スピッツの曲

スピッツの「8823」の魅力を語る。「二人の自分」を軸に、歌詞を独自考察

大空を舞うハヤブサの心のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回ご紹介する「8823」は、スピッツの9thアルバム「ハヤブサ」のタイトル曲で、ロックバンドスピッツの魅力が詰まった傑作曲です。カッコよすぎるロックナンバーは、私の心を熱くしてくれます!

この記事では、そんな「8823」の魅力を語りつつ、歌詞の意味を考えます。今回は、「8823」を人生応援歌として語り倒しました!

「8823」とは

「8823」は、スピッツが2000年に発売した9thアルバム「ハヤブサ」のタイトル曲。前曲の「HOLIDAY」は、スピッツらしい変化球でしたが、この「8823」は、ロックバンドスピッツを象徴する楽曲で、ファンの心を捕らえて離さない超傑作曲です!

曲名コメント一般知名度お気に入り度
18823傑作ロック
大空を翔る8823(ハヤブサ)のイメージ

「8823」の印象

「8823」は、ロックなスピッツを象徴する楽曲。「ロビンソン」などの超有名曲ほどの知名度はないでしょうが、スピッツロックの中心に堂々と君臨する楽曲だと言えるでしょう。以降では、そんな「8823」の魅力を以下の3点で語っていきます!

1. 演奏について

前作「フェイクファー」のヒットもあり、スピッツが受けた優しげなバンドとの評価。それも一つの魅力ですが、それだけがスピッツではありません。そして、「8823」の演奏の至る所には、ロックエナジー、つまりスピッツの魂が流れています。

迫力あるロックな演奏が放つのは、強い疾走感と高揚感。曲が持つエナジーには、曲タイトル「8823」もあって、隼が持つ決然とした鋭い眼差しを思わせるものがあります。曲の中でメリハリがあって、サビの疾走感がより際立つのもグレートです。

演奏の全てが素晴らしいですが、中でも確かな脈動はあれど静かなメロから、サビへと移ったときのエネルギーの爆発感が格別。メロで湧き上がるパワーが、唸りを上げるギターと超速連打のドラムと迫力あるベースに押され、サビで噴火を迎えます!

イントロのギターも、私の大のお気に入り。どこか物寂しい音色のギターには、崖上の高木にとまり、風に吹かれながら崖下の世界を眺める隼の姿を連想しています。その隼、つまり曲の主人公は、少しだけ孤独ですが、決然とした眼差しでやがて飛び立ち、宙を切って飛ぶのです!
隼の決然とした眼差しのイメージ

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2. ボーカルについて

「8823」のボーカルも、まさにスピッツの真骨頂です。メロは低音で迫力を出し、演奏が爆発するサビでは使用音域も大きく上がり、草野さんのボーカルが輝きを放ちます。また、サビのハモリコーラスで、曲が鮮やかに彩られるのも素晴らしいですね。

高音を連発するサビですが、そのサビには勢いと迫力、そして決然とした意志に溢れていて、「ポップなスピッツ」の要素は感じられません。私は、ポップなスピッツも大好きですが、魂を揺り動かすようなロックスタイルも、もちろん大好きです。

また、Cメロの心の声を絞り出したような少し掠れたボーカルには、微かな寂寥感を感じます。世界を孤独に見つめる隼には、色々と思うところがあるに違いありません。しかし、一たび飛び立てば、悲しみを飲み込んで勇敢に大空を駆けるのです!

