スピッツの曲

スピッツの「リコリス」の感想。「触れる」を軸に、歌詞解釈にも挑戦!

主人公の人生の物語のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「リコリスは、スピッツの29thシングル「正夢」のカップリング。寂し気なのに温かさも感じるような、不思議な一曲ですね。

この記事では、そんな「リコリス」の魅力を語り、歌詞の意味も考察。消えそうな君を捕まえようとする青年の物語を考えました!

「リコリス」とは

「リコリス」は、2004年発売の29thシングル「正夢」のカップリング曲です。「正夢」は、壮大な雰囲気で明るい希望の光を感じるロックバラードでしたが、この「リコリス」には、明るい世界というよりは、セピア色の世界を感じています。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1リコリス切なげだが温かい
セピア色の世界のイメージ

1. 演奏への印象

「リコリス」の演奏は、切なげだが温かい感じですね。「正夢」は王道ロックバラードで、強いエナジーを感じる曲でしたが、「リコリス」は、寒風の中でも楽し気に舞う枯れ葉のよう。「正夢」が大樹なら、「リコリス」は蜃気楼と言ったところですね。

演奏面では、イントロを彩るアコギの音色が哀愁を誘います。アコギ大好きな私としては、「リコリス」のイントロの演奏は大のお気に入りです。また、サビなどで聴こえてくるオルガンのぼやけて温かい幻想的な響きにも、雰囲気があっていいですね。

ハッキリと輪郭のあるアコギの音色とは対照的に、ボーカルはぼやけたエフェクトが強めで、サビでのコーラスも不思議な広がりを感じます。現実を感じさせる鮮やかなアコギと、儚い魔法の香りを感じる反響あるボーカルと言ったところでしょうか。

頭に浮かぶ「リコリス」の世界観

2. 個人的な想い

「リコリス」と言えば、サビの音程がずっと同じという、特徴的なサビも見逃せませんね。音の入りに微かなしゃくりを感じる気もするので、厳密には一音ではないかもしれませんが、ほぼ一音。それでもこんなにいい曲になるとは、驚き桃の木です。

普通、サビの音が一音で構成されるとしたら、その曲は意欲作にはなるでしょうが、同時に捨て曲に近い、ただ奇をてらった曲になってしまう気がします。しかし、この「リコリス」では、一音利用のシンプルなサビが独特の魅力へと昇華していますね。

ところで、リコリスとは栄養はあるが苦みを含む多年生植物。曲中では「良薬口に苦し」ではないですが、二面性を象徴していると考えています。つまり、リコリスと名付けられた本曲には、嬉しさと切なさの二要素が含まれていると感じるのです。

二つの感情のイメージ

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「リコリス」の歌詞を追いながら、歌詞の意味する世界を考えていきます。今回の考察テーマは、「言葉ではなく」としました。また、そのテーマを補足するために、以下の4つのトピックを準備してみました!

解釈は私の感想に過ぎず、全くもって他人に押し付けるものではありません。また、作詞意図に沿った「正解の解釈」より、私の感想が優先されます。なお以下で、私の解釈のスタンスまとめています

言葉よりも感触を求めるイメージ

1. 考察の前提

歌詞は、主人公が旅人の本を読む物語とも捉えられますが、私は旅人とは自分の人生を歩む彼を指す比喩表現であり、その彼が出会ったのが君だと考えています。また、ページをめくる描写は、主人公の日々が過ぎていく時間経過の比喩表現とします。

ところで、君の笑顔は彼にはリコリスが重なるもの。リコリスの二面性から考えて、彼にとって君の笑顔は魅力的だが届かないと感じるものなのでしょう。彼は、素敵な君は臆病な自分には不釣り合いで、幸運が尽きれば消えてしまうと感じているのです。

その意味で、今にも消えてしまいそうな君と、気持ちを抑えきれない彼。君と彼は現時点では特別な関係ではありませんが、彼は君と新たな関係を始めることを願っているとします。臆病に尻込みしていた彼ですが、やがて君へと手を伸ばして・・・。

