スピッツの曲

スピッツの「あわ」。主人公が知った、あべこべの世界とは?

スピッツの「あわ」のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「あわ」は、スピッツの2ndアルバム「名前をつけてやる」の収録曲。のんびり、のんきな雰囲気が印象的な楽曲になっています。

この記事では、そんな「あわ」の印象を語りつつ、歌詞の世界を考察していきます。この曲の「のん気さ」は、煙幕でしょうか?

「あわ」とは

「あわ」は、スピッツの2ndアルバム「名前をつけてやる」の収録曲。軽妙なノリとのんきな雰囲気が両立した不思議な曲です。前曲の「待ち合わせ」が、強い勢いのある曲でしたから、アルバムの中では、箸休め的な存在でしょうか。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1あわまったり・のん気
あわのイメージ

1. 演奏の魅力

「あわ」は、雨の日を歌った歌ですが、その演奏イメージから言って、その雨は土砂降りではなく、屋根に飛び降りて心地よい音を響かせるような雨でしょう。しっとりと降る雨を、自身の部屋の窓からぼんやりと眺めているような感じですかね。

動き回るベースラインは、曲に軽妙な雰囲気を作り出していると言えるでしょう。また、曲の背後で鳴らされる明るいギターアルペジオも、それに一役買っています。ただそれでいて、雨の日が持つ独特の停滞感も感じる不思議な演奏です。

また、Aメロの背後で鳴る、何らかの楽器のぼやけた音の広がりも印象的です。例えば、水滴が水たまりへと落ち、その表面にさざ波を広げているような情景を感じます。この曲の演奏は、雨の日の雰囲気が想起されるものになっていますね。

an image of ripple

2. 個人的な想い

スピッツの曲の中で、特にムーディーでおしゃれな演奏が楽しめるのが、この「あわ」という曲ではないでしょうか。特に、ギターメインの間奏は、おしゃれなカフェで流れていそうな雰囲気。コーヒーでもいかが、と言いたくなりますね。

雨の日に関する曲では、他にもお気に入りが多くて、例えばペルソナ5の「Beneath the mask」などは、かなりお気に入り曲です。曲の方向性は、全く異なると思いますが、スピッツの「あわ」も、面白い雰囲気を持っていると感じています。

また、私にとってのこの曲は、「お気楽な少年の歌」です。また、私が好ましく感じているスピッツのちょっと捻くれた部分をこの曲に感じています。世界の掟や常識から距離を置き、自由気ままに生きようとする少年の心が歌われている気がします。

曲の雰囲気

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「あわ」の歌詞を具体的に検討しながら、その歌詞が描く世界を考察していきます。今回の解釈のキーは、「のんびり、気ままに」としました。そんな考察を構築するにあたり、以下の3つのトピックを準備してみました!

曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です!

an image of rainy day

 

1. あべこべ

この曲の歌詞に登場するのは、主人公ひとりです。私は、彼を思春期の少年だとしました。彼は、色々と考えるお年頃。そんな彼が曲の冒頭において知ってしまったとされることは、彼を囲む世界の本音と建て前ではないでしょうか。

世界において正しいとされていることが、実は馬鹿げた空想として嘲笑される物だったり、世界において慎むべきとされていることが、現実では容認されていたり。彼は、大人たちの会話を盗み聞きし、教えと現実の乖離に気づいたのかもしれません。

この時、彼の行動規範を形作っていた、大人からの監視のまなざしは、その強度の大小にかかわらず、空へと消えていったのでしょう。全てがあべこべだったと知った今、彼を縛っていた「正しい掟」は、無用の長物どころか、彼に害すらなす物です。

世界のあべこべを知った彼には、全てが正反対に映るようです。彼が優しい人に好意的な態度を示さないのは、その裏の悪意を見透かしたつもりになっているからでしょうか。その考え方は、正解かもしれませんし、疑心暗鬼かもしれません。ただ、彼には、その姿勢が真実です。
an image of listening to

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2. よいとこどり

大人から向けられる大小の監視の目は、彼にとって、白い洋服の上に出来た黒い染みのように厄介な物でしたが、世界のあべこべを知ったことで、その染みも空へと消えていきました。彼は、自分なりのやり方で日々を送りたいと考え始めます。

大人たちは彼に、立派になれ、強くなれ、などと言い続けてきました。しかし彼は、その教えは好まないようです。彼はもっとゆったりした気分で生きたいのです。たとえ、その生き方が頼りない物だとしても、彼は気にするつもりはありません。

しっかりしていた自分でなくても、自分は確かに存在する。ちょっとスケベな心を持って、魅力的な女性にフラフラついていくのだとしても、それでいい。大人たちが言うように、急いで成長する必要などなく、ただゆっくり進めばいいのです。

ただ彼は、自分が籠の中の鳥のように守られる存在であることも自覚しているようです。どう振舞っても、最終的には大人の庇護の中。彼が立つのは、観客もいない練習用の安全な舞台。彼はその上で、自意識過剰に振舞いながら、札付きの自由を謳歌しているのかもしれません。
an image of cage life

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3. あわ

そんな彼は、サビで「あわ」になるようです。「あわ」は、水の流れに逆らわず、その流れに身を委ねて消えゆく物。そんな「あわ」になる彼も、気分や日々の流れに身を委ねながら、自由気ままに生きるつもりなのかもしれません。

彼が持つ銃火器は、彼自身の意思を発射する武器であり、彼の道を塞ぐ障害を打ち破るための武器でもあるでしょう。道を進むための道具という点から言えば、彼の人生という大きな船を動かすための羅針盤のような存在でもありそうです。

また、彼が追う飛行船は、童心の憧れを象徴する物ではないでしょうか。大空をのんびりと飛ぶ飛行船は、彼が望むゆっくりした生き方にも重なる物です。彼は、自由を謳歌する憧れの存在としての飛行船を追いかけていくのかもしれませんね。

私にとっての「あわ」とは、お堅い正義の戒律を離れ、のんき気ままに過ごしたいと願う主人公の、お気楽な気持ちを歌った歌です。大人が押し付けようとする考え方を一蹴して、自分なりのやり方で気ままにやる。そんな楽観的な生き方を、彼は試そうとするのかもしれません。
泡のイメージ

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さいごに

「あわ」が持つ「のん気な雰囲気」は、その裏にある毒を覆い隠す煙幕などではなく、少しの甘えを含んだ大らかな少年の精神性を表したものではないかな、と感じています。いずれにせよ、まったりのん気な良曲ですから、ぜひ聴いてみて欲しいですね!

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