スピッツの曲

スピッツの「えにし」の魅力を語る。歌詞の意味も独自解釈

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こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回ご紹介する「えにし」は、私が初めて購入したスピッツのアルバム「とげまる」に収録されている楽曲。美しすぎるメロディーと優しくも力強いボーカルは、私の心を完全に吹き飛ばしました。

この記事では、スピッツで一番好きな曲と言っても過言ではない曲、「えにし」について、私の妄想も交えながらお伝えします!

「えにし」とは

「えにし」は、2010年に発売のアルバム「とげまる」の11曲目。調べなくても何曲目にあるかが分かるくらい、私にとっては特別な曲です。初めて「着うた」なる物をダウンロードした曲でもあります。若い方には、分からないでしょうか(笑)

「えにし」という言葉は、分かりそうで分からない言葉かもしれませんが、簡単に言うと人との縁のことを表しています。つまり、この曲は人との縁、特に大切な人との「えにし」について歌った歌だと言えます。

1. お気に入り度

この「えにし」という曲は、私がスピッツで一番好きな曲で、文句なしの、星5つです。この曲を知らない人は、人生を損している。思わずそう言いたくなる程の、圧倒的な名曲です。この記事を読んだ貴方にも、ぜひ聴いていただきたいですね!

曲名コメントお気に入り度
1「えにし」とげまる

 2. 曲の特徴

爽やかな疾走感、スピッツらしい歌詞、そして極めて美しいメロディーと、全てを包み込むような優しく温かいボーカル。どれをとっても最高傑作と呼ぶに相応しい完成度です。知名度こそあまりありませんが、逆にそこがいいですね!

曲のテーマ、人との縁を繋ぐイメージ。手紙だけに。

 

「えにし」の魅力

特別なこの曲を語る際に、あらかじめ道筋を決めておかないとしたら、私の感情赴くままに話してしまうことになり、話が全く話がまとまらないでしょう。そこで今回は、以下の3点を中心に「えにし」という楽曲の魅力を語っていきます

とはいえ、この記事を小奇麗に纏めてはつまらない気がします。「えにし」は、私にとって普通の曲ではないのですから、この記事もまた、私にとって普通ではない記事に出来るはずだからです。ですから、この曲がくれる感情は変に丸めず、そのままの形で文字にしていきます。
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アンカーa

1. 演奏の素晴らしさ

この曲は、演奏が素晴らしいです。初めて聞いたとき、イントロの勢いに強く惹かれました。種類こそ違いますが、イントロから感じたインパクトの大きさという意味では、QUEENの「Tie Your Mother Down」に匹敵するものがありました。

この曲は、全体として少しテンポが速めの疾走感のある曲ですが、ギター、ベース、ドラム、そしてボーカルと、曲を構成する全ての要素が完璧に調和し、「爽やかさ」と「温かさ」を両立するという離れ業を見事に成し遂げています。

演奏は曲全体を通して素晴らしいですが、あえて聴きどころを挙げるとすれば、イントロとラストサビ前の間奏でしょう。イントロは、数秒でリスナーを引き込むだけの圧倒的な勢いがあり、この曲が特別な曲であることを示しています。

また、ラストサビ前の間奏は、感情が昂ぶるギターソロが泣けます。曲全体に漂う優しさと切なさを象徴する、「夕日色のギター」とでも言いましょうか。優しい微笑みと、一抹の切なさと、そして君と出会えた喜びが混ざり合った素晴らしい音色なのです。

この曲がくれる気持ちは、優しい気持ち、嬉しい気持ち、幸せな気持ち。この曲を聴くと、人間として大切にしたい、そして誰しもが持っている感情が心に溢れてくるのを感じます。私も、そんな感情を大切にしながら、沢山の「えにし」を築いていけたらいいなと思います。
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2. 素晴らしいボーカル

草野さんが天才的なメロディーメーカーであることは、いまさら言うまでもありません。しかし、この曲のメロディーを耳にしたら、陳腐とけなされても、そんな当たり前の賞賛の言葉を引っ張り出してくるしかありません。

そして、そんな素晴らしいメロディーの上に、草野さんのボーカルが被さるのです。これで、名曲にならないはずがないではありませんか!この曲のボーカルは、優しさが染み入ったハスキーボイスであり、この曲全体から感じる「夕日色」を体現しています。

また、サビの高音部分は、男性には非常に高い音域ですが、草野さんの声からは高さを一切感じません。その代わりに感じるのは、声の解放感と輝き。この曲のメッセージである「君への気持ち」そのものが溢れ出ているような輝きが、そこにあります。

ビブラートがあるわけでもありません。特別なテクニックを感じるわけでもありません。ただの、添加物ゼロのボーカルです。しかし、それが良い。それこそが良い。このボーカルを聴かずに、草野さんのボーカルの良さを語ることはできないでしょう!