スピッツのライブで「8823」が演奏されないことは、殆どありません。私が参加した3回のライブでも、3回とも演奏されました。近年のハスキーさを増した草野さんの声で歌われる「8823」は、より迫力を増しています。カッコいいライブプレイの前に、私はいつだって大興奮です!
8823のライブが盛り上がるイメージ

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3. 歌詞について

私は、スピッツが奏でる音楽から、多くの生きる力を貰ってきました。それが草野さんの意図かどうかは別にして、私にとってのスピッツは、情熱の暖炉の薪だったのです。そして、そんな多くのスピッツ曲の中でも、この「8823」は特別な一曲です。

私が安定した環境を離れ、自分なりに輝くことを目指し始めたのも、はみ出し者である自分を笑って受け入れ、秘かに誇りを持つ自分でいることが出来るのも、この「8823」で描かれる精神性に強く共感し、心の中心に置いているおかげなのです。

私たちは、完璧でなくてもいいのです。夢を見てもいいのです。情熱に従ってもいいのです。そして、私たちの旅路は幸福だけの日々ではなく、時には嵐もあるでしょう。しかし、強くなくても、特別でなくても、道を切り開く意志こそが大切なのです!

音楽は、人に力を与える。そんな月並みの言葉を、私に骨の髄から理解させてくれたのが、この「8823」でした。そして勿論、その中心にはこの歌詞があったのです。身の程知らずの夢を抱えた私の人生は、これからも続きます。「8823」がくれる勇気を胸に抱き、私も飛び続けます!
8823がくれる勇気で空を飛ぶイメージ

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歌詞の世界を考える

ここからは、「8823」の歌詞を追いながら、その歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察のテーマは、「舵を取るのは」とします。なお、そんなテーマを補足するためのトピックとして、以下の5つを準備してみました!

曲解釈は私の想像であり、他人に押し付ける物ではありません。ただ、出来る限り想像の根拠が提示できるように、歌詞とリンクさせながら進めていきます。私の想像を楽しんでいただけると、嬉しく思います!

人生の舵のイメージ

 

1. 考察の前提

私にとっての「8823」は、スピッツ節の応援歌。全体として、愛が重要なテーマの一つだと思いますが、私にとっての「8823」の主題は、あくまで自分らしさの追求です。先述した通り、これこそが私の魂が感じている「8823」の主題なのです。

曲のサビでは、力を合わせる二人が世界を進む描写が見られます。これを素直に読むなら、主人公と君の二人は別人格の主体であり、「8823」は、愛の絆の重要性を扱う曲と考えることが出来ます。そしてその解釈は、他意なく極めて妥当と言えます。

ただ、この二人を「外面の自分」「本音の自分」とすることも出来るでしょう。今回の解釈ではこの考え方を採用し、超主観的解釈を進めていきます。なお、「二人」をどのように捉えたとしても、曲の根幹部分には「意志の力」があることでしょう。

正直に言って、「8823」で歌われる内容は、今の私の価値観そのものですから、以降での解釈も私の人生観を述べるようなものになるでしょう。この「8823」が私にくれた勇気の翼を、以下の解釈で表現したいです。貴方にも、私が抱く「8823」への熱い想いが届きますように!
人生のイメージ、良いことも悪いことも

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2. 掟と赤き炎

世界の掟に従って、あるべき姿になってこそ一人前。これまで彼は、世界が彼に向けるそんな助言を幾度も聴いてきました。彼は、その掟に理があることは理解しています。もちろん、世界が甘くないことだって、言われるまでもないことです。

世界が甘い場所ではないからこそ、彼は今まで多くの知恵を身につけてきたのです。彼は、その知恵を生かし、甘くない世界の日々をやり過ごしてきました。ただ、世界の波をかわし続ける日々に、彼の心が熱くなることはありませんでした。

そんな彼の心は、この世界を秩序立てる巨大な掟の壁に向けられています。世界は彼に、その掟に従って生きるのが人間のあるべき姿であり、掟の教えを外れたことに価値あるものなど何もないと教えてきました。しかし、それは本当でしょうか?

