「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回ご紹介する「ハニーハニー」は、スピッツの3作目のアルバム「惑星のかけら」に収録されたナンバーで、「ポップでルンルン♪」な感覚とロックサウンドの重厚感が見事に融合した楽曲です。
この記事では、「ハニーハニー」の魅力を語りつつ、その歌詞が描く世界を考えていきます。主人公の恋心の裏にある罪とは、一体?
「ハニーハニー」とは
「ハニーハニー」は、1992年発売のスピッツの3rdアルバムである「惑星のかけら」の2曲目。前曲の「惑星のかけら」の残したロックサウンドを引き継ぎつつも、ハチミツのようにスウィートな雰囲気も味わえる、ルンルンなナンバーです!
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | ハニーハニー | ポップロック |
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1. 演奏への印象
この曲の持つウキウキ感は、勢いのあるイントロに象徴されているのではないでしょうか。前曲の「惑星のかけら」もイントロが印象的な曲でしたが、ヘビーな印象が強かったそれと違い、この「ハニーハニー」のイントロは、明るさ満点です。
この曲は、2014年のスピッツのアリーナツアーで演奏されていて、フェスティバリーナとして発売されている公式映像で、ライブ演奏を楽しむことも出来ます。イントロのドラムがフィーチャーされたアレンジがカッコいいですね!
個人的なイチオシは、重厚な演奏がいったん鎮まるCメロ部分です。美しいバッキングパートを担当するギターとベースを背後に、草野さんのノビある中高音を楽しむことが出来ます。ライブ版だと、ステージライティングが変わるのも綺麗です!
2. 個人的な想い
この曲では、スピッツ史上初めて、アルファベット表記の英語を用いた歌詞が登場します。この曲のタイトルも含めて、カタカナ表記の英語を使うことは、しばしば見られますが、アルファベット表記の歌詞は、スピッツでは大変珍しいことです。
草野さんも、この歌詞を採用するのはかなり実験的だったとして、この曲を語っているようです。なお、その後の歌詞の傾向を見ると、英語を用いるというスタンスは、あくまで例外中の例外という扱いに落ち着いたようです。
スピッツについては、その選択がベストだと感じています。ポピュラーな世界にあえて背を向け、けもの道を往くのがスピッツの魅力です。他意はありませんが、草野さんの奥深い世界観と日本語の機微の相性が抜群なのも、間違いありません。
歌詞の世界を考える
ここからは、「ハニーハニー」の歌詞を追いつつ、その歌詞が描く世界を考えていきます。今回の考察におけるテーマは、「月のダンス」としてみました。そのテーマを構築するにあたり、以下の4つのトピックを準備しました!
曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です!
1. 二人と恋
この曲に登場するのは、主人公とハニーです。ハニーには、彼の恋愛的な関心が向いていると考えてよいでしょう。また、恋に落ちた彼の幸福感は、一番のメロにある通り。彼女のことを思った彼は、全てをはねのける無敵感すら感じています。
ところで、主人公が曲中で「もう、新たな恋することはない」などと宣言するところも、可愛らしい少年的な純情さを感じます。最高の恋に浮かれた主人公と、その恋心を優しく受け止めるハニー。そんな二人が、個人的にはしっくりきます。
また、二人の年齢は、若いでしょう。2番のメロで歌われる定められた運命に覆われた退屈な世界の先にある別世界への好奇心や、現実世界に抵抗し、まだ見ぬ世界を目指そうとする姿勢からは、若者らしい純情と反骨心を感じています。
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2. 二人と罪
歌詞では、ただひたすらに恋の喜びが歌われる訳ではなく、二人の行動と罪を結びつける意味深な描写があります。この「二人の罪」をどのような罪として考えるかによって、この曲の解釈は大きく異なってくることでしょう。
私は、二人の罪は、道徳的な大罪ではないと考えました。私がこう解釈する大きな理由は、歌詞での月の描写です。私にとっての月は、聖なる存在。その聖なる光の下で踊る二人に、道徳的な罪を重ねることは、個人的にしっくりこないのです。
そんな彼らに罪があるとすれば、2番のメロにあるように、世界の掟に疑問を持って、その先にあるかもしれない世界を夢想しているところかもしれません。予定調和の世界を越えていこうとする姿勢は、世界の秩序を乱す悪行とも言えるでしょう。
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3. 二人と旅
この「ハニーハニー」の歌詞の大部分は、彼から君に向けられたお誘いです。つまり、曲内で描写される事柄の多くは、起こるかも分からない不確定な未来を描いているに過ぎないのです。ただし、Cメロ部分だけは、事情が異なります。
Cメロでは、溶け合った二人の心がスパークして始まる「二人の旅」が扱われますが、Cメロの表現は、「~しようよ」という勧誘ではなく、確定事項を説明しているかのようです。この旅は、二人の心が溶け合ったら必ず始まる物なのでしょう。
そして、二人の心が溶け合うとは、二人で同じ恋の喜びを分かち合うことを意味している気がします。つまり、メロで歌われているように街で落ち合った二人が、月光の下で踊り出すときこそ、二人の旅が始まるのではないでしょうか。
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4. ハニーハニー
二人が街で落ち合ったなら、定められた世界から抜け出し、新世界を目指す旅を始めることになるのでしょう。気分屋とはいえ、神が作った掟に逆らって、その統治下にある世界を飛び出そうとする態度は、見方によっては神への挑戦、大逆とも言えます。
しかし、月光の中で踊る二人を想像する彼の心は、喜びに満ちています。彼は、罪の意識も感じてはいますが、彼を止める理由にはなりません。彼は、「天国」が近づいてくるまで、恋の力を原動力に踊り続けたいと願っています。
この天国とは、神の掟通りの理想の世界でしょうか。そしてその天国が、彼らにのしかかるとしたら、二人の行動もその天国の掟に組み敷かれることになるでしょう。果たして、二人は罪人のままで、月の下で踊り続けることが出来るでしょうか?
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さいごに
「ハニーハニー」は、恋の快楽に溺れた二人が、天国から裁きが訪れるまで遊びまわる歌とも考えられます。ただ、スピッツの楽曲の登場人物には、性善説を重ねがちな私がいます。私の中では、純粋な恋の喜びが弾ける曲としたいですね!
「そのほかのアルバム収録曲」も、ぜひご覧下さい!