スピッツの曲

スピッツの「ローランダー、空へ」。まだ見ぬ世界を目指して

ローランダー空へ、のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回ご紹介する「ローランダー、空へ」は、スピッツの3rdアルバム「惑星のかけら」に収録の深い雰囲気を感じるスローバラード曲。

この記事では、そんな「ローランダー、空へ」の魅力を語りつつ、その歌詞の意味も考えます。舞い上がった主人公は、何処へ行く

「ローランダー、空へ」とは

「ローランダー、空へ」は、スピッツが1992年に発売した3rdアルバム「惑星のかけら」の10曲目に配置された曲です。ラストの11曲目がインスト曲に近い作りになっているので、しっかりしたオンボーカルの曲としては、この曲がラストです。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1ローランダー、空へ深いバラード
ローランダーの住む場所のイメージ

 

1. 演奏への印象

「ローランダー、空へ」の演奏からは、スピッツが前年に発売したミニアルバム「オーロラになれなかった人のために」に似通った雰囲気を感じています。奥深く壮大な雰囲気と、夜空に広がるオーロラのような凛とした美しさが、この曲にはあります。

サビのボーカルのコーラスが、特に印象的です。スピッツの曲でコーラスが入っているのは別に珍しくありませんが、この曲のコーラスは独特のパワーがあります。ハモリパートがいつもより強めに感じ、重層的な世界観が強調されています。

演奏でいえば、間奏のギターソロが壮大で感動的ですね。特に前半部分の高音のギターソロは、私の大好きなQueenのレッドスペシャルの音色を聴いているかのよう。美しいバラード曲の中にも、ロック魂を刺激される要素がしっかりと感じられます。

コーラスのイメージ

 

2. 個人的な想い

この「ローランダー、空へ」には、荘厳な雰囲気を感じています。「オーロラ」に通じるサウンドや、草野さんにとっての生命の境界線を示しうる「渚」という歌詞があることから、曲のテーマについても、生命観を意識する部分があります。

また、あくまで曲の雰囲気だけで考えるなら、この曲からは、空を恐れ敬って生きていた古代人の姿を感じます。現代的な歌詞に反しても古代のイメージを抱くのには、歌詞全体に、生命賛歌や自然への畏敬の念のような物を感じるからだと思います。

ただ、ローランダーとはLow Landerと書くのでしょうから、低い大地と高い空と言う意味で、空が対比的に扱われているのは間違いないでしょう。低地に住むローランダーたちは、遥か高みにある空に、何か特別な想いを重ねているのでしょうね。

an image of great sky

 

歌詞の世界を考える

ここからは、「ローランダー、空へ」の歌詞を見ながら、その歌詞が意味する世界について独自の考察をしていきます。今回のテーマは、「輪廻の生を飛ぶ」としました。そのテーマを構築するため、以下の3つのトピックを準備しました!

曲解釈はただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください!単純に、こういう話も当てはまるかもな、というだけの妄想です!

心地よい雰囲気のイメージ

 

1. 地上の道

この曲に登場する人物は、君だけです。私はこの曲を、既にその役目を終えて空へと還った誰かの視点で、大切な存在を見守っている曲ではないかな、と考えています。曲全体の雰囲気や歌詞から、優しい励ましの気持ちが伝わってくるからです。

ところで、君が歩む道は、曲がりくねって何処までも続いていくようです。私はこれを、起伏のある人生と、生命の輪廻を表していると考えました。一個体の生命が終わっても、その輪廻が続いていくならば、その道が途切れることもないのです。

この曲の羊は、優しい瞳で全てを受け入れる存在でしょうか。そして、そんな瞳を持って、いつか来るバトンタッチの日まで歩く道は、喜劇的。2番のAメロは、天に旅立った誰かが持つ、そんな「道」への考え方を示しているのかもしれません。

この羊の描写も、この曲に生命崇拝や自然崇拝の雰囲気を感じる要素の一つです。例えば、穏やかな羊と共に暮らし、その生命を敬いながら、偉大なる自然の中で暮らす遊牧民の姿が浮かんで来ます。全てを受け入れて暮らせば、人生の起伏すら、大自然からの贈り物となるのです。
an image of winding road

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2. 白き楽園

個人的な感覚でしかありませんが、Cメロの歌詞は、既に空へと帰った誰かの心情描写なのではないか、と感じています。個人的には、古い映写機で映し出された所々にノイズの入ったセピア色の情景が浮かんできます。

そのセピア色の世界の中で、「白」の描写が鮮明に浮き立っていると感じます。この白には、清純さが象徴されている気がします。直後の白い翼は、大自然への畏敬の念を持ってきた彼に大自然がくれた、天へと繋がる清純な贈り物かもしれません。

草野さんの世界観での「渚」は、意味深な物になり得るでしょう。草野さんが、学生時代の経験から、「渚が全てが混じり合う場所」という考え方に共鳴しているのは有名な話です。その全ての中には、生命の誕生と終焉も含まれるでしょうか。

このCメロは、役目を無事に引き継いだ「誰か」が、大自然からの贈り物として、空へ繋がる清純な翼を得た場面と考えてみました。そして彼は、渚を吹き抜ける風に身を預け、空へと舞い上がっていきます。人間目線では悲しい終わりですが、その本質は母なる大自然への回帰です。
人間が歩む道のイメージ

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3. ローランダー、空へ

この曲での「生命の終焉」は、悲しい終わりではありません。全ての生命は輪廻を繰り返し、道は続いていくのですから。「生命の終焉」はむしろ、役目を無事に引き継いだ生命をねぎらうために与えられる、至福の時間だと言えるでしょう。

そして、その至福の時間を過ごす場所こそが、空であるはずです。この物語における人々は、地上人として生まれ、空に憧れながらもその地での役割を懸命にこなす。そして、いずれはその役割を後進へと引き継ぎ、空へ帰っていくのです。

また、この曲に登場する棕櫚とは、平たく言えばヤシ系の植物を表すようです。私がヤシからイメージするのは、ハワイのような楽園。曲中の人々が棕櫚の世界を目指しているのは、温かな安息地としての楽園を目指しているからではないでしょうか。

棕櫚の世界は楽園、つまり母なる空を示していると考えています。いつかはその役目を終えて天へと帰るローランダーたち。そして、彼らはそれまでの間は、地上で精一杯生きるのです。その地上の日々を鼓舞するために、サビにおいて「飛べ」という言葉が使われている気がします。
ローランダーの生活イメージ

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さいごに

「ローランダー、空へ」は、独特の物語性を持った曲です。曲が放つオーラは、幻想的な雰囲気と言うより、深遠な雰囲気と言った方が適切な気がしますね。空に憧れて生きる地上人たちも、いつかは楽園にたどり着くことが出来るでしょうか?

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