スピッツの曲

スピッツの「ニノウデの世界」の魅力を語る。歌詞の意味も独自解釈

ニノウデの世界のイメージ
こんな記事

「素晴らしい音楽なくして、素晴らしい人生なし」。この記事は、そんな私の人生を彩ってくれる楽曲たちを紹介していくコーナーです。

今回の「ニノウデの世界」は、デビューアルバムの1曲目に配置された曲。スピッツからの自己紹介ソングというところでしょうか。

初期スピッツの謎すぎる世界観が詰め込まれた「ニノウデの世界」。この記事では、そんな楽曲世界を妄想しつつ、曲の魅力を語ります。

「ニノウデの世界」とは

「ニノウデの世界」は、スピッツのデビューアルバムの1曲目を飾る先頭打者。とはいえ、デビューシングル「ヒバリのこころ」も同日に発売されたようですから、どちらをスピッツが差し出した最初の名刺と取るかは人それぞれでしょう。

デビュー前後の時期の草野さんは、自分の高音にコンプレックスがあったようですが、その影響もあってかアルバム「スピッツ」には高音使用曲が少なめです。ただし、この「ニノウデの世界」では、草野さんの高音を十分に楽しむことができます。

曲名曲調一般知名度お気に入り度
1ニノウデの世界ポップスピッツ!

 

1. 楽曲から受ける印象

何より、ボーカルが若い!みずみずしさの中に、少し幼い響きが混じっていますね。特に大サビ部分の可愛らしい高音は、初期の草野さんを象徴しています。曲の演奏自体はロックですが、ボーカルの影響が色濃く、曲の雰囲気はポップな印象です。

大サビ部分では、かなりの高音域を連発します。草野さんが高音が武器の歌手であることを考えると、この曲では草野さんのボーカリストとしての魅力が上手くディスプレイされていると言えるでしょう。曲終わりの高音も、その一環でしょうね。

また、スピッツギターと言えばアルペジオでしょうが、この曲でもキラキラと輝く水面を思わせるような魅力的なアルペジオを聴くことが出来ます。独自性の根っこが見え隠れするという意味で、この曲はスピッツの名刺曲という感じかもしれませんね。

名刺代わりの一曲

2. 楽曲に対しての想い

私はスピッツファンとしては後発組ですが、このアルバムは20年遅れくらいで聴きました(笑)。「とげまる」から始まって時代を遡る感じで評価の高いアルバムから聴いていったので、このアルバムを聴いたのは恐らく最後の方だったと思います。

つまり、このアルバムを聴いたときには、既にスピッツ・ヒストリーを遡っていたため、ある程度スピッツの世界観は理解しているつもりでした。しかし、それでも。このアルバムの「ニノウデの世界」と、「テレビ」は意味不明すぎて笑えました

考えるな、感じろ。厳密な歌詞解釈は不可能なので、こんな感じかなという第一印象をそのまま受け入れるべき。ただ、スピッツの分かりそうで分からない世界観を示すという意味では、そのオリジナリティの代名詞的な曲になっていると思います。

この曲を聴いたときの私の反応イメージ

 

歌詞の世界を考える

完全な妄想ベースにせざるを得ませんが、ここからは「ニノウデの世界」が描く世界を考えてみます。今回は、歌詞の世界を象徴するキーを、「はじめてのトキメキ」としました。そのキーを前提として、以下の3つのトピックを準備してみました

これはただの妄想であり、他人に押し付ける物ではありません。この曲を楽しむための私なりの妄想というだけですから、ご容赦ください

1. 登場人物への考察

この曲に登場するのは、僕と君の二人ですね。私は、二人は恋人同士であろうと考えていますが、それはメロの「小さな二人の世界」の描写からの推測です。これは、他人が入ることができない二人だけの世界を示しているのだと考えました。

ただ、二人の気持ちには温度差があるかもしれません。主人公の方が彼女にぞっこんで、彼女の方は意外と冷静な感じを受けます。彼は、彼女の反応に一喜一憂しているようでもあります。そう感じるのは、サビでの描写が大きな理由です。

そこでは、「二人だけの世界」の様子が描かれていますが、その世界は空を舞ってみたり、急降下してみたりと、山あり谷あり。彼の心境も似たようなものでしょう。これは、君の態度が、いつも彼の期待通りとは限らないからではないでしょうか。

1番のサビでは、「二人だけの世界」が飛んでいく様子が歌われていますが、その描写からは、その世界を見送る自分と、その世界と共に飛んでいく自分という、「二人の自分」が感じられます。これは、恋に舞い上がった自分は、もう飛んでいなくなったと読めないでしょうか。
空と主人公のイメージ

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2. 恋のゆくえ

「二人の世界」の特徴として、「寒さ」と「柔らかさ」が指摘されていますが、それは恋で失望することもあるけれど、そこから得られる喜びは幸福の極みであるという、恋の二面性を表しているのでしょう。良いことばかりでは、ないのですね。

二面性と言えば、彼が、目に入った君の二の腕から、マイナスな世界を連想している描写もあります。私はこの描写から、おあずけを喰らったワンコを想像しました。彼はときおり思い切った行動に出て、彼女の腕にたしなめられているのかもしれません。

いずれにせよ、二人だけの世界は、縮んだり伸びたりしながら飛んでいきます。縮んだり伸びたりというのも、恋のやり取りの中で心に生じる感情の変化を表しているのでしょう。彼の恋心は、彼のコントロールを離れ、大空を舞うのです。

ただ、2番のサビでは、主人公がその世界から落ちてしまったと歌われています。彼は、この時点で君から振られてしまったのでしょうか。直後に続く大サビで歌われている過去の日々は、必死に彼女の気を引こうとしていた自分の姿を歌ったものなのかもしれません。
恋心が大空を舞うイメージ

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3. ひとつ、大人になって

大サビの内容は、とても抽象的で掴みどころがないようにも思えますが、一つだけはっきりしていることがあります。それは、この回想時点で、主人公は一人であるということです。また、直後のメロにおいては、何もない世界が歌われています。

また、主人公が石と形容されているのは、一つの恋を終えた彼の「純情なワンコ時代」が終わったことを示しているのだと考えました。一つ大人になった彼は、もう恋の風に吹かれて、綿毛のようにフワリと空を飛ぶことはできなくなりました。

このことから、君へ憧れた日々は、既に終わりを告げたのだと考えました。タイトルが「ニノウデの世界」なのは、大サビの内容とは少しずれますが、彼女の二の腕に触れることが大変な成功だったような、彼の純情さを表しているのかもしれませんね。

ラスサビの主人公の行動は、君への憧れで舞った大空を自分の青春の一ページとして保存するための行動ではないでしょうか。指で四角を作って大空に向けて、その枠内の風景を写真のように切り取る。そんな風に、純情な気持ちを大切にしまい込んだ彼の姿を想像しました。
an image of old days of him

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さいごに

この解釈は、妄想ベースですから、詰めが甘いところは大いにあると思います。吟味すれば、違った解釈も出てくるかもしれませんが、この曲には推敲よりも即興の方が良いと感じたので、勢いで書きました(笑)まあ、楽しんだもの勝ちですね!

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