スピッツの曲

スピッツの「夢じゃない」の魅力を語る。歌詞の意味も独自解釈

スピッツ「夢じゃない」の世界観のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「夢じゃない」は、スピッツの第4作目のアルバム「Crispy!」に収録されたラブバラード。TVドラマに主題歌に採用され、アルバム発売から4年後にシングルになった変わり種でもあります。

この記事では、そんな「夢じゃない」の魅力を語りつつ、歌詞が意味する世界についても考えていきます。主人公が夢見る世界とは?

「夢じゃない」とは

「夢じゃない」は、スピッツが1993年に発売した4thアルバム「Crispy!」に収録された楽曲です。前曲の「ドルフィン・ラヴ」はポップな曲でしたが、「夢じゃない」は、しっとりしたラブバラード。曲の完成度も高いと感じています。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1夢じゃないしっとりバラード
夢じゃないの雰囲気

 

1. 演奏への印象

「夢じゃない」という、スローテンポなバラード曲の印象を例えるならば、「寂しげな世界に見つけた陽だまり」と言った感じです。寂しさと優しさという二つの色を感じるという意味では、後年の「遥か」に通ずる部分があるかもしれません。

この曲の演奏で一番好きなのは、間奏部分前半、2分40秒ごろの乾いた美しい音色。何の楽器かもわからず、ギターソロが入ってくる前の僅か数秒の演奏に過ぎないのですが、寂しげな香りとともに、どこか懐かしい優しさが感じられる気がしています。

また、美しいボーカルも特筆するべきものがありますね。特にサビでは、スピッツの楽曲らしい高音の連発を楽しむことが出来ます。曲を複層的に感じさせる、サビのコーラスワークも美しく、ドラマの主題歌に起用されたのも頷ける完成度の高い楽曲です。

夢じゃないのイメージ

 

2. 個人的な想い

この曲は、1997年にテレビ朝日系列で放送されたドラマの主題歌に起用されたとのことですが、私も聴いた事があったのかもしれないと感じています。後追いでこの曲を聴いたとき、どこかで聴いた事があるような気がする、と感じました。

同じく「Crisy!」に収録されている「君が想い出になる前に」は、知っていた確信がありましたが、この「夢じゃない」は知っている気がするというあいまいな感じ。ただ、サビのメロディーラインは、頭の片隅に引っかかっていたような気がしました。

子ども時代の私がドラマを見ていたはずもないので、この曲は私の生活の端っこをかすっただけなのだと思っています。ただそれでも、この曲を聴くとどこか懐かしい気持ちを覚えるので、何となく優し気な音色のオルゴールのイメージを重ねています。

オルゴールのイメージ

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「夢じゃない」の歌詞を追いながら、その歌詞が描く世界を考えていきます。今回の考察のテーマは、「歪んだ力で」としてみました。また、そのテーマを考察するため、以下の3つのトピックを準備しました!

曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です!

1. 孤独の海で

この曲の主人公は、強い孤独を感じて人生を送ってきた青年なのでしょう。彼が孤独感を感じていたことは、彼が自らの身を温める陽だまりを求め続けてきたという描写から明らかです。彼を囲む色のない世界に、彼の心は冷え込んでいたのでしょう。

彼を囲む世界については、2番のメロの描写が気になります。そこでは、変わることの無いリズムで揺れるブランコの描写があります。このブランコは、変化することなく彼に寂しさを届け続ける、彼を囲む世界を表していると感じています。

そんな彼は、陽だまりを探して泳ぎ回っていました。しかし、彼のその旅は、徒労に終わってばかりでした。彼は心当たりの場所を殆ど訪れてしまい、残る場所はただ一つとなりました。彼の旅は、完全に望みの無い物として終わってしまうのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。最後の望みを懸けた場所で、彼は君と出会うことが出来たのですから。2番のメロによれば、君はブランコの上で退屈そうにしていたようです。君と彼は、二人を乗せて揺れ続ける世界に対して、同じような孤独感を感じていたのかもしれません。
ブランコのイメージ

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2. 懐かしい世界

幼き日に見た色のある世界はいつの間にか失われ、彼を囲むのは凍えるような世界でした。彼は、そんな世界に強い孤独感を感じ、陽だまりを求めていたのです。そして、彼が君を見つけたことで、彼を囲むモノトーンの世界が変わり始めます。

2番のメロでは、彼が懐かしい景色を目にしている描写があります。君という存在を目にしたことで生まれた温かい感情は、彼を囲む世界に色を塗ったのではないでしょうか。君が側にいてくれることは、彼の世界に劇的な変化をもたらしたのです。

また、二人を包む魔法を具体的に解釈するのなら、「温かい寒さ」を放つ冬の魔法はどうでしょう。寒さの中で二人で寄り添い、体を寄せ合う。腕の中の君のぬくもりを感じながら、心も君と溶け合う。バンプの「スノースマイル」的な発想ですが。

彼と同じような孤独感を感じていた君にとっても、彼の存在は温かな光となったのではないでしょうか。二人は、色のない世界の中においても、温かい陽だまりを見つけることが出来ました。二人は、それからの旅路を共にすることを、当たり前のように感じているはずです。
温かい色を見つけた二人のイメージ

 

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3. 夢じゃない

陽だまりを求めて旅をしてきたとはいえ、彼はそれが実現可能だとは思えなくなっていたはずです。何せ、彼が君を見つけたのは、彼に心当たりがあった最後の場所だったのです。連戦連敗によって、彼の期待は薄れていたことでしょう。

世界とは、一人で歩む無色の場所であると、殆ど諦めていた彼。しかし彼は、最後の地で君と出会い、世界に色を塗ることが出来ました。彼にとって、自分が一人ではないと感じることが出来るのは、信じられないほどの奇跡です。

長い間孤独の世界で生きてきた彼は、自分が少し壊れているのを感じています。世界の汚れを知ってしまった彼の心は、既に完全な純粋さは失い、歪んでしまいました。しかしそれでも、彼は軋む体に鞭打って、君を守り続けると決意しているのです。

私にとっての「夢じゃない」は、孤独な海で必死に息継ぎをしながら、温かい島を目指していた彼が、君と出会って新たな世界を知る物語です。お互いがお互いを求め、遂に出会った二人。そんな二人は心を寄せ合って、世界の波を懸命に越えていくのではないでしょうか。
二人のイメージ

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さいごに

「夢じゃない」は、スピッツで良く歌われるテーマの一つ、「日陰者なりの生き方」を扱った歌と感じて、こういう歌には、特に感情移入しやすい自分がいます。世界の王道を歩まずとも、幸せに生きることが出来るのはいいですね!

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