世界の教えには、確かに理があります。ただ、掟の中で生きることが全てなのでしょうか。自分のあるべき姿とは、掟が決めるものでしょうか。彼は、掟の外の世界を想うとき、赤い炎が心の中で揺らめくのを感じます。それは、掟の世界では感じることが出来ない情熱の炎でした。
彼の心に揺らめく赤い炎のイメージ

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3. 炎は消えず

彼はやはり、価値がないと教えられた掟の外の世界に心惹かれてしまうのでした。彼の心で揺らめく情熱の炎は、日に日にその強さを増していくように感じられます。まるで、掟の外の世界から、その炎をあおる風が吹きつけているかのようです。

しかし世界は、そんな彼を制止しようとしました。皆が皆、口をそろえて彼を愚か者だと非難するのです。しかし彼は、そんな言葉を聞けば聞くほど、心の中であの赤い炎が揺らめくのを感じるのでした。そんな彼は、自分の心に何度も問いかけます

本当に、安定した掟の世界と別れる覚悟があるのか。外の世界がどんなに大変なものになり得るか、分かっているのか。もし、本当に外の世界に何もなかったら、後悔しないのか。ただ、彼がそう問いかけても、心の赤い炎が消えることはありませんでした。

掟の世界の安心感と外の世界への好奇心。その二つを天秤にかけても胸の炎が消えないと確認した彼は、旅立ちを決意しました。掟の世界で過ごした想い出の欠片を、そっと胸にも忍ばせました。掟の世界を旅立つ彼ですが、掟の世界での日々の全てを捨てる気にはなりませんでした。
ポケットの中の想い出のイメージ

 

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4. 二人の自分

掟の世界から飛び出した彼ですが、掟の日々の思い出を捨ててしまう気にはなりませんでした。それは、外の世界を想ったときに心で揺らめく赤い炎が彼自身であるように、掟の世界を過ごした自分もまた、他ならぬ彼自身だったからです。

それらはそれぞれ、「内なる自分」「外なる自分」なのです。赤い炎、「内なる自分」は、本当の幸せを探知する羅針盤になります。そして、その羅針盤を体を張って守ってきたのが、知恵を拾い集めた嫌われ者、「外なる自分」ではありませんか。

確かに、彼の自我は「内なる自分」にあり、「外なる自分」に辟易とすることもありました。しかし、「外なる自分」を切り捨てることは、全くの恩知らずで正しいことではありません。これからは、世界の荒波を二人の力で乗り越えるべきなのです。

旅立ちの決意を固めた彼は、夜明け前の世界で深く深呼吸し、新たな人生の始まりを噛みしめました。二人の自分も、心を合わせる準備が出来ています。やがて、地平線の彼方に鮮やかな朝日が昇り、彼の鼓動もこれ以上ないほどに高鳴りました。さあ、新しい人生の幕を開けよう!
心躍る夜明けのイメージ

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5. 8823

飛び出した以上、もう後ろを振り返ることはありません。彼は今、掟の世界を離れて、「内なる自分」が指す方角へ、「外なる自分」の姿で駆けていきます。夜明けの感動に背を押された速度は高まり続け、もはや誰も彼を捕らえることは出来ません。

自分の在り方を決めるのは、世界の掟ではなく彼自身であり、人生の舵を握るのも他ならぬ彼自身なのです。これからは、彼の判断が彼自身を不幸にも幸せにもするでしょう。彼は、あの掟ならば愚かと一蹴したはずの夢物語の世界を目指します。

小難しい技術は必要ありません。完璧である必要もありません。必要なのは、二人の心を合わせて、心躍る道を往く感覚。その感覚があれば、世界が二人を嗤おうと、何を気に病むことがあるでしょうか。さぁ、今こそ愚かな夢を抱き、己が道を往け

私にとっての「8823」は、もはや楽曲というジャンルすら越えてしまった、人生の同伴者。曲中の物語は物語として素晴らしい物ですが、今回は、私が「8823」から勝手に受け取った感覚を言語化してみました。これ以上なく私の魂と同化した「8823」。本当に、本当に大好きです
勇敢に空を舞う8823のイメージ

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さいごに

演奏、ボーカル、歌詞。どれを取っても最高な「8823」。今回のレビューは、いつも以上に、魂が指を動かすままに書いてみました。少し熱っぽい部分が多すぎるかもしれませんが、それらは全て、私が「8823」に抱いている感動の一端なのです!

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