スピッツの曲

スピッツの「ありがとさん」の魅力を語る。歌詞の意味も独自解釈

an image of this song that means thank you
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回ご紹介する「ありがとさん」は、草野さんの歌声が染み入る良曲です。ただ、その歌詞にはまたまた意味深なものが・・・。

この記事では、スピッツ大好きな私が「ありがとさん」に対して感じていることを、曲の世界観への妄想を中心にお届けします!

「ありがとさん」とは

スピッツの16作目のアルバム、「見っけ」に収録されている曲で、君と主人公の生活を歌ったラブソングです。この曲にはPVが制作され、アルバム発売に先駆けて、ダジャレ気味に10月3日(ありが10、3)にYouTubeにて無料公開されています。

こんな人におススメ

スピッツ十八番のラブソングを聴きたい
・スピッツ独特の世界観に触れたい
・スピッツのロックな音作りを楽しみたい
・草野さんの美声を楽しみたい

 1. お気に入り度

私の個人的評価は、星4つ。スピッツらしい良曲だと思います。特に、歌詞の世界観は私の大好物です。つまり、色々と妄想できる余地があるということですね。以下では、私なりの妄想で「ありがとさん」の世界観に迫ってみます。

曲名コメントお気に入り度
1「ありがとさん」スピッツバラード

 2. 曲の特徴

この曲のテーマ自体は、バラードというジャンルに入る曲だと思います。ただ、ベースプレイが印象的な音作りは、静かな大人しい曲という聴こえ方はしません。あえて言うなら、スピッツの「正夢」のようなロック的な音作りと言えるかもしれません。

an image of rock and roll

 

曲の世界を考える

「ありがとさん」は、二人の男女の関係を歌った曲だと考えています。二人は恋人関係で、幸せな毎日を送っていたはずです。しかし、そんな二人の運命を変える出来事が起こります。そんな本曲の世界を、妄想ベースで紐解いていきます

an image of sadness that is from her death

anchora

 1. 登場人物とその関係は?

登場人物は、明らかに君と主人公の二人ですね。それぞれの性別については様々な解釈が可能ですが、スピッツの曲の大半は男性目線であろうという考え方から、ここでは君が女性で、主人公が男性という説を採用して解釈していきます。

主人公と彼女の二人は、仲良しな恋人同士。二人でお揃いのカップで紅茶を飲んだりする様子から、二人は同棲していると考えるのが妥当でしょう。さらに、主人公は、彼女とその後の人生を共にしていきたいと思うほど、彼女にぞっこんです。

歌詞から捉える限り、二人は出会ってからそれほど時は経っていないようですが、二人は将来の夢の話を語り合うような仲であったことが示されています。将来の話には、二人で家庭を築くという話も含まれていたのではないでしょうか。

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 2. 二人には、何があった?

幸せな生活を送っていた二人でしたが、その生活は既に終わりを迎えていることが示されています。実際、彼女との生活を歌う部分は、終始過去形です。二人は離別している。それもおそらく、どちらかの生命の終わりという形によって。

では、天国へと旅立ったのは、二人のうちどちらだったのでしょうか。正直なところ、どちらが旅立ったと仮定しても解釈は成立すると思いますが、私個人としては旅立ったのが君で、残されたのは主人公であるという考え方を採用します。

将来を考えていた若い二人。主人公にとって、彼女との別れは早すぎました。主人公が強い喪失感を感じていることは想像に難くありません。しかしそれでも、この曲を支配する感情は、絶望ではなく感謝、「ありがとさん」なのです。

an image of the heaven where she is

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 3. 想像されるシーンは?

彼女が旅立ってしばらくしてから、二人で暮らした思い出の部屋で一人過ごす主人公が空想にふけっているようなシーンが目に浮かびました。彼は、彼女との日々を偲び、お揃いのマグカップを二つ、いつものテーブルに並べているかもしれません。

人生を共にしていきたいと思っていたパートナー。そんな彼女は、自分の前からあっという間に姿を消してしまいました。その事実を思うと、彼の目からはホロリと悲しみの涙が流れていきます。彼女のいない生活は寒々しく、慣れることはできません。

しかし、彼女との想い出の日々は、涙で湿らせるべきものではないのです。彼は、彼女のおかげで楽しく幸せな日々を送ることが出来たのですから。だから、悲しい想いを飲み込んで、言葉にするのです。「ありがとさん」、と。

image of room in which they live

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 4.「化けて出る」の意味は?

2番のサビでは、体が滅びても感謝の気持ちを伝えたい、そのためにならお化けにでもなるという意味合いの歌詞が登場します。先述した通り、私はこの気持ちを語っている主人公は、今も現実世界を生きているものとして解釈しています。

この前提で、この決意表明を正面から捉えるなら、「主人公は生きていて、化けて出るのは未来」ということになります。しかし、化けて出たところで、既に彼女はいないはずです。これは、伝えるべき相手がいないということになるでしょうか?

いいえ、ならないでしょう。何故なら、彼にとっては「ありがとさん」という言葉を発することこそが重要なのであり、それが出来れば、物的な彼女がいるいないに関わらず、その気持ちは彼女に届くと信じているはずだからです。

主人公としては肉体が滅びて、「ありがとさん」という言葉を発することが出来なくなったらなら、化けて出てそれを続けたいと語っているのです。彼女への深い愛情と感謝の気持ちが滲み出ている意思表示であるということが出来るでしょう。

化けて出るイメージ

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さいごに

彼女が旅立ったという前提で考えると、イントロ・アウトロで印象的なピアノの音が、木魚の音にも聞こえてきます。主人公は、仏壇に向かって毎日お経を唱えながら、「ありがとさん」という気持ちを伝え続けているのかもしれません。

この曲は、悲しい別れを歌った歌であることは間違いありませんが、その別れに絶望した暗い雰囲気をまとった曲ではありません。むしろ、彼女との想い出に「ありがとさん」という想いを告げる、優しいオーラをまとった曲だと言えるでしょう。

ところで、何故「ありがとう」ではなく「ありがとさん」なのか。これは草野さんの発言で示唆されていますね。「ありがとう」とストレートに言うのは少し照れくさいから、「ありがとさん」にしたということです。こういうところも、スピッツらしいですね。
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