歌が上手い下手という次元ではなく、心に染み入るという感覚。こういった感覚を覚えさせてくれる歌手は、それほど多くありません。草野マサムネさんという歌手は、私にとってそういった感覚をもたらしてくれる稀有な歌手です。声の質は雲泥の差ですが、私も一人の歌好きとして、心と声の結びつきを大切にしたいと思います。
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3. 歌詞が放つ輝き

この曲のテーマは、「君と出会えた喜び」。そして、ここでの「君」というのがスピッツファンで、主人公はスピッツそのものを示しているという解釈が可能です。つまり、「えにし」は、ある意味では「醒めない」と同じく、ファンへのメッセージソング。

スピッツというバンドは、もともとパンクバンドから始まり、方針転換を経てポップバンドとして認知されました。彼らは、期待されるイメージと本来やりたい音楽とのギャップに苦しみ、苦悩を伴った音楽生活を送ってきたに違いありません。

しかし、全ては過ぎ去ったことです。真っ赤に燃えながら地平線に沈んでいく太陽に、全てを溶かそう。自分たちのバンド生活は、必ずしも順風満帆ではなかった。それでも今なら、苦悩も含めて良い経験だった言える。

色々と思うことがあっても、もどかしくて上手く言葉にできないことってありますよね。しかし、この曲に込められるはずだった数々の感謝の言葉は、この曲が纏った夕日色と、サビを締めくくるあの一言の中に、見事に集約されていると思いませんか?

サビで言葉遣いが多少崩れている部分も、個人的に大切なポイントです。私にとってのスピッツは、「少し捻くれた純情ボーイズ」。照れ臭いからちょっと悪ぶって言葉使いが荒くなってはいるけれど、その裏に隠れている心はどこまでも真っすぐで温かい。そんなスピッツのイメージが、ここに濃縮されていると感じています。
an image of warmness this song has

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 世界観の妄想

この曲は、大切な人への感情を歌った歌であり、曲に登場する主体が、スピッツそのものと、私たちファンである可能性は、既に指摘しました。そして、それこそが草野さんの作詞の意図だったと思って間違いないと思っています。

しかし、これ以降では、あえてその解釈を離れて歌詞を一般化し、大切な存在への気持ちを歌い上げる普通のラブソングとしてこの曲を解釈しながら、この「えにし」という曲が持つ、美しい夕日色の世界に迫っていきたいと思います

 1. 登場人物とその関係は?

この曲に登場するのは、主人公と君の二人です。そんな二人の関係については、様々な解釈が可能だと思いますが、私はあえて、二人は恋人関係ではなく、友人関係だと捉えてみます。ただし、主人公は彼女に対して恋心を抱いているものとします。

ところで、この曲で歌われている感情は、あまりにもピュアであり、この曲が持っている勢いもあまりにもドラマチックなものです。このような勢いを持った感情の発露の裏には、相当に強い衝撃と感動があったのではないかと推測します。

ですから、主人公と彼女は長い付き合いではない気がしています。社会と折り合いをつけ、それなりに暮らしてきた主人公を劇的に変えた女性。その彼女に対しての溢れんばかりの感情を、勢いのままに歌にした。「えにし」は、そんな歌に聴こえるのです。

彼女については具体的な描写がないため、どういった人物かは妄想するしかありません。私の中では、この曲全体が持つ「夕日色」を体現するような女性なのではないかと妄想します。優しく、穏やかで、純粋で温かい人。そんな感じですかね。

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 2. 主人公は、どんな人?

