スピッツの曲

スピッツの「多摩川」の魅力を語る。歌詞の世界も独自目線で解釈

青白い水のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「多摩川」は、スピッツの第4作目のアルバム「Crispy!」に収録されている楽曲です。スローテンポで暗めの雰囲気が印象的で、全体的に明るい曲が多いアルバムの中で、異色を放っています。

この記事では、そんな「多摩川」の印象を語りつつ、歌詞の意味も考えます。多摩川を眺める主人公の心に浮かぶ想いとは?

「多摩川」とは

「多摩川」は、スピッツが1993年に発売した4thアルバム「Crispy!」に収録された楽曲です。前曲の「タイムトラベラー」の残した明るい雰囲気を一掃する、静かな曲です。ただ、世界観については、前曲と繋がっている様に思えなくもありません。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1多摩川静謐なバラード
多摩川の持つ静謐なイメージ

 

1. 演奏への印象

「多摩川」は、その暗めの雰囲気から、ポップなアルバム内で異色を放つ楽曲です。この曲は、単独ではその魅力を放つ曲と言うよりは、アルバムの中での雰囲気調整役として真価を発揮するタイプの曲で、AOR的と言ってもいいかもしれません。

川と言っても色々な川がありますが、この「多摩川」からは、穏やかな流れを感じています。後年のインスト楽曲である「宇宙虫」とも共通点があるような、ゆったりとしたギターのアルペジオが印象的で、そこに穏やかな流れを感じています。

また、イントロの寂し気な旋律にも心惹かれるものがあります。ギターなのかもしれませんし、電子ピアノなのかもしれません。いずれにせよ、謎の楽器が奏でる穏やかな旋律には、曲のモノトーン感や寂しげな雰囲気を感じています。

この曲の雰囲気のギター

 

2. 個人的な想い

「多摩川」からは、穏やかな水の流れと、それをぼんやりと眺める主人公の姿が浮かんできます。多摩川は相当長い川の様ですから、上流と下流で異なる表情を見せる川なのでしょうが、この曲のイメージだと多摩川下流域の方がしっくりきますね。

多摩川には縁が無いため少し調べましたが、「二子玉川兵庫島公園」近辺のような雰囲気が近いかもしれませんね。上流から集まった太く穏やかな流れは、時間によっては青白く、どこか霊的な雰囲気を持った流れにも見えるでしょう。

余談ですが、多摩川の下流域にある公園なのに「玉川公園」なのには訳があります。東京都民の方には常識なのかもしれませんが、「多摩川」は「玉川」と綴る場合もあるようです。この曲の雰囲気に合っているのは、「多摩川」の方だと思いますがね!

都市部の川のイメージ

 

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「多摩川」の歌詞を追いながら、その歌詞が意味する世界を考えていくことにします。今回の考察のテーマは、「幼き日々の想い」としてみました。そんなテーマを構築するトピックとして、以下の2つをご用意しました!

曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です!

神秘的な川のイメージ

1. 川の流れ

この「多摩川」という曲は、主人公が多摩川を見つめながら、物思いにふける様子の描写から始まります。演奏の雰囲気もそうですが、主人公の物思いも穏やかな物のようですから、彼が見つめる流れもきっと、穏やかな流れなのでしょう。

そんな彼が見つめる多摩川は、青白いと描写されています。川が青白く見えるのは、早朝など陽が顔を出し切らない時間帯かもしれません。また、早朝の毛嵐が立った川の姿も、「多摩川」に重ねる川のイメージとして、しっくりくる気がします。

また、この青白いという描写には、どこか霊的な意味も込められている気がします。穏やかな水の流れは、生命の循環を見守り続ける流れ。全ての命は、生命を終えると優しい川の流れに乗って運ばれていき、母なる海へと還っていくのでしょうか。

この曲と「宇宙虫」を結び付けてしまう自分もいて、人間という個体の主観を離れ、より大きな視点で「多摩川」を見たいと感じています。その意味では、この曲での多摩川とは、悠久の流れであり、過去と未来を繋ぐ流れであり、全てを優しく運ぶ流れと言った感じでしょうか。
寂しげな川

一覧に戻る

2. 多摩川

彼が考えていることは、どうやら幼き日々の想い出の様です。彼が振り返ったその日々は、はるか昔の日々であるという描写がされています。また、その想い出は、僕と君の中にあるとも描かれていますから、二人が共有する想い出なのでしょう。

登場する二人は、幼き日々に自然に親しんで遊んだのかもしれません。大地を吹き抜ける風の自由さに憧れ、多摩川の水面の輝きに精霊の輝きを見る。主人公は、そんな二人で過ごした童心の日々を懐かしんでいるのではないでしょうか。

懐かしい日々を過ごした場所は、既に「発展」に覆いつされ、見る影もありません。全ては幻のように消え去ったかにも思えますが、まだ二人の心の中にはある。彼は、そんな想いを多摩川に託し、君の下へと届けたいと願っているのかもしれません。

私にとっての「多摩川」は、幼き日の懐かしい日々を思い起こし、その想い出を多摩川に託す歌。もし「タイムトラベラー」との繋がりで考えるならば、多摩川は、既にいなくなってしまった君の下へ想いを届けてくれる、優しく神秘的な流れとして描かれているのかもしれません。
多摩川を眺めるイメージ

 

一覧に戻る

さいごに

スピッツの「多摩川」は、歌詞が短いこともあって解釈は難しい曲かも知れません。ただ、曲の演奏に感じる輪廻感を大切にするならば、この曲における多摩川を「多くの物」を運んでいく優しい流れとして捉えるのも面白いのではないか、と感じます。

こちらの記事もいかがですか?
error: Content is protected !!