幸運にも君と出会うことが出来た彼ですが、彼は自分には君を留めることは出来ずに、君が流れて行ってしまう予感があります。ただ勿論、彼はこれからも君と一緒にいたいため、そのために何が出来るかを思案するのです。以降では、そんな君への想いを抱く青年の物語を考えます!
触れることのイメージ、君の手に触れるイメージ

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2. 二つの想い

いいこともあれば、悪いこともある。人生、悲喜こもごも。彼という青年のこれまでの旅路を振り返るなら、そんなところです。より正確に言えば、やや悲しみの方が多かったかもしれません。彼の荒れた指先が、彼のこれまでの苦労を物語っていました。

ただ、最近は風向きが変わってきたようです。というのも、彼は想いもしなかった幸運に恵まれたから。彼に訪れた幸運とは、君との出会いでした。調子っぱずれの口笛と、彼の日々にはそぐわない明るい笑顔が愛らしい、素敵な君との出会いでした。

そんな君は今、何故か彼の旅路に同伴してくれていました。下手だけれども楽しそうな口笛にしても、気取ることのない心のままの笑顔にしても、彼の心を明るく照らしてくれます。ただし彼には、この幸運がいつまで続くのかは分からないのでした。

君の笑顔を見ると、彼には二つの背反する感情が浮かびます。一つは、眩しい輝きに照らされる喜び。そしてもう一つは、その笑顔がいつ自分の目の前から消えてもおかしくない切なさ。これほどの幸運が長続きするとも思えません。君の笑顔は彼を喜ばせ、そして悩ませるのでした。
背反する感情を覚えるイメージ

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3. 少しでも

今思えば、昨日の君は何だかいつもと違うような気もしました。いつもの気楽な雰囲気ではなく、気怠そうな様子で風に吹かれていた君。君の物憂げな様子は、彼の不安を駆り立てました。近いうちに、君はいなくなってしまうかもしれません。

君が本当にいなくなるなら、あの太陽と共に消えてしまう気がします。ただ、太陽が地平線に姿を消すまでは、まだ暫らく時間がありそうです。それなら少しでも、君と一緒に先を目指したい。彼は日が落ちるまで、もう少し歩くことにしました。

日を受けてしばらく歩くと、道端の箱が目に留まりました。それは、いつでも同質の商売を続ける魔法の機械。汗ばんだ二人の、渇きを癒す箱。コインが落ちる音と、無機質な電子音。彼は密かに、オマケおみくじで自分の未来を占うことにしました。

大当たり。一本余計に飛び出した小さな瓶は、果たして彼の未来の象徴でしょうか。景品のラムネを一気飲みして、彼は再び歩き出しました。人混みを恐れる彼に合わせて、二人は裏道を進みます。隣を歩く君を盗み見ながら、彼は二人の旅が少しでも長く続くことを願うのでした。
彼らが進む裏道のイメージ

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4. リコリス

彼には君との旅路の中で、言おうとしながらもずっと飲み込んで来た言葉がありました。「明日はどうするの」。別に何でもないいという体を装い、口にしようとしたその言葉。臆病なやり方で君の気持ちを探るための、ついに言えなかった言葉。

ただ彼はもう、言葉に頼って君を傍に留めようとするのは止めました。代わりの行動は、臆病な彼には大胆過ぎるもの。しかし、君との時間が残り少ないかもしれない今、覚悟を決めなければ。彼はただ、その手を伸ばして君の手を取るつもりでした。

君が夕焼けに溶け消えてしまう前に、君の手を取らなくてはなりません。君がいて初めて、こんな彼でも光を見つけられるのですから。さぁ、時は今。リコリスの想いがどう転ぶかは分からずとも、君に触れることで、新たな何かが始まるでしょう。

私にとっての「リコリス」は、少しだけ現実離れした雰囲気を持った恋の物語。今回の妄想は現実の瀬戸際くらいで止めたつもりですが、風に溶け煙として去る描写から、もっと寓話的な解釈も出来そうですね。例えば君は、超常的な何かの化身とか。そんなの想像も面白そうです!
手を触れるイメージ

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さいごに

歌詞をもう少し仰々しく取るなら、煙になると言う表現は生命の終焉を示唆していると考えることも出来そうです。その場合、一度きりの短い人生という旅に、言葉という抽象的なものではなく感触という実感を求める青年の物語、とも取れそうですね!

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