノと呼んでいますが、これは半分正解、半分間違いだと思います。掟の世界では効率追求が第一で、要領が悪ければナマケモノ。彼は生来のんびり屋なので指摘は半分正解ですが、半分は掟の持論の押し付けとします。
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2. 正しい場所で
こうしろ、ああしろ。世界を支配する掟は、彼に命令してばかりでした。成長することは、幼さを捨てて立派な風格を手に入れること。そして、常に予測と計算に基づいて、合理的かつ効果的に動いて成果を出すこと。それが、掟の教えなのです。
そんな掟に言わせれば、彼は完全なる劣等者。彼も自分が至らない点は重々承知していて、何とか自分を変えたいと思って掟に従ってきました。それでもやっぱり、彼には掟の期待通りに動くことが出来ません。いつもいつも、貰うのは否定の言葉ばかり。
掟は意地悪をしているのではなく、自分を思ってくれている。自分にそう言い聞かせ、何とか掟の世界に挑戦し続ける彼ですが、落ち込むばかり。自分以外の誰しもが、掟も文句のつけようのない気品と風格を滲ませ、完璧な笑顔を浮かべています。
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3. 逃走と出会い
掟の声は、もう聞こえなくなりました。彼は少し前に、掟が支配するあの穴を、殆ど衝動的に飛び出してきたのです。彼には勝算など何一つありません。しかし、自分が自分として生きていくためには、この方法を取るしかなかったはずです。
自分でも嫌いかけていた自分。それでも、大切な自分。矛盾する感情の中で混乱した末の、愚かな逃走劇だったのかもしれません。実際、掟の穴を離れてからは、生きていくのも一苦労。掟の世界ではありえない苦労や危険も、ここでは当たり前です。
風よけも出来ない穴の外は心底冷え、凸凹した地面の上を進んで負った細かい傷は数え切れません。もし掟が正しかったなら、自分を待つのは惨めな最期でしょう。ただ彼は、まだ諦めてはいません。いつか希望の光を見出す日を信じて進みました。
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4. アケホノ
永遠にも思われた闇の果て。二人はついに微かな明かりを感じる場所へと辿り着きました。何度無理と思ったことか分かりませんが、もうゴールはすぐそこ。今となっては、掟が心に残した痛みでさえ、教訓として残しておきたいと思えるほどでした。
あそこに着くためには、危険な最後の冒険が控えているようです。しかし、彼は成功の予感を感じていました。もし君が最後の一歩をためらうなら、自分が導くことさえできるでしょう。恐怖は感じるかもしれませんが、それでも何とかなりそうです。
二人が一緒なら、掟が言う正しい大人にならずとも、今のままであそこに届くでしょう。気品も風格もない、衝動的な愛の言葉がこぼれ出るのを抑える必要も、涙を堪える必要もありません。ただ、ありのままに心のままに。アケホノが、二人を包みます。
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さいごに
歌詞には「二人」とありますし、曲は人の物語として考えるのが自然ですが、「ウォーターシップダウンのウサギたち」も思い出されました。小さなウサギたちが危険な冒険の旅に出ていく、みたいな勝手なストーリーも脳内展開してました(笑)