スピッツの曲

スピッツの「群青」の感想を語る。「昔の心」を軸に、歌詞の意味も考察

曲において重要な意味を持つ海のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「群青」は、スピッツの12thアルバム「さざなみCD」の収録曲。賑やかで楽し気な雰囲気に、思わずニコニコしてしまいます。

この記事では、そんな「群青」の魅力を語りつつ、歌詞の意味も考えます。今回は、「昔の心」へ戻ろうとする青年の物語を考えました!

「群青」とは

「群青」は、スピッツが2007年に発売した12thアルバム「さざなみCD」の収録曲です。前曲の「」は美しく気品ある雰囲気のある傑作曲でしたが、この「群青」は、2曲続いた真面目な雰囲気をガラっと変える、ウキウキなポップソングです!

曲名コメント一般知名度お気に入り度
1群青ウキウキロック
「群青色」の海のイメージ

 

「群青」の印象

「群青」は、スピッツの33作目のシングルであり、ポップでキャッチーな楽曲。メンバーが踊りを披露するPVも制作されており、アンガールズのお二人が出演していることも話題を呼びました。以降では、そんな「群青」の魅力を語っていきます!

1. 演奏について

「群青」の演奏には、ウキウキ感が溢れています。可愛い躍りが含まれるPVの影響もあり、曲を聴くと小踊りしたくなります。もちろん、間奏部の「ジャンガ・ジャンガ」もやる気満々です。「群青」は、笑顔とウキウキを振りまく一曲なのです。

スピッツにしては長めのキャッチーなイントロが、曲の代名詞的な存在。ギターアルペジオを軸としつつ、その後ろでアコギのチャカチャカ音も聴こえるのが心地よいですね。また、踊りまわるベースと軽快なドラムも、イントロの魅力を高めています。

個人的な演奏の聴き所は、曲の間奏部分。アコギの音色が目立つ序盤から、波間をゆらゆらと漂うようなキーボードが主役の中盤へと移行し、そして、美しいコーラスと共にクライマックスを迎える。小奇麗に纏まったウキウキな演奏だと感じます!

「群青」の演奏は、コンパクトにまとまっている印象があります。ロックバンドらしい迫力のある演奏も好きですが、キラキラ輝く宝石箱を思わせるような、小奇麗な演奏も好きです。この「群青」は、スピッツが持つポップでキャッチーな顔を楽しむのにもってこいな一曲ですね!
曲のイメージ、コンパクトな宝石箱のイメージ

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2. ボーカルについて

「群青」のボーカルは、スピッツにしては低めの音域を多用する穏やかなものです。最高音もmid2Gですから、一般男性でも頑張れば歌うことが出来る音域です。ただ、サビでは中音域を連発するため、余裕をもった声で歌うのは難しいでしょう。

私にとって、この「群青」は私のボイトレ道を開いてくれた一曲です。高すぎて歌えなかったスピッツ曲の中で、「この曲ならいけるかも」と(浅はかにも)考えた私は、「群青」の練習を始めたのです。それが、私のボイトレ道の始まりでした。

当時、練習すればする程に、この曲の難易度を思い知ったものです。一般男性にとって、「群青」で多用される中音域をしっかりと声に芯を入れ、かつ力まずに歌うことはとても難しいです。ライブでもブレずに歌う草野さんに、脱帽してしまいますね!

ところで、「群青」は、そのコーラスワークの美しさも魅力の一つです。スキマスイッチの大橋卓弥さんと、シンガーソングライターの植村花菜さんが参加しているコーラスは、広がりのある鮮やかなサビを生み出しています。スピッツならではの、豪華なコーラスだと言えますね!
コーラスワークのイメージ

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3. 歌詞について

「群青」の歌詞はラブソング調ですが、それ以上に「ありのままの自分」でいる喜びを感じるものです。私にとって、それはスピッツの根幹にあると感じるコンセプト。また、サビに二度登場する「優しさ」に関する描写には、強く共感しています。

私たちは、成長と共に「冷たい人間」になってしまう可能性があります。自分の利益の確保に躍起になり、周りに無関心になってしまうこともあります。その姿勢は、物質的な実りをもたらすとしても、幸せを運ぶものかは怪しいところでしょう。

「群青」の歌詞は、そんな私たちを性善説的に照らします。歌詞では、「本来の優しくて温かい心に戻ろうぜ」と歌われるのです。特徴的な語尾「~のだ」調もあり、少し茶化した感じも出しつつも、その歌詞はどこまでも温かいものだと感じています。

「とげまる」でスピッツに強い興味を持った私が、次に手を伸ばしたのが「さざなみCD」で、その中で特に繰り返し聞き歌ったのが「群青」でした。私にとって特別な「群青」で歌われる「ありのままに戻れ」は、スピッツの歌詞におけるコアコンセプトの一つだと感じています!
「群青」に溢れる優しく温かな光のイメージ

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歌詞の世界を考える

ここからは、「群青」の歌詞を追いながら、その歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「昔の心を取り戻せ」としました。なお、そんなテーマを補足するためのトピックとして、以下の4つを準備してみました!

曲解釈は私の想像であり、他人に押し付ける物ではありません。ただ、出来る限り想像の根拠が提示できるように、歌詞とリンクさせながら進めていきます。私の想像を楽しんでいただけると、嬉しく思います!