主人公の性格を考えるために歌詞を追っていくと、機能的な代替品があるはずの「古いラジオ」を大切にしているという描写が気になります。スピッツには、「古き良き」という考え方が度々登場しますが、今回もそれではないか、ということです。

それでは、今回の古いラジオが指し示す「古き良き物」とは一体何でしょうか?私は、この曲全体の流れから見て、特に2番のサビで歌われる決意表明から見て、彼自身が心を残してきた「自分自身としての生き方」への完全なる回帰だと考えました。

つまり彼は、社会に溶け込んだ大人の生き方ではなく、自分自身の掟を軸に生きたいのだと考えたのです。ちょうど、彼が古き良き時代、子どものころにしていたようにです。そして、こういった生き方は、社会からは良い顔はされないものです。

だからこそ彼は、メロにおける「しかめ面」という歌詞が示すように、少し擦れた生き方をしているのではないでしょうか。ただし、「陽だまり」を探しているという描写からは、愛情や温かさを欲している一面をも想起させます。

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 3. 彼は、どう変わった?

主人公である彼は、先述したように、自分自身の軸で生きていたいと考えるタイプだと考えています。しかし、そういった姿勢は、彼が生きる社会ではなかなか受け入れられず、結果的に彼は、「はみ出し者」として生きています。

彼は、そのこと自体に強い不満を抱いている訳ではありませんし、むしろ誇りに思っているかもしれません。しかし一方で、一抹の寂しさも抱えています。自分を曲げた方が良いかもしれないという気持ちも、あったかもしれません。

そして、そんな彼が出会ったのが、「陽だまり色の君」だったのではないでしょうか。彼が、彼女との交流を通じて様々なプラスの感情を得ていたことは明らかですが、一番気になるポイントは、「自分の役目」に関する部分と、2番サビの歌詞。

主人公は、陽だまり色の君との交流を通じ、自分本来の姿で生きる価値を、改めて見出したのではないでしょうか。そして、その価値への確信が、直後のサビでの「世界への態度表明」に繋がるのです。2番のサビは、この曲のハイライトですね!

彼の生き方は、世界の住人からは、嘲笑、ときには嫌悪されるようなものかもしれません。しかし、彼にとって恐るるに足りません。彼は、自分にとって何が大切かを思い出してしまったのです。彼は、自分自身の道を進むことを決意します。彼女が示してくれた、道の上を。
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 4. 伝えたかったコトとは?

この曲のサビでは、彼女に対して何かを伝えたいという彼の想いが歌われています。彼女の存在によって自分自身を変えることが出来た主人公は、彼女に対して計り知れないくらいの感謝の念を抱いていることでしょう。

しかし、彼女はそのことに気づいていません。だからこそ、彼は伝えたいと思ったのです。夕日が地平線に消えかかり、世界が優しく染まるころ。彼女と二人。彼が、隣の彼女に伝えたい言葉とは、まさしくその感謝の気持ちだったはずです。

しかし、いざ口を開くと、考えていた彼女への感謝の言葉は、全て雲散霧消してしまいました。何故なら、全てを上書きしてしまう感情が、心に湧き上がったからです。それが、具体的にどんな気持ちだったか、あえて書くまでもないでしょう。

彼女が主人公に対してどんな感情を持っているのかは定かではありません。しかし、二人が恋愛関係になることを否定するものは何一つありません。私は、主人公と彼女が二人で過ごす、温かい未来を想像しました。

彼女を前に言葉に詰まった彼は、あるいはサビを閉める最後の言葉だけを伝えたかもしれません。それは直接的な愛情表現ではないかもしれませんが、ある意味では愛情表現を越えた言葉かもしれませんね!
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さいごに

ライブではあまり演奏してくれないのが残念ですが、「えにし」は、草野さんとしてもかなりお気に入りの曲のよう。「とげまる」の1曲目に持ってくるという話もあったようですからね。ただ私としては、今の順番で良かったと思っています(笑)

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POSTED COMMENT

  1. おちゃー より:

    私もこの曲がお気に入りで、小学生の頃、3DSにダウンロードしてよく聞いていました!

    • すけまろ管理人 より:

      コメントありがとうございます!

      えにし、本当にいい曲ですよね。ちょっと崩した歌詞だからこそ際立つ純情、すんばらしい演奏(特にギターソロ!)、サビのちょいハスキーで、かつ伸びやかボーカル。どれをとっても超一級品です。

      スピッツの曲は多種多様ですから、それぞれ様々な後味があると思いますが、この「えにし」を聞くと、切なくも爽やかな音楽に心が洗われる感じがして、明るく優しい気持ちに・・・(十八番の一つですかね)。

      おちゃーさんのコメントで、「えにし」は色々な世代の方に受け入れられているんだなぁ、と思いました!まぁ、名曲なので当然ですかね(笑)

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