「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。
今回の「夕焼け」は、スピッツの33rdシングル、「群青」のカップリング曲。曲の雰囲気も対照的ですが、青と赤の対比も面白いですね。
この記事では、そんな「夕焼け」の魅力を語り、歌詞の意味も考察。単純だけど、一言では表せない愛を抱えた青年の物語を考えました!
「夕焼け」とは
「夕焼け」は、2007年発売の33rdシングル「群青」のカップリング曲で、2012年に発売された「おるたな」にも収録済。「夕焼け」は仮タイトルが「哀愁系」だったらしく、「群青」の明るいノリとは対照的な、切なさも感じる一曲ですね。
曲名 | 曲調 | 一般知名度 | お気に入り度 | |
1 | 夕焼け | 切なく温かく |
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1. 演奏への印象
「夕焼け」の演奏には、温かくしみじみとした雰囲気が溢れていて、タイトル通りの、夕焼けに照らされた温かな世界を感じる一曲ですね。その景色は美しく感動的なのはもちろん、同時に楽しかった時間の終わりのような、切ない雰囲気も感じています。
演奏面では、動き回るベースの音が耳に残ります。温かな響きを持って曲全体を包むかのようですね。また、間奏の高まっていくギターソロには、美しい夕日の世界への感動が想起されます。穏やかでありながら、盛り上がりどころもある良曲ですね。
切なさという点では、イントロとアウトロのぼやけた低音ギターが良い味を出していますね。世界を照らす夕日の色が薄れ、夜のとばりが徐々に広がり始めるような。温かな切なさとでもいうべきか、涙に滲んだ切なさとは別種の切なさも感じますね。
2. 個人的な想い
「夕焼け」は、スピッツに意外に多い夕日シリーズに連なる一曲。タイトルにズバリの曲も多いですし、歌詞に夕日が出てくることも多い印象。私の中で、夕日シリーズの筆頭は「夕日が笑う、君が笑う」ですが、この「夕焼け」も良曲ですね。
また、「夕焼け」は、草野さんの高音ボーカルも魅力的。個人的に、デビュー初期のボーカルは細く鋭い印象ですが、この曲の時点では既に温かな膨らみを持ったハスキーボイスの印象が強まっています。それが、曲の世界観とマッチしていますね。
サビでの高音の輝きは、まさにザ・スピッツと言ったところ。CD版では美しく温かい雰囲気が前面に出ていますが、ライブで歌ったなら圧を感じるほどの強さも加わるのだろうなと妄想してしまいます。個人的に、是非ライブで聴いてみたいですね。
歌詞の世界を考える
ここからは、「夕焼け」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「ずっと続きますように」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!
解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスをまとめています!
1. 考察の前提
「夕焼け」の歌詞には、スピッツの純なる面を強く感じていて、「群青」の物語と連なるイメージもあります。例えば、大好きな君とはしゃいで遊んだ昼下がりと、遊び疲れてお互いに寄りかかりながら、黙ったままで見つめる温かな夕日の世界のような。
歌詞では、主人公が君に向ける想いが描かれています。その想いとは、慈愛に満ちた美しい夕日のようでもあり、はたまた発情期を迎えた猫のようでもある複雑な感情。ただいずれにせよ、君との日々が全てと感じるほど、彼は君に心を寄せています。
そんな二人の性格は、2番メロにあるように、似通ってはいないよう。ただ彼にとって、その違いは二人の日々を美しく輝かせる大切な要素なのです。似ていないが故にぶつかることもあれど、その違いが予想外の日々が生み、彼を虜にしているのです。
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2. 言い表せず
大切な君への想い。その想いを簡潔に纏めようとしても、上手くはいかないでしょう。君を想うと、夕日のような美しく温かい気持ちと同時に、本能の炎に駆り立てられた野良猫のような情念も浮かぶのです。こんな気持ちは、とても一言では表せません。
もちろん、君のことが好きなのは間違いありません。ただ、そんな言葉だけでは全く足りないのです。君と出会って、こうして二人で過ごすようになって、彼の全ては君に向いているのです。そんな短い言葉で、彼の気持ちを表せるはずもありません。
自分がこんなことを考えていると打ち明けたら、君はきっと彼のことを茶化して笑うでしょうし、感情表現の稚拙さを指摘されるかもしれません。ただ彼は、君にそんな風にちょっと馬鹿にされたとしても、何故だか悪い気はしない気もするのでした。
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3. 君との日々
自分と君は、よくよく考えると不思議なペアだという気持ちもあります。似た者同士は惹かれ合うともいいますが、二人はとても似ているとは言えません。明るく活動的な君と、引っ込み思案な自分。そんな二人はむしろ、対極的とすら言えるでしょう。
ただ彼は、そんな二人の違いこそが、日々を彩っていると感じていました。自分とは違う君と一緒にいるから、彼は次々と予想外に出くわすのです。その予想外は、良い方向に働くとも限りませんが、それでも日々に刺激ある起伏をもたらしてくれます。
似ていない二人ですから、考え方の違いからすれ違うこともあります。ただ、そのイザコザが、決定的な亀裂を生むことはありません。二人の日々には、何故だかいつも穏やかな光が差すかのようで、どんなことがあっても冷え込むことはないのでした。
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4. 夕焼け
世界もその姿を変え、温かな紅色が広がっていました。この美しい夕日を眺めるたび、変わりゆく季節を越えるたび、二人はそれぞれの旅立ちに近づいているのでしょうか。そんな彼の心を感じたのか、君も言葉少なに、ただ夕日を見つめていました。
夕日に照らされた横顔。彼の望みは、ずっとその横に立ち続けること。ただ、この変わり続ける世界の中、誰が二人の日々は永遠だと言えるでしょうか。そう、彼の全てが君との日々のためにあるとしても、その想いが永遠を作るとは言えないのです。
ただこの美しい夕日は、たとえ一時でも、未来への微かな不安を遠ざけてくれます。未来は分からずとも、今は美しい。彼もまた、美しい「夕焼け」に染まっていきます。胸をよぎる未来への不安も忘れ、美しくも悲しい夕日に目を奪われて。
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さいごに
「夕焼け」は、一般的なスピッツイメージに忠実な一曲だと感じています。つまり、温かくピュアなスピッツと言うことです。その歌詞も全体的に分かりやすく、謎かけのような歌詞選びは見られません。スピッツには、本当に色々な顔がありますね!