無邪気に鳥を追う子供心のイメージ

 

1. 考察の前提

「群青」の中心テーマは、サビに登場する概念「かつての姿への回帰」だと考えています。冒頭の歌詞にあるように、人生への情熱や生きる意味を失いかけていた主人公は、温かな君と出会うことで変わり始め、その彼が至った結論が「回帰」なのです。

昔の心を取り戻せば、優しく穏やかな心が戻ってくるでしょう。それまでの彼の態度から言って、優し気な彼の態度は「偽善的だ」と指摘されるかもしれません。ただそれでも、彼は君のような温かな存在になるべく、「回帰」すると決意したのです。

そして彼は、世界を渡るための知恵の靴を脱ぎ捨て、素足で走り出します。その姿勢は、スマートな世界から見れば愚かですし、彼が躓くこともあるでしょう。しかし、失敗上等。倒れても懲りずに立ち上がる姿が、これからの彼が目指す理想なのです。

「群青」では、「海」の存在も重要。海の自由なうねり、冷たい波しぶき、空を舞う小鳥たち、砂浜の柔らかい感触、そして果てしない青。それら全てが、新たな彼の生き方を祝福するのです。以降では、君と出会って冷たい日々を脱し、愚かな自分に戻っていく青年の物語を考えます!
裸足で進むイメージ

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2. 君と出会って

彼は長い間、心を眠らせて生きてきました。世界の波に立ち向かうのではなく、その波に背を向けることで、大怪我だけは回避してきたのです。ただその代償として、かつて抱いた、夢と呼べるような想いや自分への満足感は、薄れてきていました。

しかしそんな彼の人生は、突然大きく動き出しました。そう彼は、君と出会ったのです。君は、彼が知る世界と馴染まない存在でした。外の世界は冷たいはずなのに、君はいつでも楽しそうですし、いつでも優しい君の笑顔は、彼の心を温めるのでした。

彼はこれまで、心を眠らせることが世界の冷気から身を守る知恵だと思っていました。しかし、君を知った以上、このまま閉じこもってはいることはできません。君はどうして、あんなに優しいのでしょう。彼は、もっと君を知りたくなったのです。

これまで彼は、楽しみなどない日々を流れてきました。外の世界に彼の心を惹くものはないと思っていた彼は、内に閉じこもる日々を送ってきたのです。しかし、君を知った彼の世界は、大きく動き出したのです。彼は、久方ぶりに外の世界、君という存在に興味を抱いたのでした。
彼の部屋に差し込んだ光のイメージ

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3. 今こそ変われ

君は何故、あんなに温かいのでしょうか。彼は、遠くから君の姿を見つめながら、ずっと考えていました。君は、いつでも楽しそうな笑顔を浮かべています。それに、何か見返りがあるわけでもないのに、君はいつでも優しい表情を崩そうとはしません。

君を見ていた彼は、自分がひどく臆病に思えてきました。悪目立ちを避けるため、他人の領域には踏み込まず、自分に関係あることだけに手を出してきた自分。常識的ではない夢や希望は封印し、同じような日々を淡々と越えることを受け入れて来た自分。

そんな自分は、いつしか夢や希望を無くし、無色の心で生きるようになったのです。そう気づいた彼には、君のように生きることへの憧れが生まれました。そんな彼に必要なのは、計算に裏打ちされた無色の心ではなく、もっと愚かな有色の心でした。

彼はまず、未来に期待を持つ努力から始めました。彼はこれまで未来に無関心でしたが、未来の中に優しい君がいるなら、未来も少しは好きになれそうです。久しぶりに開放的な気分になった彼は、何故だか急に海を見たくなりました。海の青色が、彼を呼んでいる気がしたのです。
変わろうとする彼のイメージ

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4. 群青

磯の香りと波しぶきが、彼を包みます。彼は、海という温かな母に抱かれたような気持ちになり、無性に嬉しくなってきました。人間、生まれて来ただけで奇跡だ。母なる海の鼓動をを感じるうちに、彼にはそんな強い想いもこみあげてくるのでした。

君を思うと、心に小さな花が咲いたかのよう。これがきっと、恋心というやつでしょう。潮騒に向かって君の名を叫んでみても、とってもいい気分です。この浮ついた気分、昔懐かしい感覚さえあれば、どんな波も乗り越えて行ける気がしました。

これからの日々、波のように苦境も打ち寄せるでしょうが、彼に逃げるつもりはありません。無様に倒れても、七転八倒で進むだけ。まずは、昔のように優しくなることから始めましょう。しぶきの中で、色の無かった彼の心が青色に変わり始めました!

私にとっての「群青」は、淀んだ世界で心を眠らせて生きてきた主人公が、冷たい世界にそぐわない温かな存在である君に出会い、本来の自分を取り戻していく自己開放の物語。彼の恋は、まだ片思い。愚かさを取り戻した彼は、飾らない素足の心で君という小鳥を追いかけていきます!
彼を染める海の青のイメージ

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さいごに

「群青」は、私がスピッツの大ファンになった時期に聴きこんだ曲であり、思い入れが強い一曲です。素直な心で、優しくあればそれで十分というメッセージは、私の人生観にも重なります。偽善的だと嗤われても、いつも優しくありたいですね!

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